167.名勝 吾妻峡のホンミツバツツジ
群馬県東吾妻町から長野原町にまたがる国指定名勝の吾妻峡では、ミツバツツジをPRしています。

吾妻峡のハイキングマップには、十二沢パーキングに車をとめて、鹿飛橋まで左岸を登ると、左手にホンミツバツツジが群生していることを示しています。またホンミツバツツジについて、「我妻渓谷を北限として近畿地方までの山地に生える。・・(中略)・・土地の人はムラサキツツジと呼び、長野原の町花になっています。」と記されています。鹿飛橋の位置は北緯36°33′です。
栃木県足利市の県指定天然記念物の小俣三葉つつじ自生地も当地では北限と紹介されていますが、北緯36°23′なので吾妻峡が北限で正しいです。
吾妻峡は、地質は安山岩で、ミズナラ林が拡がる冷温帯です。

2025年4月24日に、たぶんトウゴクミツバツツジだろうと予想しながら、初めて吾妻峡を訪れました。十二沢パーキングの周りにホンミツバツツジが植えられています。

鹿飛橋近くまで歩くと、左手の岩崖の上から、ホンミツバツツジが枝垂れていました。

右手の峡谷にも咲いています。

国の名勝だけあって、鹿飛橋から見下ろす八丁暗がりは、川幅が4m、深さ50mとのことです。

滑らないように気をつけながら、峡谷の近くの株に近づき、ホンミツバツツジであることを確認します。

確かに雄しべが5本のホンミツバツツジです。

踏査後に、吾妻峡の上流の、首都圏の水瓶を含めた多目的ダムとして2020年に完成した八ッ場ダムの畔にある、長野原町の道の駅の八ッ場ふるさと館に立ち寄りました。建物の周りに、ホンミツバツツジが多く植えられています。

ホンミツバツツジの苗木も打ってました。高さ1mぐらいの株が3500円は、お安い買い物です。さすがに町の花に指定しているだけあります。

長野原中学校のテニスコート下と長野原保育園の上の間にある法面にもミツバツツジが一面咲いていました。法面に登って観察してみると、確認した限りすべてコバノミツバツツジでした。

子房の白い毛が目立って雄しべが10本のホンミツバツツジです。
従来、ホンミツバツツジのことをミツバツツジと呼んでいましたし、今も植物図鑑にそのように記されています。しかし、ミツバツツジは江戸初期に京都の華道書で初めて使われた言葉で、元々はコバノミツバツツジのことを指します。これを、明治の植物学者が雄しべが5本のに採用したので、混乱が起きています。植物研究雑誌の論文で、ミツバツツジは、〇〇ミツバツツジと言う名のツツジ全体の総称と紛らわしいので、改称が提唱されたことがあり、著者はそれに従っています。たぶん、長野原町がミツバツツジを注文して、苗木業者がコバノミツバツツジを調達して植えたのでしょう。よくある混乱です。
という混乱があるとはいえ、長野原町は町の花としてミツバツツジを大切にしてPRしていることは、評価できます。
