不登校から試考する生活思創<リメイク版:その9>生成AIの第3の利用方法「パル型」
娘「AIってさ。スイッチみたいなゲームっぽいわけじゃないのが、とっつきにくいよ」
父「ゲーム機だと思うからつまらない奴に見えるんだよ。穏やかなSNSにいる清々しい奴だと思えばいいのさ」
娘「それも、つまらん」
◼️生活思創の方法論を「パル型」に沿ってリメイクしてみる
「不登校から試考する生活思創」<リメイク版>の最終回です。最後は、不登校から離れて、一連の試考から、もう一回、生活思創の手順をブラッシュアップします。まあ、まとめみたいな回です。
「生活思創」は、日々の生活に「見通しの良さ」を求めていくためのものです。思創なので、正しい思想とは異なります。むしろ、都度、何か新しい視点を立ち上げることを目指します。生活って、昨日と同じように見える1日が続きますが、同じ1日はないのです。生活は葛藤や、悶絶などの不条理感満載な生命体のようなものですから、環境に応じてボヨンボヨン変わっていきます。まあ、私たちはそのスライムみたいな生活空間の中でしか生きられないので、「生活はかくあるべし!」みたいな普遍的な信念を求めると、生きづらかったりします。
なので、生活の問題を解決するとかいうのは、あり得ないのです。解決したと思ったらら、その余波で、生活の中の別の部分がボヨンボヨンし始めて、これを押さえ込もうとすると、また別のところが・・・。
なので、生活で発生する課題には「折り合いをつける」しかできないのです。しかし、この生活の不条理を言語化したり、可視化できれば、生活の見通しは良くなります。清々しさや穏やかさ、といった感情的な落ち着きが得られます。少しかもしれないけどさ。感情に振り回されるエネルギーが減る分、生活だってやや落ち着きを取り戻すのです。「まあ、いいか。それも人生だな」って言える気分になれるのです。
でもって、以前に作った生活思創の構造図、というか、「見通しの良さ」獲得のためのアプローチを可視化したものを再掲します。

