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介護職が「できること」は増えたのか?13の行為を検討した規制改革会議が、現場に突きつけた本当の問い:規制改革推進会議健康・医療・介護ワーキング・グループ(第12回)

「グレーだからやめておこう」で、誰が傷ついてきたのか?令和8年5月、介護タスクシフトの議論がついに本丸に入った


令和8年5月15日に開催された内閣府・規制改革推進会議の健康・医療・介護ワーキング・グループ第12回では、介護現場で長年グレーゾーンとされてきた13の行為について、できる・できないが整理されました。湿布の貼付、PTPシートからの薬の取り出し、蓄尿バッグの接続など。「看護師を呼ぶべきか」と現場が毎日迷ってきた行為です。
今回のNOTEは、今回の整理の中身と背景にある2040年問題、そして現場に何が問われているかを、制度・データ・現場の三方向から丁寧に読み解きます。


どーも、セオドアアカデミーです。

夜勤帯のある特養で、こういう場面が繰り返されてきました。
利用者の湿布が剥がれている。貼り直したい。
でも「これ、介護職がやっていいんだっけ」という声が頭をよぎる。
看護師は不在。家族への電話は深夜には憚られる。
結局、剥がれたまま朝を待つ。

その間、利用者は痛みを抱えて眠れなかったかもしれない。

誰かの怠慢ではありません。制度の曖昧さが生んだ、静かな不利益です。
その不利益の蓄積に、ようやく国が正面から向き合い始めました。

セオドアアカデミー独自まとめ

13の行為を並べた会議の重さ

令和8年5月15日、内閣府の規制改革推進会議「健康・医療・介護ワーキング・グループ」の第12回が開催されました。議題のひとつが「医療・介護分野におけるタスク・シフト/シェアの促進」。厚生労働省から提出された資料には、介護現場で実施頻度が高いとされる13の行為が列挙されていました。

具体的には、PTPシートからの薬剤取り出し、お薬カレンダーへの配薬、経皮吸収型製剤の貼付、穿刺を伴わない血糖測定、蓄尿バッグ交換とカテーテル接続、爪白癬等の場合の爪切り、目視で便が確認できる場合の摘便、グリセリン浣腸、インスリン注射、在宅酸素濃縮器の操作・流量変更・ボンベ切替え、経管栄養チューブからの薬物注入、真皮を超えない褥瘡処置。の13項目です。

内閣府「規制改革推進会議健康・医療・介護WG第12回 厚生労働省提出資料」(令和8年5月)

13という数字の重さを、少し考えてほしいと思います。
これは、介護現場の人たちが長年「分からないから触れない」「曖昧だから誰かに任せる」と判断を保留してきた行為の、ほぼ全体像に近いリストです。そのひとつひとつに、判断を迷った夜がある。そう受け取るべき資料です。


「できる」と整理されたこと:4つの行為の意味

令和7年12月26日付の厚生労働省医政局長通知において、以下の4類型が「原則として医行為ではない行為」として整理されました。

ひとつは、お薬カレンダーへ一包化された医薬品などをセットすること。
ふたつ目は、服薬直前にPTPシートから薬剤を取り出すこと。
みっつ目は、医師または看護職員が「専門的な管理は不要」と確認した皮膚に対して、いわゆる湿布を貼付すること。
よっつ目は、医師または看護職員の立会いのもと、事前に安全と確認された実施者が、蓄尿バッグの破損や外れが生じた際に未開封の蓄尿バッグを膀胱留置カテーテルへ接続することです。

厚生労働省「医政局長通知(令和7年12月26日付)」

読んで分かるように、どれも「完全に自由にやっていい」ではありません。事前確認、専門職の判断、条件の明示——そういう前提がセットになっています。

ここが、現場の感覚と少しずれる部分です。
「できると言われたからやる」という受け取り方では危うい。
重要なのは、「どの条件が揃ったときにできるのか」を、事業所単位で手順書に落とし込む作業です。通知は出発点であって、終着点ではありません。


「できない」と整理されたこと:線引きの意味

一方で、明確に「医師または看護師でなければ実施できない行為」として整理されたものもあります。

目視で便が確認できる場合の摘便、
処方されたグリセリン浣腸、
インスリン注射、
在宅酸素濃縮器のオン・オフや流量変更、
酸素濃縮器から酸素ボンベへの切替え、
経管栄養チューブからの薬物注入、
真皮を超えない褥瘡処置。
これらは医師法第17条の考え方に照らし、今回も介護職が担える行為には含まれませんでした。

厚生労働省「医政局長通知」および「医師法第17条の解釈について」(平成17年7月26日・令和4年12月1日)

この「できない」の整理も、現場には重要なシグナルです。「どこまで広がるか分からない」という不安を持つ介護職員にとって、境界が明確になることは安心材料になります。何でも介護職へ押し付ける方向に進むわけではない、という確認です。

インスリン注射が今回も対象外となったことには、理由があります。誤った投与量や投与タイミングは、低血糖発作という即座の生命リスクに直結する。「危ないから介護職にさせない」ではなく、「そのリスクを管理できる専門訓練を持つ人でないと対応できない」という判断です。線の引き方には、それぞれ根拠がある。

今回概要まとめ図

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