普通の会社員が塾を立ち上げ、年商2,500万円になるまで。
〜10月5日 18:30
※この記事は約57,000文字あります。
少し長い記事ですが、僕が会社を辞め、生徒0人から教室を立ち上げてから約10年間の出来事を、一つの記事にまとめました。
有料note購入者の方には、記事の最後に連絡先を載せています。個人塾・スクール開業についてのご相談も可能です。
普通の会社員が塾を立ち上げ、年商2,500万円になるまで。
会社を辞めました。
それまで僕は、IT企業で会社員をしていました。
教育業界で働いた経験はありません。
塾講師をしていたわけでもありません。
大学・大学院では理系の道を進み、社会人になってからもIT企業で働いていたので、それまで教育とはほとんど縁のない人生でした。
そんな僕が会社を辞め、
学習塾とプログラミングスクールを始めました。
最初は、知り合いの先輩が経営する会社の新規事業として、僕が一から教室を立ち上げました。
1年目で20数人。
2年目には40人ほど。
そして開校から約4年後、
自分が立ち上げ、育ててきた教室を、自分の事業として独立させることを決めました。
教室を買い取るために必要だった金額は、約1,000万円。
その資金などを用意するため、
日本政策金融公庫から1,500万円を借りました。
そこから本当の意味で、自分の事業としての塾経営が始まりました。
独立後、生徒は50人、60人、70人と増え、
年商は約2,500万円まで伸びました。
ここまで書くと、
「会社を辞めて起業したら、うまくいった話」
に見えるかもしれません。
でも、そうではありません。
70人近くまで増えた生徒は、その後40人ほどまで減りました。
売上も約4割落ちました。
振り返れば、売上が増えたことで僕自身が少し満足してしまい、
生徒0人だった頃には必死にやっていたことを、いつの間にかやらなくなっていました。
会社員を辞めてから、約10年。
うまくいったこともあります。
失敗したこともあります。
独立もしました。
会社も作りました。
生活も大きく変わりました。
そして今は、塾を続けながら、また新しい事業にも挑戦しようとしています。
こんな人に読んでもらいたい
この記事は特に、
「いつか自分で何かやってみたい」
と思っている人に読んでもらえたらと思っています。
会社を辞めて、本当に大丈夫なのか。
独立して、自分で生活できるだけの売上を作れるのか。
そもそも、自分に起業なんてできるのか。
僕自身、会社員だった頃はそんなことを考えていました。
会社員生活が嫌で仕方なかったわけではありません。
安定した給料もありましたし、会社にいたからこそ経験できたこともたくさんあります。
それでも、
「一度、自分で商売をやってみたい」
という気持ちがずっとありました。
だから、会社を辞めました。
もちろん、
「会社を辞めて起業した方がいい」
と言いたいわけではありません。
ただ、普通に会社員をしていた一人の人間が、
生徒0人から商売を始め、
売上を作り、
失敗もしながら約10年間続けてきた。
その実例は、
「自分だったらどうするだろう?」
と考える材料にはなると思っています。
学習塾を始めてみたい人。
スクール事業に興味がある人。
小さな店舗ビジネスを始めたい人。
すでに独立していて、これから売上を伸ばしたい人。
そんな人にも、参考になる部分があると思います。
この記事では、
なぜ僕が塾という商売を選んだのか。
生徒0人から、どうやって20人、40人と増やしていったのか。
実際、塾を作るにはどれくらいのお金がかかったのか。
なぜ40人で一度成長が止まったのか。
なぜ1,500万円を借りてまで独立したのか。
どうやって年商2,500万円まで増えたのか。
そして、
なぜそこから生徒が40人まで減ったのか。
実際に経験したことを、できるだけ具体的な数字とともに書いていきます。
「いつか、自分で何かやってみたい」
と思っている人にとって、一つの参考になれば嬉しいです。
1.学生の頃から、いつか起業したいと思っていた
起業したいという気持ちは、学生の頃から漠然とありました。
学生時代には、ベンチャー企業やインターネット関連の会社でアルバイトもしていました。
ただ、
「大学を卒業したら、すぐに起業しよう」
とは思っていませんでした。
一度はちゃんと就職して、会社員として働いてみたい。
できれば大きな会社にも入ってみたい。
そんな気持ちがあり、大学院を卒業した後、大手IT企業に就職しました。
会社員として働いた期間は約4年間です。
大企業で働いてみて、学べたことはたくさんありました。
大きな組織がどうやって動いているのか。
仕事をどう進めるのか。
人にどう説明するのか。
企画をどう考えるのか。
今の自分の仕事にも、会社員時代の経験はかなり生きています。
