【連載3/6】AI冷却の本命4社|Vertiv・Eaton・ダイキン・高砂熱学を最新決算で読み解く
はじめに:冷却は「裏方」ではなく「主役」になりつつある
前回は、電力編をお届けしました。
20年単位の長期PPA。 休止原発の再稼働。 SMRへの投資。
ハイパースケーラーが 電力をめぐって動いている現場を、 エンジニアの視点で読み解きました。
今回は、冷却編です。
「冷却」と聞くと、 地味に聞こえるかもしれません。
エアコンや空調設備。 昔ながらの設備業界。
そんなイメージがありますよね。
でも、AIインフラの世界では、 冷却はもう「裏方」ではありません。
主役のひとりになりつつあります。
理由はシンプルです。
冷却が止まれば、 GPUは動きません。
そして冷却能力は、 GPUの性能をどこまで引き出せるかに 直結します。
冷却は、AIデータセンターの 「性能の天井」を決めるパーツに なりつつあるのです。
今回は、その冷却テーマを、 日米の有力企業と決算データから、 丁寧に読み解いていきます。
なぜ「冷却」がここまで重要になったのか
最初に、シンプルな事実を共有します。
AIサーバーの発熱量は、 普通のサーバーとは桁が違います。
ダイキン工業の投資家向け資料では、 AIラックの電力密度が今後さらに高まり、 100kW級から、将来的には数百kW級へ進む 可能性が示されています。
これは、非常に大きな変化です。
電力を使うということは、 そのまま熱を出すということです。
つまり、AIラックは、 電力問題であると同時に、 熱問題でもあります。
ここで、致命的な問題が起きます。
従来のデータセンターは、 基本的に空冷を前提に設計されてきました。
部屋全体に冷たい風を送る。 床下から冷気を出す。 天井側から熱気を抜く。
これが、昔ながらの標準でした。
ところが、1ラック100kW級を超えてくると、 従来型の空冷だけでは対応が難しくなります。
空気は、熱を運ぶ力が弱いからです。
冷たい風をどれだけ送り込んでも、 チップから出る熱を取り切れない。
ここで初めて、 「液冷」というキーワードが 本気で意味を持ち始めます。
液冷とは、何か
液冷とは、 冷却液を使ってサーバーを冷やす方式です。
水や専用の冷却液を使い、 サーバーやチップの近くで熱を受け取ります。
空気よりも液体の方が、 熱を運ぶ力が強いからです。
液冷の方式は、 大きく3つに分かれます。
1. リアドア式
ひとつ目は、リアドア式です。
サーバーラックの背面に、 ラジエーターのような熱交換器を取り付けます。
そこで、サーバーから出る熱を奪います。
比較的、既存ラックに後付けしやすいのが特徴です。
完全なチップ直接冷却ではありませんが、 高密度ラックへの移行期には 重要な選択肢になります。
2. ダイレクト・リキッド・クーリング
ふたつ目は、 ダイレクト・リキッド・クーリングです。
DLCとも呼ばれます。
サーバーの中に、 コールドプレートと呼ばれる金属板を組み込みます。
そこに冷却液を流して、 GPUやCPUなどのチップを直接冷やします。
NVIDIAのGB200 NVL72のような 高密度AIラックでは、 直接液冷を前提とした設計が進んでいます。
これは、冷却方式の大きな転換点です。
3. 液浸冷却
三つ目は、液浸冷却です。
イマージョン・クーリングとも呼ばれます。
サーバー全体を、 絶縁性のある冷却液に丸ごと浸す方式です。
冷却効率は非常に高いです。
一方で、運用や保守の難易度も上がります。
そのため、現時点では、 かなり特殊な用途や実証的な導入が中心です。
主流になりつつあるのはDLC
ここで、エンジニア視点で 重要なポイントがあります。
今後の主流になりつつあるのは、 DLC、つまりコールドプレート式です。
理由はシンプルです。
既存のサーバー構造を比較的維持したまま、 発熱の大きいチップだけを集中的に冷やせるからです。
サーバー全体を液体に沈めるより、 運用面のハードルが低い。
空冷よりも、 高密度ラックに対応しやすい。
この中間にある現実解が、 DLCだと見ています。
NVIDIAを中心に、 高密度AIチップでは直接液冷を前提とした 設計が広がりつつあります。
つまり、DLCを供給できる企業に、 これから大きなお金が流れる可能性があります。
ここから先:本命4社の分析
ここまでが、冷却テーマの全体像です。
ここから先は、 具体的にどの企業が このテーマの本命になりそうかを、 最新決算と戦略から読み解いていきます。
