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1日30分の読書を続ける。

「今年こそ本を読もう」と思い、書店で何冊か買う。最初の一週間は順調に読めても、仕事が忙しくなると少しずつ本を開かなくなります。数週間後には、机の上に積まれた本だけが残っている。そんな経験がある人は、少なくないと思います。
読書が続かないのは、意欲が足りないからではありません。読書を「時間がある日にすること」にしているからです。しかし、時間は待っていてもなかなか空きません。
読書を続けたいなら、「毎日30分読む」と決めるだけでなく、それを生活の具体的な行動にまで落とし込む必要があります。

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最初は、成果より続けること

2007年に初版が販売された古市幸雄氏の『「1日30分」を続けなさい!』は、単なる勉強法の本ではありません。社会人が勉強を生活に組み込むための、習慣設計の本です。この考え方は、読書にもそのまま当てはまります。私は学生だったころにこの本を手にとりました。そこから30分でもいいから毎日勉強をし続けようと心に決め20年近くが経ちます。
スキルアップのための本を読み始めると、「仕事に使える知識は増えたか」「考える力は上がったか」「成長を実感できるか」と、すぐに成果を求めたくなります。けれども、10冊や20冊読んだからといって、明確な変化を感じられるとは限りません。一冊読んだだけで、翌日から仕事ができるようになるわけでもありません。
だから、最初は成果よりも、続けることを優先してよいと思います。本を開いて30分読む。それができたら、その日の読書は成功です。内容をすべて覚えていなくても、最後まで読み終わらなくても構いません。
成果を測るのは、もっと後で十分です。

知識は、ある日つながり始める

読書の効果が分かりにくいのは、知識が一冊ずつ独立して増えるわけではないからです。最初のうちは、読んだ内容が頭の中に点として置かれていきます。
組織についての本を読む。意思決定についての本を読む。心理学や経済学、歴史についての本を読む。読み始めたばかりの頃は、それぞれの内容が別々の知識に見えるかもしれません。
ところが、ある程度の知識がたまると、点と点がつながり始めます。「この経営の話は、以前読んだ心理学の話と同じ構造ではないか」「この会社で起きている問題は、別の業界でも起きていた」「著者は違うが、二人とも同じ前提から議論している」と考えられるようになります。
新しく読んだ本が、過去に読んだ本を思い出させます。そして、過去の知識が、新しい知識を理解するための土台になります。ここまで来ると、一冊の本から得られるものも少しずつ増えていきます。
読書量が二倍になったから、知識が単純に二倍になるわけではありません。知識同士が相互作用することで、考えられることが増えていきます。ただし、この状態になる前に読書をやめてしまう人も多いでしょう。成果が見えない期間が長いからです。
だからこそ、最初は成果を細かく問わず、ある程度の知識がたまるまで続けることが大切です。

三日坊主でも大丈夫

「毎日30分読む」と決めると、一日でも読めなかったことを失敗だと考えてしまうことがあります。けれども、一日休んだからといって、それまでの読書が無駄になるわけではありません。
毎日続けられるのが理想ではありますが、仕事が遅くなる日もあれば、体調が悪い日もあります。旅行や会食で、本を開けない日もあるでしょう。10回に1回、あるいは2回くらい読めない日があっても構いません。
仮に一年のうち300日だけ読んだとしても、合計の読書時間は150時間になります。二年なら300時間、三年なら450時間です。一日休んだことよりも、休んだまま再開しないことのほうが、大きな問題になります。
三日坊主でも大丈夫です。三日読んで、二日休み、また三日読めばよいのです。
習慣とは、一度も中断しないことではありません。中断しても、また元の行動へ戻れることです。