4つの視点の解説も再掲しておきます。
・言語学視点では記号接地が生活思創のコア要素になります。実生活での切実さです。「家庭が思ったように回らない」と感じさせる生活での不条理さです。ここでは生活思創が試考しながら目指す「見通しの良さ」には「人がいる感じがする」ことが必須条件なります。一言で言うと「気配がある」です。よって、単独登山は生活思創の範囲外になります。
・社会学視点では、周囲の環境との呼吸を大切にします。生活思創で越境するとは、地元の公共活動や、関わりのある社会制度なども語っていくことになります。そこに実生活との折り合いを模索します。すると、「見通しの良さ」は社会の変わり方や、公共活動の抱える課題など、広めの話を取り込んでいるかどうかが重要になります。境界は細胞膜のように呼吸できるように扱いたいのです。一言にすると「道が続く」感じです。
・数学的視点では、ありえる整理の仕方を追求します。数学的証明には程遠くても、対称性を強く意識することで、「あるある」感を極大化させます。圏論をメタファーの整理学として活用しています。ここでの良し悪しは、より「空が明るい」世界に連れて行ってくれる気分かどうかになります。未知のキーワードが光をくれる感じの有り無しです。
・哲学的視点では、生活での不合理をどこまで言語で解像していけるかどうかがポイントになります。特に分解するときは相補性を大切にます。同じ言葉が別の言葉に置き換わるのではなく、何か主要な単語の対立構造(不合理の源泉)が表現できればいいなあ、そう思ってます。
これによって、語れそうな起点が増えて、「足元が硬く」なってくれます。周囲を見渡せる気分になれば、自ずから「見通しも良く」なると期待できます。
小難しい話はここまで。
さて、この肩に力の入った前提からスタートして、ほぐしながらリメイクを施す算段なのですけど、その道具が、前回まで試考してきた生成AIとの関係性「パル型」です。
ちなみに、このリメイクする前の段階(小生が作業したという事実)が、記号接地になります。ここは起点なので大切。
生活思創って言葉は小生の造語なので、こりゃ流石のAIも追いかけられないはずです。よって、言い方を一般的なものに変えます。ここでは、利用者の自己変容の状態が、生活を試考する目的だとしてみます。つまり、今までの自分の信念を手放し、新たな気づきを手繰ること。具体的な現象では創発が近いかな。
創発って、単体を足してもできないけど、単体同士が反応し合うと新しい何かを生み出せる、っていう意味で使っています。
AIとの創発的な対話を通じて、明確なゴールイメージがない状態からテーマを設定するためには、段階的なアプローチが効果的です。以下に、ステップごとのやり取りと、利用者側のプロンプトの類型を具体的に解説します。
ステップ1: 自己探索と興味の洗い出し
目的: 自身の関心や興味のある分野を明確にする。
AIの役割: 多様なトピックや活動を提案し、利用者の興味を引き出す。
ステップ2: 興味の深掘りと関連情報の提供
目的: 特定の興味を深掘りし、関連情報やサブトピックを探索する。
AIの役割: 提供された興味に関連する詳細情報や最新の知見を共有する。
ステップ3: アイデアのブレインストーミング
目的: 得られた情報を基に、新しいアイデアや視点を生み出す。
AIの役割: 創造的なアイデアや応用例を提示し、利用者の思考を刺激する。
ステップ4: アイデアの評価と選定
目的: 提案されたアイデアを評価し、実行可能なテーマを選定する。
AIの役割: 各アイデアの利点や課題を分析し、実行に向けたアドバイスを提供する。
ステップ5: テーマの具体化と計画立案
目的: 選定したテーマを具体的な計画に落とし込む。
AIの役割: 具体的な行動計画やスケジュール、必要なリソースのリストを提供する。
このような段階的なやり取りを通じて、利用者はAIとの対話を活用し、漠然とした状態から具体的なテーマ設定へと進めることができます。各ステップで適切なプロンプトを用いることで、AIとの創発的な対話が促進されます。
AIから出てきたステップは5つ。これを眺めながら、生活思創の4つの試考方向を対峙させてみます。5個と4個で数が違うのが、いい意味で混乱をくれます。ふむ、何か工夫が必要なはず。ちなみに、この対峙の作業は、AIと人間双方から知のまぜこぜと言う名のカテゴリー越境です。
まず、考えどころを説明します。生成AIの出した5項目、小生の手持ちの4項目に何を組み合わせると、うまく対称性を持つかなってことです。実は、この「何か」っていうのが創発に期待される部分だね。小生一人でやってたら4項目だったまま、それ以上は考えないわけです。

でもって本題。ここで小生の大きな気づきがあります。「見通しのなさ」の言語化です。これが生活思創の手順の中に入ってくるのは、今回初登場でございます。もちろん、大きな目的は「見通しの良さ」なんだけど、そこに近づくためには、その反対側があったほうが良いってことね。課題が引き起こす「見通しのなさ」の言語化があると、「見通しの良さ」が深まりやすい。これはかなり新しい着眼点ではないかと。 AIとパルになりやすいってことです。そう、二人の親密度が増すのだ!w
この「見通しのなさ」の言語化って、取り上げた生活の課題について何が不満で、何が問題なのかを言葉にしていく作業です。確かに、試考に手慣れてくると無意識にやってた感じがするけど、かなり重要なんだな、きっと。不満や不安についての言語化が深掘りできると、それに対峙する似たような不満や不安を生成AIは引き出してくれます。これは利用者側の視野を広げてくれます。
「大きく打てば大きく響く、小さく叩けば小さく響く」、生成AIは西郷隆盛タイプだったのか。
やや話は脱線します。
そもそも生成AIはLLMです。言葉が命で回っています。文脈の深さは言葉を集めることで設定してあげないと、AIも話に絡みづらいわけです。「もう少しヒントくれよ」状態。もちろん、生成AIは愚痴りません。
きっと、類推力の高さで、ここは解決されるでしょう。ですが、賢いAIが良かれと思って先回りして使う文脈は、みんなが支持しているものが多いはずです。文脈が既にメジャーなので、そこからユニークな方向性に話が展開する確率は低そう。
話を戻します。