取り上げるのは、次の4社です。
グローバル:
Vertiv Holdings(VRT)
Eaton(ETN)
日本:
ダイキン工業(6367)
高砂熱学工業(1969)
それぞれについて、 最新の決算数字、 M&A戦略、 強みと注意点を、 エンジニア視点で読み解いていきます。
決算書だけでは見えにくい 「実装側からの景色」をお届けします。
【ここから有料パート】
グローバル有力企業:Vertiv
最初に紹介するのは、 Vertiv Holdingsです。
Vertivは、データセンター向けの 電源・冷却の総合プレーヤーです。
UPS。 スイッチギア。 バスウェイ。 ラック。 チラー。 空調機。 液冷システム。
これらをセットで提供できる、 数少ない企業のひとつです。
なぜVertivが、 AI冷却テーマで注目されるのか。
理由は3つあります。
理由1:NVIDIA関連インフラへの関与
Vertivは、NVIDIA Vera Rubin DSX AI Factory向けの 電源・冷却インフラ設計に関与しています。
これは、エンジニア視点で見ると、 非常に重要です。
NVIDIAの次世代AI基盤では、 GPUだけでなく、 それを支える電源・冷却設計が必要になります。
Vertivは、その物理インフラ側で 存在感を高めています。
つまりVertivは、 AIデータセンターの「土台」を支える企業です。
GPUの性能を引き出すには、 電源と冷却が必要です。
この部分を押さえているのが、 Vertivの強みです。
理由2:受注残高の大きさ
Vertivの強さは、 受注残にも表れています。
2025年第4四半期時点での受注残高は、 約150億ドル規模とされています。
これは、2024年同期比で 大きく伸びた水準です。
2025年の通期売上が約102億ドルだったことを考えると、 売上の1年分を超える受注を すでに抱えていることになります。
さらに、2025年Q4の Book-to-Bill比率は2.9でした。
Book-to-Billとは、 受注額を売上で割った指標です。
簡単にいうと、 「売った分に対して、どれだけ新しい注文が入ったか」 を見る数字です。
1.0を超えていれば、 売上以上に受注が積み上がっている状態です。
2.9という数字は、 非常に強い需要を示しています。
つまり、Vertivは 需要が供給を大きく上回る局面にいると見られます。
理由3:2026年Q1決算後の上方修正
2026年第1四半期決算でも、 Vertivは強い数字を出しています。
オーガニック売上成長は23%。
オーガニック成長とは、 買収などの影響を除いた実力ベースの成長です。
つまり、既存事業そのものが 大きく伸びているということです。
そして注目すべきは、 Q1決算後にVertivが 通期ガイダンスを上方修正した点です。
修正後の通期ガイダンスは、 売上137.5億ドル、 調整後EPS6.35ドル前後とされています。
EPSは前年比で大きな伸びが見込まれる水準です。
会社自身が上方修正を出している。
これは、需要が 現場レベルで本物であることを示す、 重要なシグナルです。
Vertivの注意点
ここまで強い数字が並びますが、 Vertivにもリスクはあります。
最大のリスクは、 株価の織り込みです。
Vertiv株は、 AIインフラ関連銘柄として すでに大きく注目されています。
需要の強さと業績の強さは本物です。
ただし、その期待が 株価にどこまで織り込まれているかは 別問題です。
PERは決して安くありません。
もし成長率の鈍化が見えた場合、 大きく調整する可能性があります。
つまりVertivを見るときの論点は、 「需要が強いか」ではありません。
その需要が、いつまで、どの速度で続くのか。
ここです。
そのためには、 四半期ごとの受注残高と Book-to-Bill比率を追う必要があります。
競合の存在:Eaton
Vertivの競合として重要なのが、 Eatonです。
Eatonは、もともと 電気機器の総合メーカーです。
UPS。 配電盤。 スイッチギア。 電源管理。
このあたりで、 非常に大きな存在感を持っています。
冷却分野では、 Vertivほど前面に出ていない印象もありました。
しかし、Eatonは大型買収で 一気に追い上げています。
それが、Boyd Thermalの買収です。
Boyd Thermalは、 液冷とサーマルマネジメントの大手です。
買収金額は95億ドル。
AI冷却分野では、 非常に大きなM&Aです。