「毎日30分」を行動パターンにする

「毎日30分、本を読む」と決めるだけでは、実際の行動につながらないことがあります。いつ、どこで、どのように読むかまで決めておくと、続けやすくなります。
例えば、平日は30分早く寝て、30分早く起きます。そして、いつもより30分早く会社の近くまで行き、カフェで本を読みます。土日は朝起きたら着替えて、近所のカフェへ行く。毎回カフェを使うとお金がかかるなら、図書館の閲覧席を使ってもよいでしょう。
どこで読むかに、唯一の正解があるわけではありません。大切なのは、「朝に余裕があれば読む」「仕事が早く終われば読む」「休日に時間ができたら読む」という曖昧な条件をやめることです。
例えば、次のような行動まで決めておきます。

  • 平日は、出社前に会社の近くで読む

  • 土日は、朝食後に図書館で読む

  • 前日の夜に、本を鞄へ入れておく

  • 読み終わる前に、次の本を用意する

ここまで具体化すると、読書をするかどうかを毎回判断する必要がなくなります。決められた時間に、決められた場所へ行き、本を開くだけになります。
読書を続けるためには、意志を強くするよりも、考えなくても始められる仕組みを作るほうが効果的です。

本は何冊か積んでおく

買った本を読まずに積んでおくことは、あまり良くないことだと言われます。しかし、読書を続けたいなら、読みたい本を何冊か手元に置いておいたほうがよいと思います。
一冊を読み終えるたびに、次の本を探して注文していると、そこで読書が途切れます。読みたい本が届くまでの数日間に、朝の30分がスマートフォンを見る時間へ戻ってしまうかもしれません。
また、今読んでいる本が面白くないこともあります。そのときに別の本がなければ、つまらない本を我慢して読むか、読書そのものをやめることになります。
本を積んでおくのは、未読本をためるためではありません。次に読む本を選べる状態を作るためです。常に数冊の候補があれば、その日の関心や集中力に合わせて本を選べます。
本を何冊か手元に置いておくことで、読書を始めるまでの手間も小さくなります。

最初から全部読まなくてもいい

本の読み方は一つではありません。最初から最後まで丁寧に読む方法もあれば、目次を見て必要な章だけ読む方法もあります。全体を速く読んでから、重要な部分だけを読み直しても構いません。
読書に慣れていない時期は、選読でも十分です。まず目次を読み、次に「はじめに」と終章を読む。そのうえで、自分が知りたい部分や、面白そうな章から読み始めます。
一冊を最初から最後まで読まなければならないと考えると、読書の負担は大きくなります。難しい本や興味の薄い章に当たった瞬間に、読むこと自体が止まってしまうかもしれません。
本を読む目的は、読了した本の冊数を増やすことではありません。自分の問いに対する答えを得て、考え方や行動を更新することです。
慣れてきたら、重要な本はじっくり読めばよいと思います。同じ本を二度読んでも構いません。すべての本を、同じ深さ、同じ速度で読む必要はありません。

年間100冊は、毎日の結果である

毎日30分の読書を続けると、年間ではかなりの時間になります。読む速さや本の厚さにもよりますが、選読を取り入れれば、年間100冊も現実的な数字になります。
ただし、「今年は100冊読む」とだけ考えると、読書が冊数を追う作業になってしまいます。100冊という数字を意識するのは、年初や月末くらいで十分です。毎日考えるべきなのは、今日の30分です。
一年間に100冊読む人とは、特別に読むのが速い人ではありません。本を読む時間を、生活の中に持っている人です。
読書の成果は、すぐには見えません。しかし、読んだ知識は少しずつたまり、やがて互いにつながり始めます。途中でサボっても構いませんし、面白くない本を最後まで読まなくても大丈夫です。大切なのは、翌日や翌週に、また本を開くことです。
一日30分は短い時間です。それでも、一年、二年、三年と続けた人と、「いつか時間ができたら読もう」と考え続けた人の間には、大きな差が生まれます。
年間100冊は、最初から追いかける目標というより、毎日の積み重ねによって後からついてくる結果です。まずつくりたいのは、たくさんの本を速く読む能力ではありません。
毎日30分、本を開く生活です。


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