ただ、働けば働くほど、僕の中で大きくなっていった感情もありました。
「もっと自分で決めたい」
という気持ちです。
大きな会社なので、当然、自分一人ですべてを決めることはできません。
決められた枠組みがあり、その中で自分の役割を果たしていく。
それが会社というものです。
でも僕は、そこにもどかしさを感じていました。
企画する。
サービスを作る。
値段を決める。
お客さんを集める。
お金を使う。
全部自分で決めてみたい。
学生時代には漠然としていた「いつか起業したい」という気持ちが、会社員として働くうちに少しずつ強くなっていきました。
2.でも「ITで起業する」がイメージできなかった
僕はもともとIT畑の人間です。
だから普通に考えれば、
「ITで起業すればいいじゃないか」
となります。
僕自身、もちろん考えました。
アフィリエイトなど、インターネットで収益を作ることにも挑戦しました。
でも、うまくいきませんでした。
そして何より、当時の僕には、
一人でソフトウェアを作って、そこから継続的にお金を稼ぐ
ということが、あまりイメージできませんでした。
今は生成AIがあります。
一人でもAIにプログラムを書いてもらえる。
デザインも手伝ってもらえる。
文章も作れる。
アイデアを一緒に考えてもらうこともできる。
でも、当時はそうではありません。
Webサービスを一つ作ろうと思えば、自分で企画して、デザインして、プログラムを書いて、運営して、集客する必要があります。
一人で全部やって、それを毎月安定した収益につなげる。
僕には、あまり現実的に感じられませんでした。
そんなとき、身近に学習塾で起業している先輩がいました。
3.僕が「塾」という商売に惹かれた理由
社会人になってからも、その先輩とは年に一度くらい会っていました。
そこで僕が興味を持ったのが、
「スクールというビジネスの仕組み」
でした。
学習塾には生徒が通ってくれる。
そして毎月、月謝という形で売上が入ってくる。
もちろん、生徒を集めるのは簡単ではありません。
それでも、
「生徒が20人いれば、月謝がこれくらい」
「50人になれば、これくらい」
と計算できます。
当時の僕には、それがとても分かりやすかった。
Webサービスを作って、
「来月いくら売れるか分かりません」
という状態より、
生徒が通ってくれている限り、毎月月謝が入る。
このビジネスモデルが、自分にはイメージしやすかったのです。
そして僕には、IT・プログラミングの経験があります。
だったら、
「学習塾とプログラミングスクールを同じ場所でやったらいいんじゃないか」
と考えました。
先輩が持っている学習塾経営のノウハウ。
僕が持っているITの経験。
この2つを組み合わせて、新しい教室を作ることになりました。
4.29歳。「20代のうちに何か始めたい」と会社を辞めた
僕が会社を辞めたのは29歳のときです。
起業したいという気持ちは以前からありました。
でも、もう一つ背中を押したものがありました。
「20代のうちに何か新しいことを始めたい」
という気持ちです。
このまま会社員として30代を迎えるのか。
それとも20代最後のタイミングで、自分のやりたいことに挑戦するのか。
僕は後者を選びました。
年が明けた1月。
僕から先輩に、
「会社を辞めて、一緒にやりたいです」
と話しました。
先輩から誘われたわけではありません。
自分から会社を辞めることを決めて、自分から話を持ちかけました。
先輩からすれば、自分の会社で新しい教室を一つ作ることができる。
僕からすれば、実際に塾を経営している人からノウハウを学びながら、ゼロから教室を立ち上げられる。
お互いにメリットがありました。
5.事業に200万円。生活用にもう200万円
新しい教室を立ち上げるにあたって、僕は200万円を用意しました。
新しい事業を始める以上、お金はかかります。
先輩の会社に入って新しい教室を作るのに、すべてを負担してもらうつもりもありませんでした。
もちろん、一緒に事業を頑張っていきたいという気持ちはありました。
ただ、
「先輩に雇ってもらう」
という形にはしたくありませんでした。
会社を辞めて新しいことを始めるのに、最初から全部おんぶに抱っこでやってもらうつもりはなかった。
自分もきちんとリスクを取って、この事業に参加したいと思っていました。
そこで、自分で用意した200万円を会社に入れました。
そして、それとは別に約200万円の貯金を残していました。
こちらは生活費です。
「この200万円で1年間生活しよう」
と考えていました。
今考えると、なかなか思い切ったことをしています。
でも当時は、
「なんとかなるだろう」
という気持ちの方が強かった。
29歳だったからできたのかもしれません。
6.少子化なのに、今から学習塾?