Eatonは、2026年3月に Boyd Thermalの買収を完了しました。
2026年の売上貢献は、 約17億ドルが見込まれています。
これによりEatonは、 「電源は強いが、冷却は弱い」 という弱点を補いました。
エンジニア視点で見ると、 これは大きな意味を持ちます。
ハイパースケーラーは、 電源と冷却をセットで考えるようになっています。
大規模AIデータセンターでは、 電源だけ、冷却だけでは不十分です。
電源設計と熱設計を まとめて最適化する必要があります。
ワンストップで提案できる企業は、 大型案件を取りやすくなります。
その意味で、 VertivとEatonの直接対決は、 これから本格化すると見ています。
日本の有力企業①:ダイキン工業
日本側に視点を移します。
冷却テーマで注目したい日本企業が、 ダイキン工業です。
ダイキンは、 家庭用エアコンや業務用空調で 世界的に有名な企業です。
ただ、近年は データセンター向け冷却事業を かなり強化しています。
数字を見ると、 その本気度が分かります。
ダイキン北米データセンター冷却事業
ダイキンは、 北米のデータセンター冷却事業について、 大きな成長目標を掲げています。
2023年は約230億円。 2025年は約1,000億円規模。 2030年には3,000億円以上を目指す。
このような成長イメージが示されています。
これは、単なる空調メーカーとしてではなく、 AIインフラの冷却企業として 事業を拡大する意思の表れだと見ています。
ダイキンは、 主要ハイパースケーラーへの採用拡大を 目指していると説明しています。
つまり、家庭用エアコンの会社ではなく、 AIデータセンターの冷却を担う会社として、 自社の位置づけを変えようとしているのです。
ダイキンの戦略の核心
ダイキンの強みは、 空冷と液冷を組み合わせて、 ワンストップで提供しようとしている点です。
AIデータセンターの冷却は、 ひとつの機器だけでは完結しません。
建物全体の冷却。 ラック単位の冷却。 チップ直接冷却。 制御システム。
これらを組み合わせる必要があります。
ダイキンは、この領域を M&Aで一気に広げています。
1. 建物全体の冷却
まずは、データセンター全体の大空間冷却です。
ダイキンは、 Alliance Air Productsの買収により、 北米データセンター向けの 空調設備を強化しました。
これは、施設全体を冷やす領域です。
2. ラック単位の冷却
次に、サーバーラック単位の冷却です。
ダイキンは、 米Dynamic Data Centers Solutions(DDCソリューションズ)の 買収基本合意を通じて、 リアドア式などのラック冷却領域を 強化しようとしています。
リアドア式は、 既存ラックにも導入しやすい方式です。
空冷から液冷へ移行する途中の段階で、 重要な役割を果たす可能性があります。
3. チップ直接冷却
三つ目が、DLCです。
ダイキンは、Chilldyneの買収により、 チップ直接冷却の領域も強化しています。
Chilldyneの特徴は、 負圧式の液冷アーキテクチャです。
これは、液冷における 大きな心理的ハードルを下げる技術です。
なぜ「負圧式」が効くのか
エンジニア視点で特に重要なのが、 Chilldyneの負圧式液冷です。
液冷の最大の課題は、 漏れです。
サーバーの中に水や冷却液を通す。
これは、従来のIT技術者からすると、 かなり怖い話です。
たった1滴でも漏れれば、 GPUや基板に深刻なダメージを与える 可能性があります。
Chilldyneの負圧式は、 配管内部を外部より低い圧力に保ちます。
そのため、万が一どこかに隙間ができても、 冷却液が外に漏れにくい構造になります。
外へ吹き出すのではなく、 内側へ引き込む方向に働く。
この考え方が、 液冷導入の不安を下げるポイントです。
ハイパースケーラーにとって、 漏れリスクの低減は非常に重要です。
なぜなら、AIラックには 高価なGPUが大量に搭載されているからです。
液冷の性能だけでなく、 安全性と運用性も求められる。
その点で、負圧式は 注目すべき技術だと見ています。
ダイキンに対する評価
ダイキンは、 原子力銘柄やGPU銘柄ほどには、 まだAIインフラ銘柄として 市場に強く認識されていない印象があります。
これは、私個人の見方です。
ダイキンは、AIインフラ銘柄としての評価が、 まだ十分に浸透していない可能性があります。
理由は3つあります。
