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【モンゴル西部】県都ウルギー

 8時頃、トイレ休憩のため停車した所から今日がスタート。

羽虫がすごかった

 この滞在中初めて西方面に来たわけだけど、昨夜まで草原だったのに今朝は砂礫に景色が変わっている。

 昨日サービスエリアで食事をとって以来、チンギスは私と目も合わせようとしない。全てのトイレ休憩で声もかけずに降りて遠くへ歩いて行き、最後の方に戻ってくる。
 私は彼だけ乗り遅れたりしないか、いつもヒヤヒヤ。

 一方で今朝は私が最後になってしまい、遠くからバスに駆け込んだ。
けど、チンギスはそれに気づいてもいない様子。
 つくづくガイドではないよなって思う!



 今日はとても眠くて二度寝して起きたら11時。
 そういえばトゥブを出てから、あまり自分のペースで寝起きできる事が少なくなっていた。今回みたいなバスで時間ができても、かまってちゃんなチンギスに起こされて昼寝もできなかったり。
 元々バスではあまり眠れないはずなのに、睡眠時間だけは最近で一番確保できた。

 目が覚めてしばらくすると、またパーキングに停まった。

(恐らく郡を越えると)境目?にゲートがあるの良い
ここはやたらモニュメントが多い
代表的な?最初の?切手と何か関係のある土地なのだろうか
遥か遠くまで続く道と、旅人
結婚式?

 バスが走り出し、また車窓からの風景を眺める。

人工池?何のための物だろう
湖の畔にはリゾート地が
ポツンと、集落とも言えない家屋?が2つ
遊牧民も発見
地名のモニュメントも各地にある。地元民にも観光客にも良いよね
やっと街が見えてきた!


 バスがウルギーのターミナルに着いて降りたら、道中で一度声をかけてくれた女性がまた話しかけてくれ、連絡先を交換した。
 途中で出会うフレンドリーな旅行者と仲良くなれるのも、この旅で嬉しい事の1つだなぁ!



 久しぶりに言葉を交わすチンギスは「これから4時まで、小休憩するためチャーターした車で民家へ向かう」と言う。

 来た車には相変わらずドライバーの家族や親族っぽい人も乗っていて面白い。今回はご夫婦と娘さん、1人の男性が乗っていた。
  カザフスタンと国境を接するモンゴル最西部の地域はムスリムが多く、住んでいる人もほぼカザフ人との事。

移動式トラックで野菜を売っていた
遠くの岩肌に国旗のマーク(ソヨンボ)が刻まれている
街の中にはモスクも
当然ゲルもある


 

 到着した民家は、この旅初の一軒家!

ゲルなど移動式ではない建造物という意味

⬇️中はこんな感じ

 おばあちゃんがカザフ伝統の模様が入った敷物を敷いて、お茶を出してくれた。

このお茶がめちゃくちゃ美味しかった


 子ども達は白人系の女の子や変わった髪型の男の子がいて、これまでと違う雰囲気。

気前よく撮らせてくれた
カザフの町でも、赤ちゃんは子どもが抱いて世話をしている


 西部では、年配者ならモンゴル語も話すが若い世代はカザフ語しか話さないパターンも多いらしい。
 ここの子ども達は3人とも内気なようで、はじめはチンギスすらこの子達から言葉を引き出せずモンゴル語が通じるかわからなかった。

 モンゴル国内でしばしばモンゴル文字で名前を書くサービスを見るが、もしかしたらモンゴルの人達は自国のでも他国のでも文字が好きなのかな?なかなか子ども達と距離が縮まらなくて、トゥブみたいに「日本語で名前を書く」というのをやってみたら人気だった。
 家族全員の名前を書き終わった頃には普通に会話ができる心の距離になっていて、夕方までの長い時間も楽しく過ごせそう!

隣の作業小屋?にも入ってみんなで遊ぶ
水を汲んで飲んでいる

⬇️庭には隼かな?小型の猛禽類が舞っている

⬇️植生も違って新鮮



 香代さんとメッセージをしていて気づいたけど、モンゴルに来てからちょっとだけ感覚が良くなっている気がする。
 例えば視力を失うと他の能力が発達して補おうとするって話は聞いた事あるけど、今の私は事実上の言語能力がなくなったから、他の能力が一時的に伸びているのかな?

 日本では人の顔を覚えるのが苦手だったけどすぐ覚えられたり、場所を移動したらなんとなく自分にとって良さそうかそうでないか感じる。
 この家も近代的でも快適な環境でもないんだけど、なぜか居心地が良い。

空が近く感じる
生活用品類も、別に好みも思い出もないのに懐かしい感じ

 そんな家にいたらあっという間に時間は過ぎて、モンゴルへ来てこれも初めてレストランに行く事になった。2.4km先のカザフ料理のレストラン。

 普通に歩いて行こうとしたら、チンギスもおばあちゃんも「遠いからタクシーを使わねば」と言う。
 ウランバートルでヤンジッドルマさんに置いて帰られた距離の半分だし、調教師宅で近所だと言われたナーダム会場よりずっと近いのに、モンゴル人の感覚が不明!

