『STORM』から見る LUNASEA復活の鍵になったポイントについて
1. 『STORM』に関しての記事を書こうと思った経緯について
私は、昨年11月に音楽に関する考察記事を書き、一度出したが、そのまま中断してしまい、とても中途半端な気持ちでいました。
そんな時に、たまたまある人とお話する機会があり、折角なので相談してみると、まず下手でもいいから出してそれを続けらことが大事と言われ、再び書くことを決断しました。
その時に、元々自分が好きで、最近とあることがきっかけにより、以前にも増してよく聴いているこの曲が思い浮かんだ。曲そのものの分析だけではなく、LUNASEAがデビューしてからの流れを踏まえて、詳しく解析してみようと思う。
それでは以下をご覧ください。
2. 『STORM』までの来歴と、98年の邦楽シーンの中でのLUNA SEAの立ち位置について
LUNA SEAは89年に結成、92年のメジャーデビューしたロックバンドである。
94年に、シングル「ROSIER」がヒットしてから、「TRUE BLUE」、「DESIRE」、「END OF SORROW」と、シングルが3作連続(シングルカットされた「mother」は除く)で、チャート1位を獲得し、アルバム『MOTHER』(1994)、『STYLE』(1996)は、それぞれ約70万枚売り上げ、当時(1994〜1996)の邦楽バンドシーンでの知名度を圧倒的なものとした。
また、1995年には東京ドーム公演を単独で行なうなど、後続に続くビジュアル系バンド(彼らの前にX JAPANがいるが、ビジュアル系と呼ばれるのはLUNA SEAが最初だったと言われている)の走りとして、まさに時代を席巻していた。
そんな人気絶頂の中、97年に突如として、バンドとしての活動がストップして、約1年間にも及ぶ休養期間に入る。
メンバーは、それぞれソロ活動に入るが、特にボーカルの「Ryuuichi」は、『河村隆一』名義でソロデビューして、シングルでヒットを連発。バンドでのイメージをガラッと変え、爽やかなビジュアルと雰囲気で、一気に若者の心をつかんだ!
そして、それらを全て含めた1stアルバム「Love」は、約278万枚(オリコン調べ)という、男性ソロ歴代最高売り上げを記録する。
そして、各々変貌を遂げた中、LUNA SEAはシングル「STORM」により完全復活する。前述した「河村隆一」の影響やタイアップ(POP JAMテーマソング)の効果もあって、バンド史上最高の約72万枚を売り上げることとなった。
因みに、98年邦楽シーンの状況は、以下のようになっている。
・GLAY(シングル年間1位:誘惑 同5位:SOUL LOVE)
・LA`rc~en~Ciel(シングル年間9位:HONEY、同14位:花葬、同15位:snow drop)
いずれもミリオンヒットを記録し、ロックバンド最盛期を迎える。
他にも、前年からより一層勢いが増している、SPEEDや、Kinki Kids、そしてEvery Little Thing等がシングル上位に位置している。
上で分かる通り、ミリオンヒットを連発していたGLAY やLA`rc~en~Cielに及ばないまでも、90年代を代表するビジュアル系ロックバンドとしてのLUNA SEAが、この曲により更に認知度を拡大して、バンド完全復活としての印象を与えたのは間違いない。
また、この年にアルバム『SHINE』がミリオン近く(約90万枚)売上、紅白歌合戦にも出場している(出場曲は、『I for you』)その後、わずか2年半程で、LUNA SEAは解散(終幕)に至るのだが。その過程はまた別で記述しようと思う。
3.代表曲『Rosier』と『STORM』の比較から分かる、LUNA SEAの4年間の進化の過程について
それでは、ここからLUNA SEAの復活の鍵となったポイントをブレイクのきっかけとなった「ROSIER」(1994)と、今回の記事のテーマソングであり、復活してから初のシングル、「STORM」(1998)を音楽性と歌詞を比較して、解析していこうと思う。コード進行とか細かい音楽理論に関しては分からない為、少々ふわっとしたものになってしまう可能性があるのでご了承下さい。
楽曲全体のテンポ、雰囲気、特徴
・Rosier
リリース: 1994年
BPM:205
原曲者:J(LUNA SEAは、原曲を持ち込む人がいて、それをベースにメンバー全員で音や歌詞を膨らませて作っていく為、クレジットには、LUNA SEA表記となっている)
Rosierはイントロからドラムから入り、ギターリフが非常に攻撃的な印象を与えるが、この曲の肝はやはりベースだ。この曲を空でなぞる時は、ほぼ必ずここのベースラインが自然に頭に思い浮かんでしまう。それぐらい、この曲の主役であり大黒柱だ。
原曲者はJ(ベース)で、非常にキャッチーで攻撃的な曲調になっている。
本人は、『Rosier』を遺書のつもりで書いたと言っている。メジャーデビューから2年、インディ-ズから数えてアルバム3作品出してみてもヒットが出せず、更にJ自身が体調を崩してしまい、そこの絶望感と這い上がってやるぞという覚悟が、そのままサウンドに、歌詞に溢れだしている。
