マーラーの交響曲の魅力
クラシック音楽ファンの方々には、モーツァルトが好き、ベートーヴェンが好きという人は多くても、マーラーが好きという人の数は格段に少ないのだと思います。不肖私も超初心者の頃は「とっつきにくいな」と感じて敬遠していたものですが、今ではすっかり虜になっております。そんなマーラー・ファンの端くれといたしましては、少しでも多くの方々にマーラーの魅力を見出していただきたいなと思うところです。
他の記事でもマーラーの交響曲の魅力について触れてきましたが、繰り返し申し上げると、第一に「歌心」、第二に「ドラマチック」であることだと思っています。ほかの作曲家の交響曲のように同じ旋律が延々と繰り返されるようなことはなく、随所に愛らしく親しみやすいメロディーが散りばめられている。さらに同じ楽章の中にあっても、さまざまな感情の起伏や展開があり、長大であっても決して飽きることはないです。
元オーボエ奏者の宮本文昭さんなどは、「あまりクラシック音楽に親しんでいない人が音楽会でマーラーを聴いても、きれいな絵を見ているような気分になれると思う」とおっしゃっています。ただひたすら音だけを積み上げているブルックナーの場合は、マーラーみたいに絵や景色にたとえることができないから相当聴き込まないとわからないけど、マーラーは、ずっと入りやすいって。またある人が言うには、まるで映画の脚本家が作曲したかのようだ、って。まさに言い得て妙!
それから、ここでもう一つ大きな魅力、特徴として申し上げたいのが、マーラーの交響曲には、オーケストレーションの「薄い」部分がけっこう多いってことです。マーラーというと大編成の楽器による大音響のイメージばかりが強調されがちで、確かにそうした派手なところもあるんですが、意外に「薄い」部分も多いんですね。まるで室内楽であるかのように、少ない楽器によって静かに奏でられる個所がふんだんにあります。その旋律がまた実に繊細で美しい! 第2番《復活》の中間楽章なんか特にそうでして、そんなところも大きな魅力だと思っています。
