彼に悪いところは、ひとつもなかった。──「いい人なのに満たされない」あなたへ。幸せになれる恋の選び方
〜9月30日 22:00
第1章|「私、贅沢なのかな」が消えない理由
彼と別れて1週間くらい経った頃、仲のいい友達と仕事終わりにご飯を食べました。
「別れた」
そう言ったら、友達がちょっと驚いた顔をして、
え、なんで? あの人めちゃくちゃいい人だったじゃん
私は、うん、と答えました。
「悪い人じゃなかったんだけど……なんか違った」
なんか違うって、何が? 浮気されたとか、モラハラとかじゃないんでしょ?
「そういうのは全然ない」
そこで友達が、少し言いにくそうにこう言いました。
それなら、ちょっと贅沢じゃない? 30代でそこまでちゃんとしてる人、なかなかいないよ
その言葉が、刺さりました。
怒りとか、悲しさとかではなく、図星を突かれた時のあの感じ。
だって、同じことを私自身が、別れる前からずっと思っていたからです。
説明できない、が一番きつい
その後、母にも話しました。
優しい人だったんでしょ?
「うん」
仕事もちゃんとしてた?
「うん」
じゃあ、何がそんなに気に入らなかったの?
——ここで、私は答えられませんでした。
浮気されたわけじゃない。 嘘をつかれたわけでもない。 暴言も、束縛も、ドタキャンもない。 約束は守るし、店員さんにも優しいし、私の誕生日もちゃんと祝ってくれた。
説明できる不満が、ひとつもないんです。
あるのは、一緒にいて満たされなかった、という感覚だけ。
でもそれって、口に出した瞬間にすごく身勝手に聞こえます。自分で言っていても、わがままを言っている人みたいに聞こえる。
だから私は、母の質問に何も返せないまま黙りました。
そしてその日、家に帰ってから思ったんです。
説明できないなら、それは不満じゃないのかもしれない。
これが、一番きつかった。
彼に何かされたことより、周りに「贅沢だ」と言われたことより、自分の感じていたものを自分で信じられなくなったことが、いちばんしんどかったんです。
あなたが今、誰にも相談できていない理由
もしあなたが今、似た状態にいるなら。
たぶん、まだ誰にもちゃんと話せていないと思います。
話していないんじゃなくて、話しても終わってしまう。
「彼、どんな人なの?」と聞かれて、答えます。
仕事はちゃんとしてて。連絡もくれて。優しくて。約束も守る。
そこまで言うと、相手はもう結論を出しています。
「いい人じゃん」
そこで会話が終わる。
あなたが本当に言いたかったことは、まだ何も言えていないのに。
だから次からは、話さなくなります。話すと余計に孤独になるから。
そして、ひとりで抱えることになる。
夜、寝る前に考えるんです。
私って、何が不満なんだろう。
考えても答えが出ないまま、また明日になる。
これが何ヶ月も続いている人が、たくさんいます。
私もそうでした。
相手に落ち度がないと、悩みが「なかったこと」になる
恋愛の悩みって、原因がはっきりしているほど扱いやすいんです。
浮気された。 既読無視される。 約束を破られた。 他に好きな人がいるらしい。
こういうのは、しんどいですけど、少なくとも悩む理由が説明できる。
友達に話せば「それはひどいね」と言ってもらえるし、ネットで検索すれば同じ状況の人が山ほど出てきます。悩んでいい、と誰かが言ってくれる。
でも、相手に落ち度がない場合。
説明できる材料が、どこにもありません。
すると何が起きるか。
悩みが、悩みとして扱ってもらえなくなります。
周りからは「贅沢」と言われ、自分でも「私が求めすぎなのかも」と思い、最終的には「そもそも悩む必要のないことなんじゃないか」というところに着地する。
これ、解決したわけじゃないんです。
なかったことにしただけ。
だから消えません。なかったことにしても、また夜になると戻ってきます。
「私が我慢すればいい」に着地してしまう前に
この状態が長く続くと、行き着く先はだいたい同じです。
「彼は悪くない。だから、私が変わればいいんだ」
求めすぎない自分になろう。期待しない自分になろう。これくらいで満足できる人になろう。
一見、大人の判断に見えます。実際、周りもそう言う。
好きじゃなくても、一緒にいて楽ならいいじゃん
私も言われました。
でも、ちょっと考えてほしいんです。
その調整、いつまで続けるつもりですか。
付き合っている間ずっと? 結婚したら終わる? 子どもができたら変わる?
