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ノベルゲームにおけるシナリオの長さの良し悪し/パラノマサイト・都市伝説解体センター等に対するハンドレッドラインの話

「シナリオが良いゲーム」の基準は人様々です。

では、「シナリオの長さ」の良し悪しの基準はどうでしょうか。
これもまた、当然人それぞれでしょう。

とは言え、性質上ある程度の傾向は存在すると思います。

まず「シナリオが長いゲーム」の定義なのですが、体感で言えば自分の読む速度で読み終えるまでに20時間を超えるゲームでしょうか。
ただここも、本当に人に依りすぎるんですよね…自分の中での「20時間位のゲーム」は、「月姫リメイク」「レイジングループ」「シュタインズゲート」辺りがこれにあたるんですが。
どうやら平均的にはこれらは40時間くらいのクリア時間になるようです。
流石におかしくね?と思ったのですが、すぐ気付きました。
自分は大体のフルボイスゲームの音声をちゃんと聞かずに読み進めるので、ちゃんと聞きながら進める人との差が大きかったようです。

じゃあ音声なしのゲームだろ、ということで「パラノマサイト」を参考にしてみましたが、公式さんの紹介でも自分のデータでも10時間ほどでクリアでした。なので、「パラノマサイト」の2倍以上長いゲームが「シナリオの長いゲーム」と言えることになります。

ただ、パラノマサイトは「純粋なビジュアルノベル」からはジャンルとしてはちょっと離れているのでブレがありそうですが…
ダンガンロンパ逆転裁判、最近では都市伝説解体センターも一応当てはまりそうですが、単純に読み進める以外の操作性があるとテキスト以上にプレイ時間が伸びてしまうため少し参考にしづらいところがありますね。
ADVか、ビジュアルノベルかの差です。まあビジュアルノベルはADVだと思いますが。


それはさておき、「10時間未満で終わる」のが「短い」「10時間~20時間で終わる」のが「適度」「20時間を超える」のが「長い」という印象です。

現代でウケやすい長さ

一般的には、現代でウケやすいADVの長さは間違いなく「短い」または「適度」だと思います。

何故かと言えば、前提として考えられるのはまず「物語性の強いゲーム」とは「人と語りたいゲーム」なわけなので、プレイヤーの数が肝心です。

これはゲームに限らず映画やアニメ、漫画やドラマでも何でもそうだと思うのですが、物語について「人と語りたい」というのはかなり強い感情です。「話の種にしたい」というどちらかと言えば逆方向からの思考もあると思いますが。

そして「人と語るための物語」で20時間ははっきり言って長いでしょう。
1クールアニメなら6時間、2クールでも12時間ほどで終わります。映画なんて2時間前後です。
つまるところ、割と「タイムパフォーマンス」は悪めなんですよね。ノベルゲーム。

なのでまあ、少なくとも昔と比べて明らかに「短い」のゲームの方がウケやすい傾向はあると思います。物語メインのゲームに関しては。

「都市伝説解体センター」もまあテキスト以外の操作込みで15時間程度のゲームです。「パラノマサイト」はもっと短く纏まっていますが、更に短めかつ大きく広まったのは「ドキドキ文芸部」でしょうね。
日本人への知名度は怪しいですが世界規模で考えるなら「飢えた子羊」も強いでしょう。

少なくとも優に20時間を超えるようなノベルゲームが流行ることは現代では中々ないと考えられます。
感想会で消費するためのコンテンツにしては重すぎるので。

もちろん作り手側もそれがわかっているためか、低価格低予算低ボリュームのADVが最近では結構流行り気味だと思います。まあ予算に関しては元々低予算で作りやすいジャンルなはずですが。

そんな傾向に真っ向から張り合おうとしている頭のおかしい作りのゲーム、ハンドレッドラインなども最近発売し、中々評判は…一応好調?なようですが…
やはり「長すぎて語りにくい」という状態は起きているなと感じました。100時間で完走出来ないADV。正気か?

「物語性」のための長さ

されども、「ADVが好きな人」の好みに関してはもうちょっとズレてくると思います。1つ横にずれて、「適度」「長い」ゲームの方が好みな人が多いのではないでしょうか。
それはどちらかと言えば、「タイパ」「共有性」よりも「物語性」そのものを求めている人が多いからでしょう。

別に10時間未満の短いゲームで物語性を作れないなどということはありません。
ドキドキ文芸部飢えた子羊など、描き方によっては短いプレイ時間でもしっかりとした感動物語性を生み出すことが可能です。個人的にはイハナシの魔女もかなりよく出来ていると思います。ステラーコード楽しみ過ぎる!

