介護保険だけでは、もう支えきれない。更新制が消えるケアマネ、登録される住宅型ホーム。2027年改正が告げた「地域福祉インフラ再編」:介護保険最新情報Vol.1518
7万人足りない国の、地域福祉インフラ再編法
今回のNOTEは、2026年6月25日に公布された「社会福祉法等の一部を改正する法律」の中身を、医療・介護・障害福祉の現場感覚で読み直します。ケアマネジャー更新制の廃止、身寄りのない高齢者への支援の法制化、特定地域サービスの新設、住宅型有料老人ホームの登録制度、小規模市町村での分野横断的な体制整備、DWATの法制化。施行は原則として2027年4月1日。なぜ今これだけの大改正が一括で動いたのか、その背景にある人口の数字と現場の悲鳴を、一次資料に沿って静かに辿ります。

25年経って、制度の重心が動いた
介護保険制度が始まったのは2000年。今年で26年目です。社会保障審議会介護保険部会の意見書によれば、制度開始から65歳以上の被保険者は約1.7倍、サービス利用者は約3.6倍に増えました。数字だけ見ると順調に育った制度に見えます。けれど、その数字の裏側で、制度の足元が静かに崩れ始めています。
2026年6月25日、官報号外第140号に「社会福祉法等の一部を改正する法律」が公布されました。改正対象は社会福祉法、介護保険法、障害者総合支援法、児童福祉法、老人福祉法、生活困窮者自立支援法など。施行日は原則として2027年4月1日、ただし一部は公布日施行、また一部は公布日から1年6か月以内・2年以内・3年以内に政令で定める日とされています。
ここで踏まえておきたいのは、これが「介護保険の見直し」だけではないということです。介護も障害も児童も困窮も住まいも災害福祉も、一本の法案に束ねて動かしている。制度ごとに人を分けている余裕は、もう日本の地域社会にはないということが、構成そのものから滲んでいます。
厚生労働省「社会福祉法等の一部を改正する法律案 概要」(2026年)
数字が告げている、本当の急所
法律案の概要資料に並ぶ人口の数字を、一つずつ置いていきます。
2025年から2040年までの15年間で、日本の生産年齢人口は15.0%減ります。一方で、認知症や複合疾患を抱えやすい85歳以上の人口は42.2%増えます。高齢単独世帯は2020年の738万世帯(13.2%)から、2040年には1,041万世帯(18.6%)へ。さらに2015年から2050年にかけて人口が半減する市町村は、全国で558市町村。全市区町村の約3割にあたります。
そして、第9期介護保険事業計画の集計では、2040年度までに約57万人の介護職員追加確保が必要とされ、介護関係職種の有効求人倍率は2025年10月時点で4.07倍。2023年度には介護職員数が初めて減少に転じています。
これだけ並べると気づきます。これから増えるのは「要介護高齢者」ではないのです。増えるのは、独居で、認知症があり、慢性疾患があり、頼れる親族が薄く、入退院を繰り返す人。減るのは、その人を支える担い手。たった15年でこの落差が広がる国に、介護保険制度だけで踏みとどまる手立てはありません。
厚生労働省「介護保険制度の見直しに関する意見」社会保障審議会介護保険部会(2024年)
ケアマネ更新制廃止の、誤読してはいけない部分
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