無印良品が、また財布から金を抜いていく。
人の良さそうな顔をして、ぐいぐいと人の財布から金を巻き上げていくやつがいる。それは、無印良品の食料品である。
どういうわけか、私は無印良品の食料品のコーナーに行くと、買う予定のなかったものまで買ってしまう。どうしてだろうと考えてみた。頭を捻ってみた結果、表に製品の具体的な説明が書かれているからではないか、という結論を導き出した。

例えば、新発売の黒豆&チーズだが、商品名の上には、「素材の栄養おやつ たんぱく質」と書かれている。そして写真のあたりには、内容がわかりやすいように、何が入っているかが具体的に書かれている。黒豆とアーモンド、チーズとドライいちじくだ。食べきりサイズの個包装です、とも説明がされている。
これの何がいいかといえば、自分の好みかどうかが一目瞭然でわかることだろう。
まずポイントは栄養おやつと書かれている点だ。おやつも好きだけど、健康オタクの私としては、栄養のあるおやつというのは、嬉しい製品だ。しかも、黒豆とアーモンドと、チーズとドライいちじくなんて、私の好きな物しか入っていない。さらには、個包装だと書いてある。めちゃくちゃ助かる。
これはまるで、マッチングアプリで見た目がタイプな上に、プロフィールがバッチばちに好みだった時のような感じだろうか。マチアプはしたことないけど。あるいは、新しく出てきた俳優さんの笑顔にノックアウトされて、色々ググりに行った結果、次から次に沼る情報や秘蔵画像を見てしまった時のような物ではないだろうか。え、好き。語彙力。めっちゃタイプってなるやつだ。
もう即決で購入するよね、そんなもの。と私は心の中で、無印は私の好きなツボ押さえてるなぁと開発している人に握手をしたくなる気持ちで、シンプルイズベストな袋をグッと握った。
商品棚を舐め回すように見ていると、ささやかな文字で新商品と書かれた札が並んでいるではないか。秋だなぁと思う。「え、好き」「これも好き」「やばいー。買いたいー」「うっそ、これも買いでしょ」みたいな感じで、私の心をいとも容易く奪っていく。ああ、無印良品の思う壺だなぁと思いながら、レジに向かった。セルフレジでまるで音楽を奏でているかのように、ピッピピッピとバーコードを読んでいく。最後の一つを通してから、私はモニターに目を向けた。「え。こんな金額に? USODARO」と思って、読み込んだ商品を確認してみる。全然嘘じゃない。めちゃくちゃ正解。セルフレジって、こんなに適当な人間が作業しても、ちゃんと正確にお金の計算をしてくれるんだなぁと、関心しながら会計を済ませた。

帰宅後、早速、黒豆を食べる。カリカリしていて美味しい。ASMRとか出来るかなとイヤホンで咀嚼音を撮ってみたけど、たいしていい音がしなくてガッカリする。残念。味は、素材のおやつという名に恥じない、素材の味がした。いちじくはあんまり甘くないんだなと思った。チーズはカリカリして軽いけど、それ以外は咀嚼に時間がかかるので、食べながら健康になっていく感じがした。

健康を感じながら、黒豆だけにしておけばいいものを、湧き上がる好奇心と食欲を堪えられない私は、どうしても買ったものの味を試したくなった。早速、カシューナッツ&レーズンを食べてみる。鉄分を意識したおやつだそうで、カシューナッツとレーズンとカボチャの種とクランベリーが入っているらしい。これも、好きが過ぎる。食べてみると、「おっ」と驚いた。黒豆は塩味などの味が一切ついていないのだが、こちらは塩味が効いている。レーズンとクランベリーの甘さと、ナッツとひまわりの種のしょっぱさに手が止まらない。これは完全につまみだなぁと思った。黒豆は職場に持っていっておやつにして、クランベリーは夜のおつまみにしようと、無印に誓う。

次に買ったのはボンボンショコラだ。美味しいという評判を見かけて、ついつい買ってしまった。厚めにコーティングされたチョコレートの中には、口溶けの良い柔らかいクリームがたっぷり詰まっていて、これは幸せになる。ヘーゼルナッツはこくがあって、塩キャラメルは塩の粒感がめちゃくちゃいい。最高だな、これ。コーヒーがいるやつだ。ウイスキーでもいいかも。うわーーーー。好き。
ボンボンショコラは他にも種類があったので、有無を言わさず買ってみた。

ラムレーズン&フィグブランデー。絶対うまいやつやろ、こんなの。これは、こっそり取っておいて、お休みの日にお酒と一緒にいただくと決めた。

宇治抹茶とほうじ茶。これは、夫が好きそうなので買ってみた。三個ずつしか入ってないけど、夫が開封した時に、一個ずつ分けてもらおうと思う。

チョコがけマシュマロは、息子たちへの誤魔化しのために買っておいた。おかんばっかり好きなものを買ってズルいとなったら面倒だ。所謂、賄賂のようなもの。息子が早速開封していたので、分けてもらった。コロンとしたマシュマロに、薄めのチョコが合う。軽さがちょうどいいので、指が止まらない。
結局のところ、どれもこれも好きだし、美味しかった。金を巻き上げるなんて失礼な言い方をしてしまった。むしろ、お金をお納めさせていただけたと、満足した。パッケージの説明が、ちゃんと届く人に届けられるような説明になっているのだなぁと感心する。
それにしても、無印良品のパッケージは、素朴で色味も少なく、あくまで何も印がないように思わせておいて、すぐにそれがMUJIだとわかってしまうところがすごい。純朴そうな印象を与える上に、説明書きがですます調でめちゃくちゃいい人そうな感じがする。言うなれば、風間俊介だし、芦田愛菜だし、蒼井優だし、向井理だ。彼らが勧めるなら、間違い無いのだろう。根拠はない。