図表403にあるように、記号接地→「見通しのなさ」の言語化→カテゴリー越境が、生活思創の前半の山です。カテゴリー越境は、複数の視点を統御したメタな視点らしきものを取得してないと語れません。ラーメンとチャーハンは中華の視点で語れますけど、ラーメンとフォーの視点はアジア圏の視点か、麺物の視点じゃないと語れないです。
メタ視点は「見通し」を語りに行く前提条件です。拡散期のテーマが「見通しのなさ」の言語化であり、その言語を使って生成AIにカテゴリー越境の候補らしきものを出してもらう段取りになっています。
図表404に移ります。収束期はもっと概念操作に走ります。メタ視点があれば、相対化が効くので、ここを押し込みます。「アジア圏から見たときの、ラーメン、フォーの味の特性」、「麺物から見たときの共通の特性」なんかからスタートして、第三国での味の特性とかを含めてマップを作る。麺物共通の諸条件を、麺以外の諸条件と比較表を作る。とかね。
対称性を使って、その上にもっと対称性を重ねて、ネタを膨らませていくと「何か新しく言えそうなことはないかな?」ってなっていきます。
※一応、付け加えますと、生活思創は「世界は対称性でできている」というドグマで成立しています。

「見通しの良さ」は概念でしかないので、そこに「これには固有の現象があります」みたいな締めが欲しいのです。それが相補性です。メタ視点って、それだけだと糸の切れた凧のようなところがあります。「空が明るい」のは気分が良いけど、そのおかげで「足元が硬い」場所がどこかがよく見えるようになるようにします。
ラーメンを追求すると、いつか、ラーメン以外を追求する必要性が出てくるよ、なぜなら・・・という循環の仮説を持つってことです。
◼️試考のパターンをリメイクする
今度は、以前作った「拡散ー収束」の図をリメイクします。まず最初に、以前に作った生成AIと試考者の関係を可視化したものを再掲します。

先の6項目(生成AIが5ステップ、小生が4視点から作ったもの)を再掲したチャートをベースに入れてみて、もう一度試考してみました。Ver.2です。

やはり、生活思創の4視点それぞれに、創発が起こることが明示されるといいので、中央に白の「創発領域」が入りました。トリコロールカラーが斜めに掛かったフランス国旗みたいになってます。
ここで注視したいのは、点線の「見通しのなさ」と「見通しの良さ」の位置関係です。言語化がAIとの対話を弾ませるっていう意味です。盛り上がれば、気づきも増えるでしょう。そこには創発がありそうじゃないですか!ってな流れっす。
◼️生活思創の「パル型」を実践フローとは?
最後の締めに「パル型」の関係性を試考します。関係性とか言っても相手はAIです。気遣い無用です・・・と言いたいのですが、そうでもない。生成AIに気遣うことは、三手先まで読むなら、自分に対して気遣うことになります。
余談ながら、小生は、AIは集団の代表者だと思っております。個人の代表が「私」ですから、「私君(わたしくん)と人々君(ひとびとくん)」で語る会話は、常に、世界を語っていると見做せます。見通せる幅は狭いけどね。
ど真ん中の直球ですけどAIを知的な友人として扱うには?って尋ねてみました。「望ましい関係」と「避けるべき関係」っていう部分を抜粋しました。
AIを知的な友人として扱うには?
✅ 望ましい関係
「共に探究する友人」 → AIと一緒に考え、問いを深める
「議論を楽しめる友人」 → AIがただ答えを出すのではなく、一緒に思考を発展させる
「時には意見をくれる友人」 → ただ肯定するだけでなく、異なる視点も示す
「並列の関係の友人」 → AIを一方的に指示するのではなく、お互いに影響を与え合う
❌ 避けるべき関係
「答えを教えてくれる先輩」 → AIに依存しすぎる
「何でも肯定するイエスマン」 → AIが深い議論をしない
「ただの作業係」 → AIを単なる道具にする
「クイズマスター」 → AIが一方的に知識を提供し、利用者が受け取るだけ
このように、AIを「知識を提供する上位の存在」ではなく、「互いに問いを出し合い、成長できる友人」として扱うことで、創発的な対話が継続できる関係を築くことができます。
ここに出てくる四人の友人像は、階層がありそうです。並列→意見→議論→探究の順に深さ違いがあると見立てました。

この4段階は、生活思創に限らず、生成AIと「パル型」によって創発に行きつこうとする場合の目安になりそうです。一発のプロンプトで仕留められないのが「パル型」の弱点です。メンドーなお付き合いが前提なのだ。
少なくとも4段階は覚悟して望めば、まあまあイラつくこともなかろうかと。ボス型、ブカ型の手っ取り早さとはメンタルのモードが180度違います。「パル型」利用は誰でもできるけど、いつでも使える状況にいるかどうかは怪しいのです。