ただ、あえて主語を大きくして強い言葉を使うならば、「物語を読むのが好きな人」にとっては、シナリオは「長ければ長いほど良い」と思います。

1つの理由は「この物語がずっと終わらなければいいのに」ですね。マシュに詰められそう。
まあこれに関しては普通に、そこまで物語を読むのが特別好きなわけでは無い人でも抱く感情だと思います。ADVのようなマイナーな舞台ではなく少年漫画とかで。「大好きなこの作品が終わってほしくない」はよく聞く話ですよね。

ただそれとはまた別の話で、「積み上げた時間が産む感動」というものは間違いなく存在するんですよね。
現実のイベントに例えるならば卒業式結婚式のように。
「シナリオの長いゲーム」はそれを疑似体験させる力を持っています。
だって20時間、長ければ50時間とか。映画何本分の付き合いになるんだって話です。時間の経過による単純接触効果でキャラクター、シナリオ、世界観への愛着が湧きます。これに関してはADVを普段からある程度遊んでいる人の方が伝わりやすい感情じゃないでしょうか。

これはプレイヤーの時間という貴重なリソースを消費して生み出しているものなので、それが作品として「優れている」のかというと少し疑問符は付きます。
というかまあ、「優れている」のはむしろ10時間前後で手っ取り早く楽しめるゲームと言えるでしょう。前述したように、最近話題になるようなADV作品で20時間を超えるようなゲームは少ないですし。

「優れている」ADV


以前にも何度か語っている気がしますが、自分は前述した「パラノマサイト」が非常に「優れた」ADVだと思っています。
多分自分の知っている限りでは一番です。これ以上に「優れた」ADVは早々無いと思います。自分なんぞよりもっとADVの経験が多い人でも、思い出補正を抜きに考えれば大体これに近しい評価をするのでは?と勝手に思うくらいです。
自分も別にこのゲームを遊んだ頃にはある程度ADV経験があったので思い出補正が乗っている気はしません。ただ感心しました。

これが大手の力なんだ…って、別にパブリッシャーが大手なだけですが。優れてはいるけど滅茶苦茶お金かけてリソースの暴力やってるってほどの作りでは無いのもまた、このゲームが優れている所だと思います。まあ一般的なインディー規模のADVに比べると普通に豪華な作りしてますが。

同じく前述した「都市伝説解体センター」もまた、商業的に「優れた」作品でしたね。こちらの強みに関しては割と贅沢な部分も感じさせますが。
個人的にこの作品の一番明確な強みはグラフィック音楽だと思うので。
3ヵ月?で30万本くらい売り上げたそうなので、少なくとも現代の日本人をターゲットにする分にはかなり上手く撃ち抜けていると考えられます。
日本のADVで30万本ってお値段がインディー級なことを加味しても普通にだいぶ凄い数字ですからね、多分。

ですが、自分は「一番優れている」と思う作品が「一番好き」なわけではありません。結果として自分の基準に照らし合わせて「優れている」ことと、「好き」は別だからです。
前者は三人称視点に寄った評価であり、後者は完全に一人称視点ですからね。

都市伝説解体センターに関してはまあそもそも良いところもあれば悪いところもあるよねって感じの毒にも薬にもならなさそうな感想をグダグダと以前に語っているので「一番好き」じゃないのは当然なんですが、パラノマサイトは本当に「よく出来ている」と思います。
例えるならばこれは「全科目で90点台を狙えるゲーム」なんですよね。まあ実際は当然ながら、ある程度の点数の偏りはありますが。CV付いてないし。(自分にとっては特に減点対象にはならないけど)

前述のように「ある程度短い」、ことは「実況配信などで感想を共有しやすい」ことにもつながり、それは「優れている」に結びつくでしょう。

「優れていない」ADV

そんじゃあえて「優れてない」ゲームの話するんですが、これも前述している「ハンドレッドライン」です。
ちゃんとした感想記事を書こうかと思いましたが書くべきことが多すぎるのと自分の評価を定めるのが難しすぎて取捨選択無理だなこれとなり断念しております。
シナリオの中身には触れませんがゲーム全体への感想になるのでネタバレ注意。

