見出し画像

志望校別1位、結果③

さて。
2校の補欠を握り締めたまま、3校目、4校目のお試験が始まりました。2日間共、当日朝にしーちゃん宅に出向いて最終チェックを行いました。

しーちゃんは、自分がお試験で合格をいただけるようにしていたことがマイナスに働いていた事実を認識していました。「あなたがやっているのは脅迫というもの」と教えたら、お母様の悲しんでいる様子を見てしょんぼりしていました。頭の良い子なので、これで同じことはしないはずでございます。
お母様は腫れぼったいお顔でしたが、気持ちが切り替えられたご様子。また朝食に永谷園のお茶漬けをお召し上がりになったとのこと。
お父様は「この度は私の軽率な発言でお迷惑をおかけして」と、謝りはじめたので遮りました。
「お父様、あなたは今日挨拶以外しゃべる必要性は一切ございません。荷物持ちをなさって先頭にいるだけでよろしいです。」無言のお父様。「返事!」「はいぃぃ」「伸ばすな!返事!」「はいっ!」「今日やることは!」「挨拶!荷物持ち!先頭にいる!」「3つしかないのでおつかいより簡単ですね?」「は、はい?」「お返事は大きな声でハッキリと!」「はいっ!!」
本当に、この父親は、、、。

怒涛の2日間に感じました。追加で他校に出願も済ませて、ご家族の代わりに当日実施される面接対策などをまとめました。同時進行で「お手紙」もお手伝いして投函。

そして、結果が出ました。

3校目合格。
4校目不合格。

3校目の合格を喜ぶ反面、4校目の不合格はズドンと重い鉛のようなものに押し潰される感覚でございました。ご両親の意向により、この2校のペーパー対策を何もしていなかったので仕方のないことではありましたが、悔やまれます。
一方は二次募集、もう一方はこの学校唯一のお試験日でした。どちらも倍率がそこそこございました。小受界の皆さんでしたら、どちらがどっちか、お分かりいただけるかもしれません。

ご自宅に伺うと、お母様としーちゃんは、合格校に大喜びで書類を眺めてはパンフレットを読み返しておりました。「この制服も可愛いね」と、合格した喜びと通うことになるかもしれない学校へ期待している様子でございました。

一方、浮かない表情のお父様。
お高いワインでも飲んでいれば良いものの、お2人の様子をチラチラ見ては所在なさげ。

私はずっと不安に感じ、お母様に小声で問いました。「手続きは万端ですね?」と。
私の意図を察知したのか、お母様は「サトウさんのお嬢様にお菓子をご用意し忘れたから買ってきます」と慌ただしくお出かけの用意をなさいました。お手伝いさんが自分が行きますと申し出るのを断って「そうだ、サトウさん、お嬢様のお好みをご一緒に見ていただけますか?」と、言うのです。
緊張が走ります。

まず車に乗り込み、合格をいただいた学校へお電話いたしました。しかし、受験生個人の手続きの進捗情報は教えていただけませんでした。仕方のないことでございます。
そして、郵便局に向かいました。
お父様名義のお受験関連の口座があり、そこから全て振込等しているとのこと。お母様が窓口でどうにかして振込先や額をお知りになれるのか?疑問に思いながらついて行きました。

ATMで通帳記帳をすると、過去どれくらい記帳していなかったのかというほど何ページにも及ぶ記帳、また記帳。見ない方が良いと離れていたら、一緒に見てほしいとお願いされました。
なるほど。お父様はキャッシュカードをお持ちで、お母様は通帳を管理されていたのです。記帳が終わると、最終欄はこれから受験する予定の学校への受験料振込でした。
入学金、施設費、寄付金等の額を払った形跡はなく、残高は充分ありました。クレジットカード決済はない学校です。この口座から支払っていないとなると、、、?
お母様は操作を終えると、ご自分の通帳とキャッシュカードを持って窓口に向かいました。「写真撮ってきましたから」と、画面を印籠のように見せてくれ、合格校の振込先や額が写っていました。寄付金は今じゃなくて良いという助言だけをして、どんどん進む作業。私は手続きが間に合ったことと、お母様の貯蓄に安堵して地方の名産品やお節のチラシを見ながらボーッと終わるのを待ちました。

帰り道、「サトウさんはよく、『そんなものは道端の排水溝に捨ててしまいなさい』って仰ってたわね」と、微笑みながら唐突に言うので、「そうですね、良くない気持ちとかね」と、答えると、ニコリとするお母様。「ATMにもなれない父親、要りませんわね!離婚よ!」清々しいご様子です。
「でも、こちらの学校、父の会がありますよ?他にもイベントで父親の出番があります。動く金庫だと思ってもう少し使ってあげましょうよ」
お母様は大笑いして、サトウさんに免じてしばらく動く金庫を自宅に置くと約束してくださいました。

思い出したように「サトウさんのお嬢様へのお菓子!」と、地元で評判のケーキ屋さんに急遽寄りました。
娘用の焼き菓子を好みに合わせてお箱に詰めていくお母様と店員さんの横で、私はホールケーキのプレートに「合格おめでとう」と書いていただたものをプレゼントいたしました。お母様は大変お喜びになってくださいました。

しかしその後、お母様以上にチビるほど喜んだのは私でした。

いいなと思ったら応援しよう!