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河口湖で見た奇跡-本当はずっとそこにあった美しい世界


霧の向こうに、静かに広がっていた世界。

4年くらい前に気がつきました。
河口湖で、白鳥が見られるということに。
でも本当は――
もっと前から、知っていたのかもしれません。
ずっと心の中で、その映像だけを思い描いていました。
どんなに美しいのだろうかと。
そしてやっと、その時を迎える日が来ました。
実はその数日前、左足を捻って痛めていて、少し気持ちは沈んでいました。
それでも、こんな時こそ自然や白鳥さんに逢えたら、
心が少し軽くなるかもしれない。
そう思って、出かけることにしました。


朝、向かう時は富士山が見えていたのに、
河口湖に着いた頃には曇ってしまい、姿を隠してしまって
タイミングが少し合わなかった気がしました。



その前に、なぜ私がここまで白鳥に惹かれるのかをお話しすると――
幼い頃の記憶に遡ります。
『ヘンゼルとグレーテル』という物語をご存じでしょうか。
森に置き去りにされた兄妹が、助け合いながら道を探し、
不思議なお菓子の家にたどりつく物語。
恐ろしい出来事を乗り越えながら、最後は家へ帰っていきます。
私はこの物語に、とても惹かれていました。
兄と妹だったこともあり、どこか自分たちと
重なって見えていたのかもしれません。
そして――
物語の中で、湖を優雅に泳ぐ白い鳥に乗る子どもの姿がありました。
なぜかその光景だけは、ずっと心に残っていたのです。



幼い頃の私は、その白い鳥に自分も乗れると、どこかで信じていました。
そんなある日。
保育園の帰り道――
川沿いを歩く鳥たちを見て、どうやっても乗れないことに
気づいてしまったのです。
その時のショックは大きくて、母に話して泣いてしまいました。
そんな私を見て、母は後日、遊園地に連れて行ってくれました。
そこには鳥の乗り物があり、お金を払って乗せてくれたのです。
後になって見た写真の中の私は、とても満足そうな顔をしていました。

その時の母の優しさは、今でも心に残っています。
――そんな記憶の延長に、今の私がいるのかもしれません。

白鳥湖


そして先日、山梨県の白鳥湖という場所にたどり着きました。
最初に出迎えてくれたのは、一羽の白鳥。
静かにそこに佇んでいました。

最初に出迎えてくれた、静かな存在。


ここでは、小さなカップに入った餌を買って、
白鳥たちと触れ合うことができます。
私もその中に、自然と入っていきました。
本当に驚いたのは、たくさんの白鳥が自然の中で見られるということ。
しかも人に慣れていて、近くまで寄ってきます。

そのつぶらな瞳をじっと見つめていたその時、
手に持っていた餌に、くちばしが伸びてきて――思わず少し後ろに
倒れてしまいました。
それでも改めて餌を差し出すと、すぐにつついてきて。
その仕草さえも、どこか愛おしく感じました。


少し歩くと、目の前には湖が広がっていました。

ここには、ゆっくりと流れる時間がありました。


光を受けてキラキラと輝く水面は、まるで物語の中のようで。
白鳥だけでなく、さまざまな鳥たち。
そして水の中には大きな鯉たちも泳いでいて――
ここには、豊かな時間がゆっくりと流れていました。
しばらくの間、餌をあげたり、ただ眺めたりしながら、
静かな時間を過ごして・・

ふと目を向けると、二羽の白鳥が、ゆっくりと首を寄せ合っていました。
そのかたちは、まるでひとつの形のようで――
気づいた時には、自然と心がほどけていました。
そのあと、二羽はそっと寄り添うように並んでいて。
ただそれだけの光景なのに、なぜか忘れられないものになりました。

そしてその瞬間は、目にしっかりと焼き付いています。
写真には残せなかったけれど――

ふと目を向けると、二羽の白鳥が、ゆっくりと首を寄せ合っていました。


ふと、あの頃の物語のワンシーンが重なりました。
あの白い鳥に乗ることはできなかったけれど――
今、こうして出会えている。
それだけで、もう十分なのかもしれないと感じました。


羽を広げる白鳥。
すっと伸びた首。
湖を優雅に進むその姿。


ただそれを見ているだけで、満たされていくような感覚がありました。


そして思いました。
また、ここに逢いに来ようと。

ただ美しく、心に残るその姿。


心の中で小さな約束をして、その場所を後にしました。
あの頃、乗れなかった白い鳥に。
私はやっと、違う形で出会えた気がしました。🦢




Sakura diamond 2026



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