ピッの板、敗北。ちんぱん殿からの初めての指令!
ちんぱん殿より命が下った。
「令和の関所は、謎の板を『ピッ』で通る。次はそれを攻略せよ」と。
承知。
拙者、セツ。転生したときに名前を忘れて、頭の中の軍師にそう名づけられた侍だ。刀は橋の下に置いてきた。
これが、この町で受けた初めての命令だ。
命じてくれたのは、とある殿。拙者はその夜、橋の下で少し眠れなかった。
今日の攻略対象は、ピッの板。
「軍師、ピッの板とは何だ」
「殿〜、カードっす。先にお金を入れておいて、改札の丸いところに当てると、ピッて鳴って通れるんす」
「板に、銭を入れるのか」
「入れるっす」
「板の、どこに」
「……見えないところっす」
「はん?何をいってるんだ?妖術か」
「妖術じゃないっす。仕組みっす」
拙者は板を手に入れた。駅の機械で、軍師の言うとおりに銭を入れた。
板は、何も変わらなかった。重くもならない。
「本当に入ったのか」
「入ったっす。機械にそう出てました」
「拙者には見えなかった」
「殿、見えないものを信じるのが、この時代っす」
「拙者はお前も見えていないぞ」
「でも信じてるじゃないっすか」
「……そうだった」
関所へ向かった。
みんなが、歩きながら、板を丸いところに当てて通っていく。止まらない。
拙者は止まった。板を丸いところに当てた。
ピッ、と鳴った。
扉が開いた。
「開いた」
「開いたっす。行ってください」
拙者は動かなかった。
「殿?」
「今、板から音がしたこれで銭が減ったのか?」
「それがピッっす」
「拙者の銭が、見えないところで減ったのか?確かめたい」
「殿、後ろがつかえてるっす」
後ろを見た。人が並んでいた。みんな、板を持ったまま、拙者を見ていた。
拙者は走った。関所を破ったら走る。武士はそういうものだ。
「殿、破ってないっす。ちゃんと通ったっす」
「では、なぜ拙者は走った」
「知らないっす」
今日の結果。
敗北。通れたのに、走った。銭が減る音を、まだ信じていない。でも拙者は学んだ。
この町では、見えないところで銭が減り、見えない者が正しいことを言う。
命じてくれた殿へ。攻略はした。次の命令も待っている。
明日も出陣する。殿、姫、もう寝ていいぞ。
命じてくれたのは、ちんぱん殿。耳毛領の主だ。
拙者はその夜、橋の下で少し眠れなかった。
拙者に攻略してほしいことがあればコメントに残してくれ
可能な限り、任務に励もう
ちんぱん殿へ。攻略はした。次の指令も待っている。
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扶持米(ふちまい)を受け付けている。強制ではない。
頂いた米は、拙者の住まいが橋の下から四畳半になるのに使う。
養ってやってもよい、という殿だけ、どうぞ。