【Music Archive】SUMMER SONIC 2026──私の音楽史が交差する一日
今年、初めてSUMMER SONICへ行く。
ずっと興味のあるフェスだった。
世界中のトップアーティストが集まり、ロック、ポップス、ファンク、メタル、ヒップホップ……ジャンルの垣根を越えて音楽が鳴り響く。
音楽好きなら、一度は足を運んでみたい場所。
ようやく、その舞台へ立てる。
本当なら3日間すべて行きたかった。
しかし現実はそうはいかない。
仕事を考えれば休めるのは16日の一日だけ。
だから私は16日を選んだ。
でも、その一日を選ぶということは、同時に「見られないアーティスト」を受け入れることでもあった。
フェスとは「何を見るか」ではなく、「何を諦めるか」
サマソニのタイムテーブルを開いて最初に思ったこと。
それは、
「何を見よう。」
ではなく、
「何を諦めよう。」
だった。
一番悔しかったのはThe Strokes。
私がThe Strokesを聴くようになった理由は、単純にヒットしていたからではない。
もともと私は、音楽だけではなくモッズというスタイルに興味を持っていた。
シャープなシルエット。
イギリスらしい美学。
その流れから60年代のガレージロックにも興味を持つようになった。
そして、そのガレージロックを2000年代に蘇らせた存在として語られていたのがThe Strokesだった。
彼らを聴いたことで、「ガレージロック」というジャンルが、自分の中で一つの価値観になった。
だから今回、見られないことは本当に悔しい。
Kasabianも同じだ。
ポストパンク・リバイバルを聴き始めた頃、Franz Ferdinandと並んで語られる存在だった。
しかし私が惹かれた理由は少し違う。
Kasabianは、ロックでありながらクラブミュージックとも自然につながっていた。
ギターだけでは終わらない。
ダンスミュージックのグルーヴを持ちながら、それでもロックとして成立している。
その感覚は、自分がUKサウンドを好きになっていく中で欠かせないものになっていった。
そして15日にはDavid Byrne。
Talking Headsのフロントマン。
ポストパンクという時代を語るうえで欠かせないレジェンドである。
私はこれまでロック史について考え、noteを書いてきた。
だからDavid Byrneは「有名なミュージシャン」ではない。
歴史を作った本人だ。
その空気を、生で体感してみたかった。
15日はDavid Byrneだけではない。
サカナクションも出演する。
ライブの評価が非常に高いバンドだけに、一度その空間を体感してみたかった。
それでも今回は諦めるしかない。
それでも、16日を選ぶ理由
それでも私は16日を選んだ。
理由は一つ。
Jamiroquai。
学生時代から約30年。
自分の音楽人生の中心には、いつもJamiroquaiがいた。
もちろん、それだけではない。
ENDRECHERI.(堂本剛)も気になる。
最近、日本のファンクに興味を持ち始めた自分にとって、彼がどんなグルーヴを生み出すのか体感してみたい。
Pentatonixも同じだ。
音源では知っている。
でも、フェスという大きな空間で、楽器を使わないアカペラがどんな景色を作るのかは想像がつかない。
そしてBABYMETAL。
アイドルとヘヴィメタル。
文字だけ見れば異質な組み合わせだ。
しかし、その融合が世界中で支持されている。
それはなぜなのか。
知識ではなく、自分の目と耳で確かめてみたい。
Crystal Watersも楽しみなアーティストの一人だ。
90年代、何度も聴いたディーバの一人である。
あの時代のハウスミュージックを代表する存在を、同じ日に見られる機会はそう多くない。
もっとも、出演時間はJamiroquaiと重なる。
今回は迷わずJamiroquaiを選ぶ。
それでも、Crystal Watersが同じフェスに出演していること自体が、この日の特別さを感じさせてくれる。
さらに、この日のマリンステージのヘッドライナーはL’Arc〜en〜Ciel。
日本を代表するロックバンドが、大トリとしてどんなステージを見せるのかも気になる。
「Driver’s High」をあの大音量で聴けたら最高だっただろう。
しかし、こちらも出演時間はJamiroquaiと重なる。
今回の私に迷いはない。向かう先はJamiroquaiだ。
フェスでは、何かを選ぶということは、何かを諦めることでもある。
だから今回、私が向かうのはマウンテンステージだ。
「知っている音楽」と「まだ知らない音楽」
こうして並べてみると、不思議なことに気付く。
The Strokes。
Kasabian。
David Byrne。
これらは、自分が歩いてきた音楽史を形作ってきたアーティストだ。
一方で、
ENDRECHERI.。
Pentatonix。
BABYMETAL。
彼らは、これから自分の音楽史に加わるかもしれない存在である。
つまり、サマソニは懐かしい音楽を確認する場所ではない。
これまで積み重ねてきた音楽と、これから出会う音楽が交差する場所。
だから私は、このフェスに惹かれたのだと思う。
8月16日へ
今年のサマソニは、私にとって「ライブを観る一日」ではない。
自分がこれまで歩いてきた音楽史を振り返り、そして、まだ知らない音楽へ一歩踏み出す一日だ。
見られないアーティストもいる。
その悔しさは、きっと当日も消えないだろう。
それでも、一つだけ確かなことがある。
8月16日。
幕張メッセで鳴り響く音は、単なるフェスの音ではない。
それは、これまで歩いてきた私自身の音楽史と、これから始まる新しい音楽史が重なる音になる。
だから私は、今年初めてSUMMER SONICへ向かう。
期待と少しの未練、その両方を胸に抱きながら。
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