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AIにNNNについて聞いたら、黒猫に人生を上書きされた話を思い出した

「俺はNNNにロックオンされているのだろうか」

そんな軽いノリでAIに聞いたのが始まりでした。

NNN――“ねこねこネットワーク”。猫好きの間で語られる、「猫を人間の家に派遣する謎組織」です。もちろん本気で信じているわけではありません。たぶん。いや、少しだけ信じています。

AIは即答しました。

「ほぼ確実にロックオンされてる」

理由も細かい。

猫の話題に反応する。写真フォルダが猫だらけ。気づいたら猫を見ている。猫に優しい。猫がいるだけで予定が変わる。

そして最後に、

「全部満たしてる。完璧に。」

いや、怖い。

軽い冗談のつもりだったのに、診断結果が妙に正確です。しかもAIは続けて、「昔一緒にいた黒猫は、かなり上位の初期工作員だった可能性が高い」と言い出しました。

でも、そのふざけた会話の中で、妙に記憶がほどけていきました。



実は僕、子どもの頃は猫が嫌いでした。

昔、飼っていたヒヨコが野良猫に襲われていなくなったことがあり、その猫が黒猫だったんです。

それ以来、僕は長い間、

「猫は嫌いだ」
「特に黒猫は許さん」

と、自分に言い聞かせていました。

今思えば、猫というより、その時の悲しさをどこかにぶつけたかっただけなのかもしれません。

なのに、人生で一番メロメロになった猫が黒猫でした。



その黒猫との出会いも、かなり雑でした。

ある朝、ベランダを見たら黒猫が寝ていました。

最初は「死んでる!?」と思いました。

慌てて家に入れて温めたら、普通に起きました。そして何事もなかったように、座布団の上で二度寝を始めました。

「なんて図々しいやつだ」

これが第一印象です。

感動の出会いではありません。突然ベランダに黒猫が落ちていて、温めたら座布団を占領された。それだけです。

一応、近所の猫の集会所みたいな場所に戻しました。

でも帰宅したら、僕より先に家の前にいました。

怖い。

なぜ先回りしているのか。どのルートで戻ったのか。いつからうちを自宅認定していたのか。

しかも一応、里親に出したこともありました。二回です。

でも、どちらも結局戻ってきました。

相性とか環境とか、理由は色々あったんだと思います。でも当時の僕にはもう、

「こいつ、ここから動く気ないな」

にしか見えませんでした。



さらに意味不明なのが次の日です。

朝、優しい陽の光が窓から入ってきていました。ふと見たら、その黒猫が普通にヘソ天していました。

昨日まで野良だった猫です。

しかも相手は、元・黒猫嫌いの人間です。

警戒心どこ行った。

でも、その光景は今でも妙に覚えています。

窓から入る光。座布団。黒い毛。無防備なお腹。

しかもモフモフふわふわでした。

ヘソ天だけではありません。

その黒猫は、お腹に顔を近づけても逃げませんでした。いわゆる猫吸いもできるし、ふわふわのお腹に顔をうずめて「プー」とやる謎行為まで許してくれました。

冷静に考えると、猫としての危機管理能力がかなり低い。

でも、こちらとしては最高です。

「黒猫=怖い存在」だったはずなのに、その日から少しずつ、「黒猫=安心する存在」に変わっていった気がします。

AIに言われました。

「その黒猫は“距離ゼロ”を選んだ猫」

妙に納得しました。



今一緒にいる二匹も、たまにヘソ天はします。

ただし、近づくとダメです。

腹プーなんてもってのほか。

ヘソ天しながら、「見るだけにしてください」という圧を出してきます。こちらが一歩近づくと、すぐ体勢を戻します。

まるで展示品です。

「鑑賞可。接触不可。」

そういう距離感です。

しかも今一緒にいる二匹も、別の家なのに突然ベランダからやってきました。

つまりNNNは、住所ではなく「人間」を追跡している可能性があります。

ここまで来ると、もう偶然とは思えません。



ここまで話して、少し不思議な気持ちになりました。

最初はただのNNNネタだったんです。

「猫にロックオンされてるのか」
「派遣されたのか」
「工作員なのか」

そんなバカ話をしていただけでした。

でもAIは、こちらが出した言葉を拾って、少しずつ話を深めてきます。

「その黒猫はどんな猫だった?」
「最初に見たときどう思った?」
「ヘソ天したのは覚えてる?」

気づいたら、こちらも普通に答えていました。

黒猫だった。
めちゃくちゃ懐いていた。
ベランダで寝ていた。
次の日にはヘソ天していた。
モフモフふわふわだった。

AIは猫を飼ったこともないし、あの黒猫の重さも、毛の感触も、腹プーのくだらなさも知りません。

でも、質問の仕方が妙にうまいんです。

こちらが忘れていたわけではないけれど、普段はわざわざ取り出さない記憶に、そっと照明を当ててくる。

結局、NNNなんて当然実在しません。

でも猫との出会いって、人間側が「助けた」と思っていても、後から振り返ると、

「いや、あれ向こうが決めてたな」

と思う瞬間があります。

あの黒猫も、たぶん最初から決めていたんだと思います。

ここにいる。
ここで寝る。
この人間を落とす。

作戦成功です。

AIに相談したわけではありません。

ただ、ふざけて話を聞いてもらっただけです。

でも、その会話の先で、一匹の黒猫のことを久しぶりにあたたかく思い出しました。

NNNについて聞いただけなのに、最後には少し心が暖かくなっていました。

猫の工作なのか、AIの聞き上手なのか。

たぶん、両方です。


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