物件は、先輩の人脈から見つかりました。
経営者の集まりを通じて知り合ったビルオーナーさんがいて、そのビルの一室を貸してもらえることになったのです。
家賃は月23〜24万円ほど。
今の僕なら、初めて個人で塾を作る人には、
「できれば家賃15万円以下にした方がいい」
と言います。
20万円を超えると、最初の固定費としてはかなり重いです。
ただ、僕たちが選んだ場所には大きなメリットがありました。
子どもが増えている地域だったことです。
タワーマンションが次々と建ち、子育て世帯が流入していました。
小学校、中学校の生徒数も増えていました。
ここで、
「そもそも少子化なのに、今から学習塾?」
と思う人もいるでしょう。
僕自身も少し心配しました。
でも、小さな塾を一つ経営するのであれば、僕は日本全体の少子化をそこまで気にする必要はないと思っています。
例えば、自分の商圏に小学生・中学生が合わせて2,000人いるとします。
その2,000人全員に来てもらう必要はありません。
最初の目標は20人。
その後50人を目指す。
それで十分商売になります。
仮に一人あたりの月謝が2万円なら、
50人 × 2万円 = 月商100万円。
もちろん、ここから家賃や人件費などが出ていくので、100万円がそのまま利益ではありません。
でも、小さな事業として考えれば十分成立します。
大切なのは、
「日本に子どもが何人いるか」ではなく、「自分の教室から通える範囲に何人いるか」
です。
だから、塾の物件を探すなら、近隣の小学校・中学校の児童生徒数はかなり重要だと思います。
7.塾は、驚くほど簡単に作れた
会社を辞めることを決めたのが1月。
3月は有給消化期間でした。
その3月から物件を借りて、教室の準備を始めました。
そして4月に開校。
実際に準備した期間は、2〜3週間くらいだったと思います。
やったことは、本当にシンプルです。
机を置く。
椅子を置く。
ホワイトボードを置く。
コピー機を入れる。
業務用パソコンを1台。
プログラミング授業用のパソコンを2台。
固定電話とインターネットを契約する。
屋外看板とのぼりを設置する。
それくらいです。
教室には4つの授業スペースを作りました。
1つのスペースに長机を2台、椅子を4脚。
講師1人に対して、生徒3人を基本として授業ができるようにしました。
仕切りにはホワイトボードを使いました。
プログラミング用の大きな机と椅子は、前にそのテナントを使っていた人が置いていったものが残っていて、オーナーさんのご厚意でそのまま使わせてもらいました。
先輩から譲ってもらった古いiPadも使いましたし、自分が持っていたiMacも教室に持ち込みました。
使えるものは、何でも使う。
そんな感じでした。
建物自体もかなり年季の入ったビルです。
トイレも決して綺麗とは言えませんでした。
それでもリフォームはしませんでした。
もちろん自分で掃除をして、できるだけ清潔にはします。
でも、壁紙を張り替えたり、おしゃれな照明を入れたり、カフェのような教室にしたり。
そういうことには、お金を使いませんでした。
ここで僕が驚いたのが、
「塾って、こんなにお金をかけずに作れるんだ」
ということでした。
飲食店なら厨房が必要です。
美容室なら専用の設備が必要です。
店舗によっては、内装だけで数百万円かかります。
でも塾は、極端に言えば、
机と椅子と教材があれば授業ができます。
実際、僕たちが教室を作るために購入した主要な設備だけなら、50万円もかかっていなかったと思います。
ただし、これはあくまで教室の中を作る費用の話です。
普通にテナントを借りれば、保証金や礼金、仲介手数料、前家賃など、物件を借りるためのお金が別に必要になります。
僕の場合はかなり幸運でした。
ビルのオーナーさんとのご縁があったことで、最初の3か月をフリーレントにしてもらい、保証金などもほとんど必要ありませんでした。
家賃自体は月23〜24万円ほどと、個人で始める塾としては高めでした。
それでも、初期費用をほとんどかけずに教室をスタートできたことは、とても大きかったと思います。
生徒が0人の段階で、内装に何百万円も使う必要はない。
まず授業ができる環境を作る。
売上ができてから、必要なものを少しずつ足していけばいい。
最初から完成された教室を作る必要なんてない。
今振り返っても、この考え方は正しかったと思っています。
8.4月、生徒0人で開校した
教室ができました。
机もある。
椅子もある。
看板もある。
ホームページも作りました。
Googleマップにも登録しました。
SNSも作りました。
そして4月。
教室を開校しました。
ただし、
生徒は0人です。
当然、授業をする相手はいません。
そこで先輩から教わった集客方法を実践しました。
ものすごくシンプルです。
「とにかくチラシを配る」
生徒がいないので、時間はいくらでもあります。
