スウェーデンウインク
初めての父子二人でのキャンプ。
夕暮れが迫り、キャンプの醍醐味、焚火の準備だ。
「パパ、これ何?」
息子が指さすのは丸太に十字の切れ目が入った不思議な木。
「スウェーデントーチっていうんだ」
父が笑う。
「丸太に火をつけると、切れ込みから空気が入って、煙突みたいにきれいに燃えるんだよ」
火をつけると、丸太の切れ目からゆっくり炎が立ち上る。
パチパチ、パチン、と心地よい音が夜の静けさに響いた。
夜空には満天の星が瞬いている。
「きれいだね」
「だろ?」
心地よい時間が、ゆっくりと流れる。
「さて、そろそろテントに入ろうか」
父がそう言った瞬間。
パチッとスウェーデントーチの左側だけ火花が跳ねた。
まるで、丸太がウインクしてみせたようだ。
「パパ、今、焚火が笑った!」
「そう、これがスウェーデンウインク」
父のほほが緩む。
息子は目を輝かせて笑った。
星空の下、親子の笑い声が木立に吸い込まれていった。
文字数:383字
もちろんスウェーデントーチはキャンパーによく知られていますが、スウェーデンウインクという言葉はありません。