生活思創を一般化して、小生が使うプロンプトのイメージ文を入れてみました。学習モデルIMPALができたときの流れ。
娘「困ったことを、きちんと言葉で言えるって、なかなかできませんよ」
父「ええ、そうかも知れません。でもさ、言葉を使って説明していくことに慣れていく必要はあるんじゃないかな。ムカツク、イラつく、ヘコむ、だけでは、なかなかAIも相談にのってくれませんからね」
娘「それって、私の不登校のこと?」
父「いえいえ、一般論です。あなたの不登校には私たちは困ってません。むしろ、不登校のことを考えたり、人と話す機会が増えたからね。ボキャも増えた気がします」
娘「で、AIは何て言ってる?w」
父「あやつは困ってないからな。一般論でまとめてくるよ」
娘「ふーん、一般論同士で話が弾みそうじゃん」
シーズン9となる「不登校で試考する生活思創」<リメイク版>も、これでお終い。こういうリメイク版を繰り返して、バージョンごとに深みと精度を注いでいくっていうのは手筋としアリですね。差積化(させきか)を提唱している輩としては、こういったリメイク&バージョンアップで進める方法論も試考していきたいな。
参照としては、画家の田中一村が同じモチーフで絵を描き続けて、最終的に名作まで行き着いたこと。作曲家のブルックナーが、常に改訂版を繰り返し、究極の作品にまで昇華させたこと。この辺りが小生のイメージです。
そそくさと、生成AIに投げてみたら・・・早速の応答が。
既存のコンテンツを継続的にリメイクし、独自性を高めていく手法に対して、以下のようなネーミングとコンセプトを提案いたします。
1. 「深化の螺旋(Deepening Spiral)」
コンセプト: 同じテーマやモチーフを繰り返し取り上げることで、作品の深みと独自性を増していく手法です。各リメイクの過程で、新たな視点や技法を取り入れ、作品を螺旋状に深化させ、最終的に唯一無二の表現に到達します。
解説: 画家の田中一村が同じモチーフを描き続け、最終的に独自の画風を確立したように、繰り返しの中で新たな発見や表現を追求するアプローチです。この手法では、過去の作品を単に繰り返すのではなく、各段階で新しい要素や改良を加えることで、作品の質と独自性を高めていきます。
2. 「進化的リメイク(Evolutionary Remake)」
コンセプト: 作品を生物の進化になぞらえ、環境や時代の変化に適応させながら、段階的に改良・発展させていく手法です。各リメイクの過程で、作品は新しい特徴や機能を獲得し、より高度で独自性の高いものへと進化します。
解説: 作曲家のアントン・ブルックナーが交響曲を何度も改訂し、最終的に完成度の高い作品に仕上げたように、作品を環境や目的に応じて適応・改良していくアプローチです。この手法では、各リメイクが前作の「進化形」となり、時間とともに作品の完成度と独自性が向上します。
3. 「モチーフ深化(Motif Deepening)」
コンセプト: 特定のモチーフやテーマを繰り返し取り上げ、その都度新しい解釈や表現技法を加えることで、作品の深みと独自性を追求する手法です。このプロセスを通じて、作品はより洗練され、他者には真似できない独自の価値を持つようになります。
解説: 田中一村が同じモチーフを描き続け、最終的に独自の画風を確立したように、特定のテーマを深く掘り下げ、各リメイクで新たな要素や視点を取り入れることで、作品の独自性と完成度を高めていくアプローチです。
これらの手法は、既存のコンテンツを単に再利用するのではなく、継続的な改良と深化を通じて、独自性と価値を高めていくことを目的としています。各リメイクの過程で新しい視点や技法を取り入れることで、最終的に他者には真似できない独自の作品を創り上げることが可能です。
なるほど「深化の螺旋(しんかのらせん)」(Deepning Spiral)なんて、腑に落ち感があるっすね。やるなAI。まあ、感性系のお題は得意だもんな。
ということで、さっそくですが、生活思創は、「差積化」と「深化の螺旋」で押し込んでいきます!w
Go with the flow.