 街並みも見たいし歩いて行こうと主張したが、「出発時間が迫ってきているから時短のためタクシーを」という事になった。
 チンギスは楽したいから、おばあちゃんは町のタクシーにお金を落とさせたいからだったかもしれないけど…



 レストランでは2人とも肉が乗ったプレートと、チンギスだけパイを2つ注文した。

モンゴルで食べてきた物で一番美味しく感動した
このパイも、分けてもらったが美味しかったなぁ


 テーブルにはマットと一式のカトラリーが置いてあって、内装を見ても高そうに感じる。

香辛料なんて初めて見たぞ

 普段は「動物が好きだから、肉を食べるのは嫌いだ」と言うチンギスだが今日はオールミートのメニューを自ら注文して母親にビデオ通話をかけ、良いレストランで食事を楽しんでいるっぽい事を自慢していた。
 もちろん私のスマホで笑

 なんだかんだチンギスの事は好きなんだけど、先日のピザ事件といい今日といい、私のお金で勝手に贅沢しようとする所は不愉快なんだよな…

出入口のショーケースには持ち帰れる物が並んでいる
ムスリムは甘党が多いらしいからケーキが多い
日本人とは違うセンス


 家に戻ると、すぐ出発になった。
 宿泊地まで連れて行ってくれるという古いセダンには、夫婦と子ども3人が乗っていた。

花占いしててかわいい

 今回の道もすごいが、これまでよりすれ違う車の数は多い。

サイドブレーキ解除しないままでええんか?それとも必要なドライビングテクニック?
町を越え、さらに西へ
河川も越えて進む

⬇️初めてヤクを見た!

楽しい車内


 乗車から3時間ほど経ったろうか。やっとツェンゲル郡まで来た!
 しかし、今日からお世話になる私達の宿泊地はまだ先にあるらしい。

遠くには残雪のある山が見えた


⬇️最西部の町。異国情緒がすごい


町の外では家畜が放牧されている
地球美しすぎんか?
車窓からの景色が贅沢すぎる


やっと宿泊地が見えた(これでも夜9:30)
カザフ文化下のゲル
伝統の刺繍が施されているのが標準らしい
炊事など家族が生活に使う建物も


⬇️泊まる予定のゲル内。中も装飾で彩られている

裏手には川が

 ここでは久しぶりに水に困らない生活ができそうだ。夢みたい!

 ゲルに入ってしばらくすると、おばあちゃんが軽食を持って来てくれた。

カザフ人でも食文化は似ているようだ

 熱々のホーショールまで出てきてお腹いっぱい。



 もう夜の10時なんだけど、外が明るいと人は自然と行動時間も長くなるのだろうか。
 ここの老夫婦と孫娘、町からバイトに通ってきている(?)青年はまだ牛の乳搾りなどしている。
 チンギスが辺りを散策しようと誘って来たので、外へ出た。

 トイレなどの場所や状況を確認。
 生活する建物の周りにトイレや牛の囲いが集まっているようだ。  

囲いには仔牛のみ。石造りバージョンは初めて見る
子ども達の、かわいい後ろ姿
馬もいた。近くには古くなった蹄鉄が



 一通り見て回って満足したのかゲルに戻って寝る体勢に入った。
 消灯してしばらく経つと、なんだか外が騒がしくなった。

 前の道を車が複数台行ったり来たり、その内複数人の話し声が聞こえてきたり。
 来客かと考えていると、ゲルのドアが開いてチンギスが呼び出された。

 しばらくして戻ってきた彼は、怒りながら荷物をまとめ始めた。どうやら急に見知らぬ大家族が泊めてほしいと訪問してきたみたいだ。
 
 それで、なぜ事前にお願いして泊まる私たちがゲルを明け渡さねばならないのか!?
 モンゴルに来て自己主張の重要性を再認識していた私は、ここぞとばかりに抗議した。が、向こうは大家族でこちらは二人連れ。この一番大きなゲルですら持て余す人数だから、仕方ないという理屈らしい。

 珍しく一緒になって怒る子どもに諭されたら、聞き入れざるを得ない。
 理性も情もある日本人である。ここで私が強情に突っぱねたら、大家族は車で野宿することになるかもしれない。
 辺りが無人のこの地でそれは気の毒だし…どんな非常識な大家族か知らないが、交渉相手が優しい女子供の二人連れで幸運なヤツらである。



 荷物を持って、普段家族が使っているというゲルに移った。とりあえず奥のベッドに荷物を置く。

 しかしとんでもなくチーズ臭いぞ!
 乳製品は大好きな私だがここで寝るなんて正気じゃない。そのぐらい臭い。

入り口横に臭いの発生源が

 しかもチンギスは私が臭いの正体を確かめている隙にちゃっかり全ベッドの寝心地を確かめ、一番マシと判断したのか、私の荷物をどかして奥のベッドを占領してしまった。
 他のベッドはどれもスプリングがイカれていて、身体を預けたら底が抜けそうなものばかりだった。

 ただでさえ不眠症で眠れないのだ。臭い室内に軋む音だけでは済まされない落ちそうなベッド。しかも私の荷物をどかして場所を奪うなんて…

 度重なる理不尽に、私もまた怒りが込み上げてくる。

 彼の同行にはお金が発生している以上、子ども相手でも一応プロとして扱わねばなるまい。それで私は客になるわけだが、その客を押しのけて自分が一番の快適性を手にするのはどうなのか?
 長く真面目に会社員をしてきた私にはまだ柔軟な心が育っておらず、許すことができなかった。

 ベッドを取り返そうとチンギスに考えを伝えたが、ユイは客じゃないから良いのだと言う。
 「客じゃなくて友達だ。友達なら相手に優しくするのは当然だろう?助け合うのも当たり前だ」とのたまう。何回どう交渉してもベッドを譲る気はないらしい。

 私もさすがにもう寝たかった。
 折れる事にしたが、ただでは転んでやらないという炎が心に灯った瞬間だった。

 「私達は友達同士で、助け合って当然だ」という点を何度も確認し、その言葉を覚えておくよう念押しして押し付けられたベッドに入った。



 譲った隣のゲルからはもう深夜だというのに騒ぐ声が響いてくる。

 自分が今モンゴルに来て初めて、強い怒りを抱えている事に気づく。
 もしかしたら私の怒りのツボは"睡眠"なのかもしれない。そんな事を思いながら眠りについた。


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