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【日記】リモート旅行

景色のキレイな無人駅の動画を見た。

夕日に照らされた無人駅は見たことのない美しさだった。自分の目で直接見てみたくて、次の休みに行く計画を立てる。

その話を、その無人駅がある県に住んでいる友達に話したら、

「そこはマジで何もない。行く意味がない。行っても後悔するだけ。東京からわざわざ何時間もかけて行くような価値はない。
てかなんで行こうと思ってんの?

となぜかキレられたので、キレるほど何もない場所ってなんなんだろうと逆に興味が増したのだった。

一体どれほど何もないんだろう、と旅行予定日の前日、土地を立体的に見れる「Googleアース」でリモート旅行をしてみる。

旅の予定では、無人駅の近くに海があったので、そこまで歩きがてら、近くのお店で食事を取ろうと思っていた。
そのルートを辿ってみる。

まず無人駅。確かに何もない。なぜなら無人駅っていうのは無人の駅のことだから。(進次郎構文)
でも、木でできたカラフルな無人駅で、ジブリにでも出てきそうなおしゃれな駅だ。
これはこれで雰囲気があっていいんじゃないか?

私は出身地が都会なもので、無人駅をみたことがなくかなり新鮮に映った。

無人駅から出ようと思ったが、出入り口がどこにあるのかわからない。というか、出入り口ない?
リモート旅行、駅から出られず早々に詰む。

仕方ないので、近くの道路までワープする。
確かに、ワープした先の道はびっくりするぐらい何もない。

東京に住んでいると、どんな小さくても周辺に店がない駅なんて見たことないので、びっくりしてしまった。

目の前に広がるのは森とかじゃなくて、草。手入れされていない草が生えまくっている。



海に向かって歩く。

道が細く、周りに家すらない。あまりに人気がなく、この道を夜歩くのはだいぶ怖いかもしれないと想像する。
もし帰りが夜になったら、目をつぶって駅まで走り抜けるだろう。

海まで遠いな。遠いし、不必要に道が分かれているので迷いやすい。道だけはたくさんあるの、なぜ。

完全な田舎道であるが、道がすべてコンクリで舗装されていることに驚く。こういう道をみるたび、私は田中角栄前首相の顔が思い浮かぶ。

1972年に「日本列島改造論」という、日本のすべての道を舗装して交通インフラを充実させよう、といった政策を実行した人である。

受験の時に、「田中角栄、日本列島改造論、田中角栄、日本列島改造論」と呪文のように唱え暗記していたことを思い出す。

日本史の知識は受験終了と共に9割が記憶から消え去ったが、この政策だけはなぜか覚えている。

受験期のことを思い出しながら道を歩いていると、食事処が現れた。

何もない場所にポツンと立っている食事処。海が近いし、こういうところの海鮮丼美味しいんだろうなぁ、とツヤツヤに輝く海鮮丼を想像した。
車があれば徒歩より楽に行けそうなので良いかも。




食事処以降、延々と草だけが続く道を歩いていると、ようやく海に出た。
迷ったので体感かなり歩いた気分だ。

Googleアース上では、工事中でいろんな工事関係者のトラックが止まっていたため、トラックの隙間からしか海が見えない。あまり景色は良くない。

海ギリギリまで近づきたいが、堤防の一歩手前がGoogleアースの限界のようだ。

しばらく堤防沿いを歩いてみる。トラック、隙間から見える海、トラック、おじさん、トラック、海、おじさん、おじさん、おじさん。

海に行くまでの間、まったく人がいなかったのに、海に出たら、おじさんがたくさんいた。おじさんを見に来たわけではないのに。

かなり広い海で、全然景色が変わらない。
ずーっと右に進んでも、これ以上景色が変わらなさそうなので、リモート旅行を終えることにした。

さて、明日のことを考える。
駅から徒歩で海まで行き、何もない景色を見ながら、また駅まで歩いて帰るのか。
そして、この草の道と海沿いのおじさんを見るために、わざわざ明日、東京から3時間以上、旅費もかけて行くのか。

…。

「まぁ、あんまり行かなくても良いか」という気持ちになった私は、Googleアースをそっと閉じる。
起きる予定時間のアラームを外し、翌日はお昼までぐっすり眠ったのであった。

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