変わりません。
むしろ、関係が長くなるほど「今さら言えないこと」が増えていきます。
私が別れを決めたのは、彼が嫌いになったからではありませんでした。
このまま自分を調整し続けた先に、自分が何も感じなくなっている未来が見えたからです。
あなたが悩んでいるのは、彼の欠点についてじゃない
ここで、いったん整理させてください。
あなたが説明できないのは、当たり前なんです。
なぜなら、あなたが問題にしているのは彼の欠点じゃないから。
欠点なら、指させます。「ここが嫌」と言えます。
でもあなたが感じているのは、そこじゃない。
彼という人の減点ではなく、彼といる時の自分の状態についてです。
一緒にいるのに、ひとりで考えている時間が長い。 確認しないと安心できない。 自分から取りに行かないと、何も進まない。 好かれているはずなのに、確かめないと不安になる。
これ、彼の悪いところを聞かれても出てきません。だって彼の話じゃないから。
だから母に「何が気に入らなかったの?」と聞かれた時、私は答えられなかったんです。
質問が、そもそも噛み合っていなかった。
気に入らないところなんて、なかった。
でも、その関係の中にいる私は、幸せじゃなかった。
この2つは、両立します。
「いい人」と「私にとっていい人」は、別の話
もうひとつだけ、この章で持ち帰ってほしいことがあります。
「いい人」という評価は、他人がつけるものです。
友達が見て、いい人。 親が見て、いい人。 世間の基準で見て、いい人。
これは正しい評価です。実際、彼はいい人でした。今でもそう思います。
でも、その評価をつけている人たちは、誰ひとりとしてその人と付き合っていません。
毎日LINEを待つのも、 会えるかどうかを気にするのも、 将来の話をはぐらかされるのも、 全部あなたです。
外から見た評価と、中にいる人の実感がズレるのは、当然なんです。
そして恋愛で決定的なのは、後者のほうです。
だから、あなたが感じている違和感は、贅沢ではありません。
中にいる人しか持てない情報です。
外の人が持っていないものを、あなただけが持っている。それを「説明できないから」という理由で捨ててしまうのは、もったいない。
ここまでで、伝えたかったこと
もう一度だけ、まとめます。
・あなたが説明できないのは、あなたの感覚が曖昧だからではない ・彼の欠点ではなく、彼といる時の自分の状態を問題にしているから、彼の話としては説明できない ・「いい人」は他人の評価。中にいるあなたの実感とは別物 ・悩みを「なかったこと」にしても消えない。戻ってくる
まず、ここに立ってください。
あなたは、悩んでいいです。
そして、ここからが本題です
ただ、正直に言うと。
私はここまで来るのに、別れてから半年かかりました。
その間ずっと、自分をこう説明していたんです。
「私は男を見る目がなかった」
条件で選んだのが悪かった。年収とか、学歴とか、そういうもので選んだから失敗した。次はちゃんと中身を見よう。
そう思っていました。
でも、違ったんです。
半年後、次の恋愛で、私は完全に予想外のところでつまずきました。
条件は前の彼ほどよくない。派手でもない。一目惚れでもない。
なのに、一緒にいて不安にならない人と出会って、私が最初に思ったのは——
「いい人だけど、ちょっと物足りないかも」
でした。
安心できる関係を目の前に出されて、私は物足りないと感じた。
その時にようやく分かったんです。
私が失敗した原因は、男を見る目じゃなかった。
もっと手前にありました。
私は、自分が「好き」だと思っていたものの中身を、ずっと取り違えていた。
あの1年間、私が「好きだから気になる」と思っていた感情の中には、まったく別のものが混ざっていたんです。
しかもそれは、私だけの話じゃありませんでした。
条件のいい人と付き合って満たされない人、優しい人を好きになれない人、いい人だから別れられない人。
みんな、同じところで取り違えています。
その正体を、次から書いていきます。
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9月14日 22:00 〜 9月30日 22:00
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