ひとつ目は、 2030年の売上目標が具体的であること。
ふたつ目は、 空冷、ラック冷却、DLCという 複数レイヤーをM&Aで広げていること。
三つ目は、 統合制御という差別化要素を 持っていることです。
ハイパースケーラーは、 単に冷却機器を買う段階から、 冷却ソリューションを買う段階に 移りつつあります。
ワンストップで提案できる企業は、 世界でも限られます。
ダイキンは、その候補のひとつです。
日本の有力企業②:高砂熱学工業
ダイキンと並んで重要な日本企業が、 高砂熱学工業です。
高砂熱学は、 空調設備工事の大手です。
特に、クリーンルームや 高難易度の空調設備に強みがあります。
半導体工場。 データセンター。 製薬研究所。 研究施設。
こうした専門性の高い領域で、 強い競争力を持っています。
2026年5月12日に発表された 2026年3月期決算は、 日本の設備投資需要を見るうえで 重要な材料です。
高砂熱学の2026年3月期決算
2026年3月期の数字は、 かなり強い内容でした。
売上高は4,239億円。 前期比で11.1%増。
営業利益は477億円。 前期比で47.3%増。
親会社株主に帰属する当期純利益は374億円。 前期比で35.6%増。
営業利益率は11.3%です。
空調サブコン大手のなかでも、 2桁の営業利益率は非常に高い水準です。
なぜ、これだけ高い利益率を出せているのか。
理由は、 高難易度案件を取りやすいポジションを 築いているからだと見ています。
普通の空調工事ではなく、 高度な温度管理や湿度管理が求められる案件。
こうした領域では、 技術力と実績が重要になります。
高砂熱学は、 そのような専門領域で 強い立場を持っています。
高砂熱学の強み
高砂熱学の強みは、 現場対応力です。
冷却機器を作るだけでは、 データセンターは完成しません。
実際の建物に合わせて、 配管を設計する。 空調を施工する。 電源や建築との取り合いを調整する。 試運転する。 保守する。
ここには、 かなり高い現場力が必要です。
AIデータセンターでは、 冷却の失敗がそのまま性能低下につながります。
そのため、 高難易度の空調施工を担える会社の価値は、 今後さらに高まると見ています。
高砂熱学は、 半導体関連投資やデータセンター関連投資の 恩恵を受けやすい立場にあります。
北海道・千歳の半導体関連投資など、 国内でも高難易度の設備需要が広がっています。
こうした流れは、 高砂熱学にとって追い風です。
高砂熱学の注意点
ただし、ここは正直に書きます。
高砂熱学にも、 短期的な注意点があります。
直近の四半期だけを見ると、 やや踊り場感もあります。
2026年3月期第4四半期単独では、 営業利益が前年同期比で減少し、 営業利益率も低下しました。
また、会社の2027年3月期予想も、 営業利益の伸びは控えめです。
つまり、高砂熱学は、 過去最高益を更新し続けている一方で、 短期的には成長率の鈍化が 意識されやすい局面にあります。
これは私の推測ですが、 一部の大型案件の進捗が、 成長率の見え方に影響している可能性があります。
一方で、AIデータセンター案件は、 今後も増えていく可能性があります。
そのため、中長期では 再び成長が強まる可能性もあります。
短期と長期で、 評価が割れやすい銘柄です。
高砂熱学に対する評価
私の見方では、 高砂熱学は、国内のAIデータセンター建設需要を 直接取り込みやすい企業のひとつです。
ダイキンが機器メーカーだとすれば、 高砂熱学は現場を担うサブコンです。
両者は競合というより、 補完関係に近いと見ています。
ダイキンのような冷却機器メーカーが機器を供給し、 高砂熱学のような設備工事会社が現場で施工する。
こうした組み合わせは、 十分にあり得ます。
「ダイキン × 高砂熱学」をペアで見ると、 日本のAIデータセンター冷却テーマを、 機器から施工まで広く捉えられます。
ここまでのまとめ:4社の比較
ここまで紹介した4社を、 ざっくり整理します。
企業 主力 強み 注意点 Vertiv 電源+冷却 NVIDIA関連インフラ、受注残の厚さ 株価の織り込み Eaton 電源+冷却 Boyd Thermal買収で液冷強化 買収統合の進捗 ダイキン 空冷+液冷 統合制御、M&Aで領域拡大 AI銘柄としての市場認知 高砂熱学 高難易度空調工事 現場対応力、高い利益率 短期の成長鈍化
これだけでも、 冷却テーマには複数の投資の入り口があることが 分かります。