昼から夜まで、ひたすら近隣のマンションを歩いて、チラシをポストに入れていきました。
すると、ありがたいことに問い合わせの電話が鳴るようになりました。
当時の感覚では、2〜3日に1回くらいです。
今振り返ると、新しくできたばかりで、実績も口コミもない塾に電話をかけてくれる人がいたこと自体、すごいことだと思います。
何年も地域でやっている有名な塾ではありません。
合格実績もない。
口コミもない。
生徒すらまだいない。
それでも、
「新しい塾ができたみたいだから、一度話を聞いてみよう」
と思ってくれる保護者の方がいました。
問い合わせの電話が鳴るだけで、緊張した
最初の頃は、問い合わせの電話に出るだけでもかなり緊張しました。
今なら普通に、
「お問い合わせありがとうございます」
と話せます。
でも当時は、そんな経験もありません。
電話に出たら何を聞けばいいのか。
学校名。
学年。
子どもの名前。
何を習いたいのか。
体験授業はいつにするのか。
そういうことを紙に書き出して、
電話で話すセリフまで用意していました。
そして、電話がかかってくる前に、それを見ながら一人で練習する。
今思えば、営業職の人がやる営業ロープレのようなものを、自分一人でやっていたのだと思います。
電話が鳴る。
緊張しながら出る。
紙を見ながら話す。
名前や学校名を書き留める。
体験授業の日程を決める。
最初は、そんな一つひとつが全部初めての経験でした。
「休日だから電話に出ない」という感覚がなくなった
会社員だった頃との違いも感じました。
会社員時代の僕は、仕事とプライベートをかなり分けていました。
仕事が終われば自分の時間。
休日に仕事の電話へ対応するなんて、できればしたくありませんでした。
でも、自分で商売を始めると、その感覚が変わりました。
土曜日でも日曜日でも、電話が鳴れば出る。
なぜなら、その一本の電話が、
生徒になるかもしれないからです。
生徒を増やす。
売上を作る。
この教室で生活していける状態を作る。
当時は、それが最優先でした。
不思議なのは、会社員だった頃なら「休日に仕事なんてしたくない」と思っていたのに、自分の商売になると、それほど苦痛ではなかったことです。
誰かにやらされているわけではありません。
自分で始めたことだから、自分でやる。
同じ仕事でも、感覚はずいぶん違いました。
最初の生徒は、小学1年生だった
そして、最初に入会してくれた生徒のことは、今でも覚えています。
学習塾ではなく、
プログラミングスクールに来てくれた小学1年生の男の子でした。
生徒0人だった教室に、初めて一人の生徒ができました。
そこから、一人、また一人と少しずつ増えていきます。
そしてこの記事を書いている2026年。
あのとき小学1年生だった最初の生徒は、
高校1年生になりました。
今でも僕の塾に通ってくれています。
さらに、その子の弟も現在小学6年生で、同じように通ってくれています。
こうして文章にしてみると、不思議な気持ちになります。
29歳で会社を辞めて、誰もいない教室を作った。
問い合わせの電話に出るのに緊張して、紙にセリフを書いて練習した。
チラシを配った。
そして、その教室に小学1年生の子が一人来てくれた。
その子が今、高校生になっても目の前にいる。
開校1年目に入ってくれた生徒の中には、今も通ってくれている子がいます。
すでに卒業して大学生になった子の中にも、今でも連絡を取る子がいます。
当時は、そんな未来のことなんて考えていませんでした。
とにかく生徒を増やさないといけない。
生活していかないといけない。
その一心でした。
でも10年近く経って振り返ると、あのとき必死になって集めていたのは、単なる「売上」だけではなかったのだと思います。
一人の生徒に来てもらうということは、その子やその家族と、何年にもわたる関係が始まるということでした。
これは、塾という仕事を長く続けてきて良かったと思えることの一つです。
ここまで、生徒0人の状態から最初の一人が来てくれるまでを書きました。
でも、本当に大変だったのはここからでした。
生徒を20人、40人と増やしていくために、僕が最初の2年間にやったことは、決して華やかなものではありません。
何千枚、何万枚とチラシを配り、スーパーや公園でも直接声をかけました。
それでも3年目には、1万枚配って問い合わせ1件というところまで反応が落ちました。
それでも教室は40人、50人、60人、70人と増え、最終的には年商2,500万円ほどになります。
そして、その後また40人まで減ります。
ここからは、
「0人からどうやって商売を作ったのか」
そして、
「一度うまくいった商売が、なぜまた落ちていったのか」
を、実際の数字と失敗も含めて書いていきます。
ここから先は
9月5日 18:30 〜 10月5日 18:30
この記事が気に入ったらチップで応援してみませんか?
