12歳が背負った役割を、私たちはどう見たか
この話、
どこかモヤっとしませんでしたか。
『探偵!ナイトスクープ』に登場したのは、
「長男をやるのに疲れた」と語る、12歳の少年でした。
6人兄妹の長男。
共働きの家庭で、弟や妹の世話、食事の準備、洗濯、片付け。
それが彼の日常だと紹介されました。
放送後、SNSは一気にざわつきます。
「ヤングケアラーではないか」
「親は何をしているんだ」
そんな声が広がっていきました。
でも、このニュースを見て
多くの人が引っかかったのは、
単に「親が悪い」からではない気がします。
なぜ、ここまで反応が大きくなったのか。
それはたぶん、
12歳という年齢と、背負っている役割の重さが
あまりにも釣り合っていなかったから。
友達と遊びたい。
みんなで集まってパーティーをしたい。
そんな当たり前の願いを、
彼は「週に1〜2回しか叶わないもの」として語っていました。
その姿が、
“手伝いをしている子ども”ではなく、
“生活を回している誰か”に見えてしまった。
視聴者が感じた違和感の正体は、
そこだったんじゃないでしょうか。
さらに火に油を注いだのが、
母親のSNSでの過去の投稿でした。
「家事育児はできるだけしたくない」
この言葉だけ切り取られて、
一気に拡散されていきました。
正直、
この一文を見て反射的に嫌悪感を抱いた人も
少なくないと思います。
でも同時に、
ここまで正直な本音を言える場所が、
今の社会にどれだけあるだろう、とも感じました。
子どもが多い母親は、
育児が好きで、家族第一で、
いつも笑顔で献身的であるべき。
起業している女性なら、
仕事も家庭も完璧に回して当然。
そんな“理想像”を、
私たちは無意識のうちに押し付けていないでしょうか。
本音をこぼした瞬間、
一気に叩かれる空気があるのも事実です。
ただ、
だからといって、
子どもにどこまでの役割を背負わせていいかは、
まったく別の話です。
この出来事を
「特殊な家庭の問題」と片付けてしまうのは、
少し楽すぎる気がします。
共働きで余裕がない。
仕事も自己実現も、手放したくない。
でも、生活は回さなきゃいけない。
そのしわ寄せが、
一番立場の弱いところに集まってしまう。
これは、
今の社会では珍しい話じゃありません。
「お兄ちゃんだから」
「家族なんだから」
そう言われてきた役割の中に、
本当は子どもが背負わなくてよかった責任が
紛れ込んでいることもある。
それを指摘すると、
誰かを悪者にしなきゃいけない気がして、
私たちはつい目を逸らします。
でも、
目を逸らしたままでも、
構造は変わらない。
このニュースを見て、
あなたは何を感じたでしょうか。
怒りでしょうか。
不安でしょうか。
それとも、
どこかで自分の過去や未来を
重ねてしまったでしょうか。
「家族だから」で片付けてきたことの中に、
実は誰かの我慢が含まれていなかったか。
もし将来、
自分が親になったとき。
あるいは、
すでに家庭を持っているとしたら。
この話は、
決して他人事ではないはずです。
炎上したかどうかよりも、
この出来事をどう受け取るか。
その向き合い方自体が、
私たちの社会の余裕を
静かに映している気がします。
以上、お読みいただきありがとうございました。
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