“いま心が何も信じられないまま“
“夢のないこの世界“
から分かるように、かなり重めの歌詞が乱立ている。こうした後ろ向きかつ否定的なフレーズが重苦しい楽曲を象徴している。また、この『Rosier』のデモ音源を聴いてみると、当時のJの心境が痛々しいほどに、よく伝わってくる。
・STORM
リリース:1998年
BPM:191
原曲者:J
STORMは、ゆったりめなギターから入り、10秒ほどで一気に、全員の音が重なり合う。冒頭Aメロのフレーズの一部にもあるが、全体的に優しくて、光に満ち溢れているイメージがあり、まさにLUNA SEA復活にふさわしいナンバーだ。
Jが原曲のため、Rosierとはまた違うが、アップテンポでキャッチーな曲調となっている。テンポは191とそれなりに早いが、Rosierと比べて、若干ゆったりめとなっている。
前述でも記述した通り、優しくて明るく、光に満ち溢れているイメージがあり、特にギターの雰囲気がそれを特に強く醸し出している。
歌詞に関しても、以前に比べとても前向きなものになっていて、この5人なら絶対に大丈夫だ!決して離れたりしない!という積極的な姿勢が見られる。
ブレイク直後の1994年と比べ、テレビや雑誌等の多様なメディア出演や、東京ドーム公演、そして休養期間など色んな経験を経て、各々成長してそれなりにメンバー全員に余裕が感じられる。
この約5分間の中で取り上げるべきところは沢山あるが、この曲の肝はやはり"ギターソロ"だろう。
約50秒間という、LUNA SEAとしてはかなり長めのギターソロだが、これからLUNA SEAは再び5人で戦っていくんだという反撃の狼煙のような強い意志が感じられる。
個人的に、この部分が好きで、ラストのさびに向かって、紆余曲折しながら進むギターの音色がとてもドラマチックに感じられる。
歌詞に関しては、
“失うものなど何もなかったはずだね“
“だけど僕らは離れたりはしない“
から分かる通り、Rosierと比べて、本当に明るく希望に満ちたフレーズが楽曲を象徴している。
なにか(自信?自分たち自身?)から失われる恐怖から解き放たれ、"生き急いでいた"自分たちを今振り返って、
"大丈夫だ!自分たちは5人でいれば失うものなど何もないから、自分たちのペースでゆっくり進んでいけばいい"
というように聴こえてきて、メンバー全員のLUNA SEAとしての音楽シーンの立ち位置としての覚悟が確立されているようにさえ感じられる。
大分大雑把な分析になってしまったが、サウンドや歌詞面から、闇から光、焦りから余裕、後ろ向き(ベース重視)から前向き(ギター重視)【この部分は筆者の個人的見解の為、大変分かり辛くて申し訳ないが、バンドの物理的な立ち位置(ベースが後ろで前がギター)的にも、曲自体の立ち位置(ベースが骨組み(リズム帯の一員であり、基礎の部分)を作り、ギターがその上で活躍する)的から考えて、前向き後ろ向きという表現を用いている】
というように、このバンドがこの4年で、そして1年で進化していることが読み取れるのではないだろうか。
またこの曲に関しては、個別で更に詳しく分析していこうと思うので、興味ある方は次の記事をご覧ください。(※現在執筆前)
4.LUNA SEA は永遠に止まらない
前述した通り、LUNA SEAのドラマーである真矢が2026年2月17日に自分の元居た場所へ旅立ちました。享年56歳でした。早い。あまりに早すぎるよ真矢。。。
バンドのオアシスかつ光りのような存在で、息が張り詰まりそうなバンドの雰囲気の中で、圧倒的な安心感とユーモラスのある独特な雰囲気で、メンバー、スタッフ、そしてお茶の間のみんなを笑顔にし続けてきた。
真矢がいたからこそのLUNA SEAだった。
リアルタイムで聞いていたわけでもないし、めちゃくちゃファンだった訳でもない。
でも彼が亡くなって初めて、真矢の大切さに気付いた。
あの激しく心震わす楽曲たちを成り立たせるのは、あのドラムがあったからこそだ!
真矢のとても大きな器(ドラム)があって、その上にJの重厚なベース、そしてINORANの切なさ溢れるアルペジオと激しく高鳴りあうSUGIZOのツインギター、そしてバンドの顔であり、LUNA SEAの世界観をこれでもなく的確かつ圧倒的に表現する、RyuichiのボーカルがあるからこそLUNA SEAが成り立つのだ。
本当によくこの5人が同じ場所に集まってくれたと思う。彼らがほぼ全員同じ地元(Ryuichi以外は神奈川県秦野市出身)にいたのは奇跡に近い。いやとんでもない奇跡だ!
改めて、彼らの音楽を自由に聴ける環境を大変ありがたく思う。
こんな素晴らしい楽曲たちを遺してくれて本当にありがとう。
これからも真矢の意志を次いで、LUNA SEAが永遠に受け継がれるように、SLAVE(LUNA SEAファンの呼称)の一員として、これからもずっとあなたたちの楽曲を聴き続けます。真矢が安らかに眠れますように。
本当にお疲れ様でした。そしてありがとう。
ご冥福をお祈り申し上げます。
