成瀬は天下を取りにいく
「島崎、わたしはこの夏を西武に捧げようと思う」
嫌な予感がした。いや、「嫌な予感」と言ってもこの本に対してネガティブなことを感じたわけではない。手にとって、この一行目を読んだ瞬間に、「あ、これは面白いぞ」と思ったのだ。しかし、「今これを読んでいるヒマがない」。それが「嫌な予感」だったのだ。当時は仕事が立て込んでいて、他に優先すべき仕事やら読むべき仕事関連の書籍が山のようにあった。きっとこれを読むのは先になる。それが残念でならなかったのだ。
「島崎、わたしはこの夏を西武に捧げようと思う」
一行目がこれ。面白くないわけがない。
本書を書店で見かけて手に取ったのは2023年のは3月頃だったと思う。忙しいとはいえ、時間がないわけではない。問題なのはやや過集中なところがある私がこれを読み始めたら、季節の変わり目のその時期、部屋が夜になって寒くなっているのにも気が付かずそのまま読みふけって風邪をひき、仕事に支障をきたすだろう。
そういうわけで、私はあえて買わなかった。その後も色々あって、2025年も終わりが近づき、そして完結編であるところの『成瀬は京都を駆け抜ける』が発行されて初めての正月にやっと本書を読み始めたのである。
結論。4日間で『成瀬は天下を取りにいく』、『成瀬は信じた道をいく』、『成瀬は京都を駆け抜ける』を読み終えてしまった。ほらね。こうなった。ありがたいことに風邪はひいていないが。いまのところ。
・西武大津店が閉店になるから地元のテレビ局の生放送に毎日のように映りに行く。
・M-1グランプリにエントリーして実際に挑戦する
・「髪の毛は一ヶ月に一センチ伸びる」と言われているので、高校入学時から坊主にする
シリーズ1作目のエピソードだけでもめちゃくちゃである。
主人公の成瀬あかりほど魅力的な主人公を探すのはなかなか難しい。彼女はやりたいと思ったことをやっている。彼女の同年代の友人でさえそれを感じているし、周りの大人たちもきっとそう思っている。とはいえ、あまりの突飛さ故に彼女を羨ましいと思いつつも、あのようにはなれないことをみんな知っている。
彼女は一定の礼節は持ち合わせているものの、文語のような口調で話す。簡単に言えば変なやつだ。彼女を彼女足らしめているのは、誰に対しても態度を変えないということ。それを物語の登場人物だけでなく、読者私たちも羨む。ああ、こんなふうであればどんなにか良いだろうかと。
そんな彼女ですら動揺してしまうことが描かれているのがシリーズ1作目掲載の『ときめき江州音頭』である。ネタバレは避けるが、この作品で私たち読者も彼女自身もそして、その後のシリーズで描かれているように彼女の肉親でさえも彼女が私たちと同じ感情を持っているという安心感に似た一人の若い女性であると感じることができる。故にその後のシリーズも私たちはゆったりと余裕を持って読むことができた。ああ、ハチャメチャなようだけど、成瀬も一人の人間だったんだなと。
最終シリーズが発行され、この時期書店はシリーズ3冊が平積みで並べられている。もし、ちょっとでも気になったのならぜひ手にとって欲しい。損はしない。
Chat GPTに尋ねてみた。ちょっと成瀬のようになってみたいんだけどと。いつもと違うことがしてみたいんだと。
こんな答えが帰ってきた。
今週中に「降りたことのない駅」で降りる
何も調べない
30分歩いたら帰っていい。
いつもは帰路の途中で降りない銀座駅で降りて、30分ウロウロしてみた。帰っていいとチャッピーは行っていたが、面白そうな居酒屋があったので入ってきた。満足して帰ってきて、今これを書いている。
