マイナカード義務化を見送った政府が、本当に動かすもの。閣議決定「デジタル社会の実現に向けた重点計画」が選んだ、AIエージェント接続という国家基盤
取得義務化は見送られた。それでも「任意のカード」を軸に医療と介護は再設計される
2027年度、電子カルテ情報共有サービスが介護に届く。事業所が今、確認すべき四層
2026年7月21日に閣議決定された「デジタル社会の実現に向けた重点計画」の一次資料を読むと、報道の中心にあった「マイナンバーカード取得義務化」は今回の決定に入っていません。しかし「入っていない」で話を終えると、本丸を読み落とします。国が動かそうとしているのは、認証、ベースレジストリ、Rules as Code、AIエージェント接続の四層です。これが2027年度以降、電子カルテ情報共有サービスや介護情報基盤を通じて、事業所の日々の記録や会議に降りてきます。読後、自法人で真っ先に確認する項目が変わります。

「義務化」の話は、どこから来たのか
2026年5月に自民党デジタル社会推進本部が政府に提出した「デジタル・ニッポン2026」には、罰則なしでのカード取得義務化と、公的給付受取口座登録の義務化に向けた検討要請が含まれていました。政策プロセスで言えば、党から政府への提言の段階です。
政策は、党の提言、政府内での検討、閣議決定、法案作成、国会審議、施行という順に進みます。今回の閣議決定は3の段階で、1の提言のうち義務化部分は採用されていません。したがって正確な表現は、「党は義務化の検討を提言した。ただし2026年7月21日の重点計画には盛り込まれず、現行制度上、取得は任意である」となります。
もう一つ、混同されやすい話があります。2025年12月1日で従来の健康保険証はすべて有効期限を迎え、その後はマイナ保険証か資格確認書のいずれかで受診する仕組みです。「保険証が廃止されたのだから、カードを持たないと受診できない」という理解は誤りです。カードを持たない人は資格確認書で保険診療を受けられます。マイナ保険証の利用率は2026年3月時点で67.21パーセント。政策運営としては、この利用率をさらに引き上げる方針が続きます。
法的には任意。サービス設計上はマイナカード利用を標準経路に近づける。この二層構造が、いま起きていることの実態です。
今回概要まとめ図
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