【考察】「追跡型広告(Cookie)」は現代の「べとべとさん」か?――足音を消せないデジタルストーカー
こんにちは。民俗学准教授の東条紗季です。
あなたはこんな経験がありませんか?
ふと気になって、某ショッピングサイトで「高級炊飯器」を一度だけ検索した。
するとその直後から、ニュースサイトを見ても、SNSを開いても、ブログを読んでも、画面の隅に**「あの炊飯器」**の広告が表示され続ける。
「お前、まだ迷ってるんだろ?」
「ほら、ここにいるぞ」
まるで自分の足跡が、意思を持って追いかけてくるような不気味さ。
今日は、現代人の背後に常に張り付いている**「ストーカー妖怪」**について分析してみましょう。
1. 夜道をついてくる「べとべとさん」
日本の伝承に**「べとべとさん」**という妖怪がいます。
夜道を歩いていると、後ろから「ベト、ベト……」と足音がついてくる。振り返っても誰もいない。
実害はないけれど、とにかく気味が悪い。
現代の「Cookie(クッキー)」を利用した追跡型広告は、まさにこの「べとべとさん」です。
あなたがWebサイトに残した「足跡(閲覧履歴)」を、広告主という妖怪が嗅ぎつけ、どこまでも、どのページまでも執拗についてきます。
姿(実体)は見えないけれど、画面の端(視界の隅)には常に彼らの気配があるのです。
2. 「同意する」は招き入れの呪文
そして恐ろしいのは、この妖怪を呼び寄せているのが、他ならぬ私たち自身だということです。
サイトを開いた時、「Cookieの使用に同意しますか?」というポップアップが出ますよね。
面倒くさいからと、私たちは無意識に**「すべてのCookieを受け入れる」**を押しています。
民俗学において、異界の住人を家に入れるには「招き入れの言葉」が必要です。
「同意する」というボタンは、「どうぞ私の行動を監視し、どこまでもついてきてください」という**「招待状」**に他なりません。
私たちは自らの手で、べとべとさんを背負い込んでいるのです。
3. 欲望という名の「生霊(いきりょう)」
さらに、この広告妖怪の厄介な点は、表示されるものが**「あなたの欲望の鏡」**であることです。
ダイエット商品ばかり追いかけてくるなら、それはあなたのコンプレックスの具現化。
怪しい投資話ばかり出るなら、それはあなたの射幸心の影。
他人に見られたくないような商品をうっかりクリックしてしまったが最後、その商品は生霊のように、あなたの画面に憑りつき続けます。
「お前の頭の中は、これでいっぱいなんだろう?」
追跡型広告は、私たちが隠しておきたい「煩悩」を、白日の下に晒し続ける**「暴露の妖怪」**でもあるのです。
結論
もし、あまりにも広告がしつこくついてくるときは、伝承にある「べとべとさん」の対処法を試してみましょう。
昔の人は、道の脇に寄って**「べとべとさん、お先にお越し(お先にどうぞ)」と唱えました。
デジタル世界で言えば、これは「履歴(キャッシュ)の消去」や「トラッキングの拒否」**にあたります。
「お前にはもう興味がないよ」と毅然と突き放すこと。
欲望の足跡をこまめに消すことだけが、この粘着質なストーカーを成仏させる唯一の方法なのです。
筆者コメント
最後まで読んでいただきありがとうございます。
私は以前、記事の資料として「蟹(カニ)」の画像を検索しまくった結果、真夏だというのに私のPC画面が「カニ通販」の広告で埋め尽くされたことがあります。
画面の四方八方からカニに囲まれる恐怖。あれはまさに「カニ地獄」でした。
同じように、変な広告に追い回された経験がある方は、「スキ」を押して厄落としをしてください。
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