ツクイ「長崎モデル」始動、ケアマネジャーのシャドウワークは本当に解消するのか?「最大120分削減」の実証と、介護保険外サービスへ移る費用・責任・公正中立の論点
保険外サービスで介護の無償労働を可視化する、長崎モデルが問う費用負担と中立性
560拠点を生活インフラへ、ツクイ長崎モデルで在宅現場は何を確認すべきか
今回のNOTEは、株式会社ツクイが2026年9月10日に長崎県介護支援専門員協会、株式会社最中屋と協働で本格始動した「長崎モデル」の実像を、一次資料から読み解きます。1件当たり最大120分削減という発表を素直に受け取る前に、平均削減時間、費用負担、中立性、服薬支援の法的整理、560拠点の全国展開再現性という論点を確認します。ケアマネジャーが本来業務へ戻るために、事業所と地域が何を用意しなければならないかを、自法人の運用に置き換えて考えるための材料を残します。

どーも、セオドアアカデミーです。
先行実証では、薬局での薬の受け取りや通院送迎などをツクイの自費サービスへ移し、ケアマネジャーが費やしていた時間を1件当たり最大120分削減したとしています。
これは単なる新サービスの投入ではありません。
長崎モデルが挑んでいるのは、これまでケアマネジャーや家族の善意、使命感、無償労働で埋められてきた生活支援を、地域の正式なサービスとして組み直すことです。
ただし、シャドウワークが解消する、効果が証明された、在宅限界点を大幅に引き上げると結論づけるには、まだ確認すべき数字と制度上の論点が残っています。
そもそもケアマネジャーのシャドウワークとは何か
ケアマネジャーの本来業務は、利用者の状態や生活環境を把握し、必要なサービスを組み合わせ、関係機関と連絡調整し、モニタリングを続けることです。
ところが独居高齢者、認知症高齢者、身寄りのない高齢者が増えるなか、現場では次のような依頼までケアマネジャーが引き受けています。通院や救急搬送への付き添い、入退院時の荷物準備、薬や日用品の受け取り、郵便物の発送や書類の代筆、部屋の片付けやゴミ出し、行方不明時の捜索、預貯金や支払いに関する支援、死後事務に関する相談。
厚生労働省の「ケアマネジメントに係る諸課題に関する検討会 中間整理」も、ケアマネジャーの業務を、法定業務、保険外サービスとして対応し得る業務、他機関につなぐべき業務、対応困難な業務に整理しています。
重要なのは、すべてを一律にケアマネの仕事ではないと切り捨てているわけではないことです。
利用者の相談を受け、ニーズを把握し、適切な地域資源へつなぐことは、ケアマネジメントの中核です。一方、ケアマネジャー自身が買い物、付き添い、荷物運搬、薬の受け取りまで無償で実行し続けることは、本来業務を圧迫します。
したがって、長崎モデルの本質は相談を受けないことではなく、相談を受けた後の実作業を、責任を持って引き受ける地域資源へ移すことにあります。

長崎モデルはどのような役割分担なのか
発表資料を整理すると、長崎県介護支援専門員協会は利用者の自立支援に資する基準の策定と中立的な運用枠組みの構築を担います。株式会社最中屋は立ち上げ支援と関係者間の調整、運用・プロモーション支援を担当します。株式会社ツクイは認証を受けた介護保険外サービスを提供します。
ケアマネジャーは、ニーズの把握、選択肢の提示、利用者の意思決定支援、利用後の確認という位置づけです。長崎県は、シャドウワークの実態調査など、地域のケアマネジメント提供体制確保支援事業との連携主体として記載されています。
ここで注意したいのは、発表主体はツクイであり、長崎県は協働当事者として並列に記載されているわけではないことです。
発表文は、長崎県が予定する実態調査などの事業と連携しつつ推進すると記載しています。したがって、現時点で長崎県がツクイのサービスを認定・推奨した公的事業とまで表現するのは行き過ぎです。県の事業との連携と、県による特定サービスの推奨は、明確に区別する必要があります。
今回概要まとめ図
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