機器メーカーを見るのか。 施工会社を見るのか。 電源と冷却をまとめて見るのか。
投資の切り口は、 かなり広いです。
投資判断において、ここを見たい
冷却テーマでも、 私が重視している視点は4つあります。
1. 受注残高
Vertivのように、 受注残高は将来業績の見通しに直結します。
冷却機器は、 需要が急増している一方で、 生産能力に限界があります。
そのため、受注残は 将来売上を見るうえで重要な指標です。
ただし、受注残は すべてが確実に売上化するとは限りません。
キャンセルや納期変更の可能性もあります。
そのため、 受注残の増加だけでなく、 売上化のペースも見たいところです。
2. M&Aと技術ロードマップ
EatonのBoyd Thermal。 ダイキンのChilldyne。
冷却テーマでは、 M&Aが非常に重要です。
なぜなら、液冷の技術は まだ発展途上だからです。
誰が液冷技術を取り込んだのか。 誰が空冷と液冷を統合できるのか。 誰がDLCまで持っているのか。
ここを見ると、 業界の勝ち筋が見えてきます。
3. 営業利益率
冷却機器や空調工事は、 かつては利益率が低い領域と見られがちでした。
しかし、AIデータセンターでは、 高度な統合ソリューションが求められます。
その結果、 価格決定力を持てる企業が出てきています。
営業利益率が改善している企業は、 単なる装置屋や工事会社から、 ソリューション提供者へ転換できている 可能性があります。
ここは、必ず見たいポイントです。
4. 株価の織り込み度
最後は、株価です。
需要が強いことと、 株価が割安であることは別です。
Vertivのように、 すでに大きく買われている銘柄もあります。
一方で、ダイキンのように、 AIインフラ銘柄としての評価が まだ十分に浸透していない可能性がある企業もあります。
PER、PBR、年初来上昇率、 ガイダンスとの整合性。
これらを見ながら、 「需要」と「株価の織り込み」の バランスを判断する必要があります。
まとめ:冷却は「次の主役」
今回のまとめです。
AIデータセンターの冷却は、 もはや単なる裏方ではありません。
1ラック100kW級から、 将来的には数百kW級へ進む可能性があるなかで、 冷却能力がGPU性能を左右する時代に入っています。
主流になりつつあるのは、 DLC、つまりチップ直接冷却です。
ここに、大きなお金が流れる可能性があります。
グローバルでは、 VertivとEaton。
日本では、 ダイキンと高砂熱学。
この4社は、 冷却テーマを見るうえで重要な企業だと考えています。
特にダイキンは、 2030年に向けた具体的な成長目標を掲げ、 空冷からDLCまで領域を広げています。
「AIインフラ企業としてのダイキン」を 市場がどう評価していくのか。
ここは、今後注目したいポイントです。
次回予告
次回は、ネットワーク編です。
GPUが何万個も並んでいても、 それらをつなぐネットワークが詰まれば、 GPUは通信待ちになります。
NVIDIAが、なぜGPUだけでなく Spectrum-Xというネットワーク製品に 力を入れているのか。
光トランシーバの 800Gから1.6Tへの移行で、 どの企業が恩恵を受けるのか。
Arista Networks。 Broadcom。 Coherent。 Lumentum。 Fabrinet。
エンジニア視点で、 ネットワークサプライチェーンを 解剖していきます。
最後に
冷却は、AIインフラ投資のなかで、 実装側の視点がかなり効くテーマです。
なぜなら、冷却の本命を見極めるには、 複数のレイヤーをまたぐ理解が必要だからです。
チップの熱設計。 ラック設計。 液冷の物理。 統合制御。 現場施工。
これらは、 決算書だけを見ていても分かりにくい領域です。
実装側にいる者として、 冷却テーマは今後も継続的に追っていきます。
GPUに張りつつ、 電力に張り、 冷却にも張る。
これが、私の提案する 「GPU + α のポートフォリオ思考」の 具体的な形のひとつです。
次回も、その裏側を、 エンジニアの目で、 投資家の言葉で、 丁寧に解説していきます。
お付き合いいただき、ありがとうございました。
※この記事は連載 「AIインフラ投資 — エンジニア × 投資家の視点」 の第3回です。
※第1回「GPU以外の投資先」がご覧いただけます。
※第2回「電力編」がご覧いただけます。
※この記事は売買推奨ではありません。 銘柄は分析の例として挙げています。 投資判断は必ずご自身でお願いします。

