見出し画像

最終章『三毛猫 ミーちゃん 〜ありがとう。 これからも、心の真ん中に〜』


~ありがとう、我が家のセンター~


月日はあっという間に流れ、

三毛猫のミーちゃんが我が家にやって来てから

10年が過ぎました。

私が一人暮らしを始めてからは、実家へ帰るのは

月に一度くらい。

久しぶりに玄関を開けると、家族よりも早く

出迎えてくれるのがミーちゃんでした。

「おっ、また来たの?」

そんな顔をしながら近づいてきたかと思えば、

私の膝へひょいっと飛び乗ります。

そして一言も文句を言わず、私が帰る時間に

なるまで動かない。

いや、正確に言うと…

「お前の膝、今日も貸してもらうからな。」

そんな圧倒的な態度です。

足がしびれても動けません。

ミーちゃんをどかそうものなら、

「何か問題でも?」と

いう顔で睨まれる始末。

我が家では、猫ではなく"会長"と呼んだ方が

しっくりくる存在でした。

そんなミーちゃんも15歳。

人間でいえば立派なおばあちゃんです。

若い頃は、台所で魚を焼けば一番に駆けつけ、

おやつの袋を開ける「カサッ」という音は

100メートル先からでも聞こえるんじゃないか

というほど。

食べ物への執念だけは誰にも負けませんでした。

ところが年齢とともに、その元気も少しずつ

落ち着いていきました。

お気に入りだった外への散歩も行かなくなり、

一日のほとんどを家の中で静かに過ごすように

なりました。

歩くスピードもゆっくりになり、

数メートル歩くだけでもひと休み。

それでも家族が「ミーちゃん」と呼べば、

尻尾だけはちゃんと返事をしてくれます。

「聞こえてるよ。」

そんな小さな返事が、なんだか嬉しかったもの

です。

やがて足腰はさらに弱り、自分で歩くことも

難しくなりました。

家族みんなが、

「頑張らなくていいよ」

「ゆっくり休んでね」

と声をかける日々。


そして数日後。

ミーちゃんは家族みんなに見守られながら、

静かに旅立ちました。

涙が出ました。

けれど、

不思議と「ありがとう」という

言葉が何度も口からこぼれました。

ミーちゃんは、ただ一匹の猫では

ありませんでした。

笑わせてくれました。

癒してくれました。

時には家族の中心になり、

会話を増やしてくれました。

嫌なことがあっても、

ミーちゃんのお腹を撫でれば、

少しだけ心が軽くなりました。

「猫には人を幸せにする力がある。」

そんなことを教えてくれた先生でもありました。

そして、ミーちゃんが旅立って今年で3年。

実家へ帰るたび、つい「ミーちゃん、ただいま」

と言いそうになります。

もちろん返事はありません。

でも、なんとなく今でも、あの定位置だった

座布団を見てしまいます。

ペット霊園の前を通るたびにも思います。

「あの世でも、誰かの膝を占領してるんだろうな。」

きっと天国でも、

「そこ、私の席だから。」

なんて顔をして、神様を困らせているかもしれません。


そんな姿を想像すると、自然と笑ってしまいます。

ミーちゃんはもう姿は見えません。

でも、

家族の思い出の中では、

今日も変わらず自由気ままで、

食いしん坊で、

少し偉そうな三毛猫です。


家族に

笑顔をくれて、

優しさを教えてくれて、

本当にありがとう。

またいつの日か会えたら、その時は思う存分、

膝を貸してあげるよ。

……ただし、足がしびれたら少しだけ降りて

くれると助かるけどね。





最後まで読んでいただきありがとうございます

よかったらコメントで感想やスキ、フォローいただけたら今後の励みになります。

次回記事は、『noteを始めて1週間』感想と今後の目標

これからも、よろしくお願いします。

いいなと思ったら応援しよう!

この記事が参加している募集