このゲーム、本当に「スマートじゃない」と思います。
まずボリュームがアホ。ある程度効率的に読み進めることを意識しても完全踏破にはほぼ確実に100時間以上を要するのではないでしょうか。
そして宣伝のためか、実況配信を最初から全編許可しておりますがはっきり言って実況配信に全く向いていないゲームです。
長すぎるというだけではなく、常に話すようなことがあるわけでもないからです。盛り上がりどころがまばらに分散しており、言ってしまえば密度が低めなんですね。
まあこれは総合的に見た場合の話で、プレイから20時間くらいまでは割と密度も維持されていると思いますが。もうこの時点で「長い」の基準であるはずの20時間が前座なんですよね。

こんなクソ長いゲームにも関わらず、「UIが大作ノベルゲームの形をしていない」です。このリトライ性で既読スキップ無いってマジ?
スキップ機能もなんか色々仕様がおかしいし、はっきり言ってUIの出来は悪いでしょう。チャイム音で段々狂いそうになってくる。
SIREIチャイム止めろや!!!!って思ってたらアップデートで飛ばせるようになりました。よかったね。

そして「総合すると滅茶苦茶長いプレイ時間」になるゲームなのですが、「消費したプレイ時間の価値に見合う物語か」と聞かれると自信を持って頷くことは…できない!

まずこのゲーム、純粋に文章を読み進めるゲームではありません。がっつりSLG要素が付属していたり、素材集めのミニゲームなどもありと結構しっかりしたゲーム性がオマケにくっついているのでそっちにもかなり時間を取られています。この時点で「物語に消費した時間」の密度は落ちているのですが。
その上で「100エンド分のルートに分かれている」という最大のポイントがあります。しかも「ルートごとに全然違う話に分岐する」という形で。

これの良いところは味変し放題なところです。色んな展開を見ることができ、自分の好みに引っ掛かるものを探す楽しみがあります。
悪いところは、「1つの物語」としての纏まりが犠牲になるところです。
言ってしまうと「総合的に見た場合のシナリオの完成度」は別に高くないんです。だってまずルートごとにライターが変わるし、その微妙な違和感はプレイをしていても伝わってきます。「各ルートごと」に見ると結構いい感じのルートも多いですが。

つまり、「不純物」が多いんですよね。ごった煮。
そもそも100エンドとは言うものの実際にしっかり分岐している別の物語の数としては20個くらいと言ったところで、その差分は大体バッドエンドかちょっとした分岐による別の終わり方ってところです。いや十分にクソ多いんですが。
10時間くらいでいい感じに纏まってるゲームが体積100、密度100だとしたらこのゲームは体積1000以上、密度50みたいな感じだと思います。
しかしこれはつまり、質量で言えばやはり凄いんですよね。

不必要な点を削ぎ落すどころか「100」への拘りのために無理やり余計な要素を盛っているとすら表現されかねないその暴力的な質量は、「完成度」という点で考えればどうしても落とさざるを得ません。
シナリオも面白いところは普通に面白いんですが、過去の名作…それこそダンガンロンパシリーズをプレイしていた時レベルまで盛り上がれたかと言うと、密度の関係でそこまでにはならなかったと思います。

ただこれ、「キャラゲー」として見るとその無茶なボリュームがかなり活かせているんですよね。「あまりキャラゲーのプレイ経験が無い」と以前書きましたが、このゲームは「キャラゲー」と言っていいと思います。

このゲームのアホなボリュームはシナリオ部分、プレイ時間だけではなくイラスト面にも発揮されています。というか多分ここが一番おかしいです。
CG約600枚とかありますからね。差分無しで。
CG集のページが8ページしか無くて「あれ?」となっていたら、下にスクロールできて1ページ80枚あることに気付いた時が一番戦慄した瞬間かもしれません。
勿論キャラの表情差分も多いです。こっちもなんかすごい数だった気はしますが流石に枚数はわかりませんね。どっかのインタビューで書いてた気はします。

そして前述した「単純接触効果」により、自分視点で出番の多いキャラへの思い入れは勝手に増していきます。まさに、「キャラを楽しむゲーム」足り得るでしょう。
更に様々なルートがあることで、「敵側」を担当していたキャラの「味方側」としての立場を見たりすることもできるわけです。

まあ、「ライターが違うのでキャラの性格にブレがある」とか、「これだけシナリオが多いのにキャラの出番や扱いに割と格差がある」とか、「キャラゲーとしての問題点」も割とポロポロ出てくるのが「らしさ」な気はしますが…

とは言えど、やはり過去作「ダンガンロンパ」と比べても総合的なキャラ描写に関しては明確に優れているところです。あっちも描写の偏りは多い上で、死んだらそれっきりですからね。キャラを別の立場で見ることも基本できません。

ありとあらゆる面で「スマートさ」「完成度」の逆を全力疾走した感のあるゲームだと思いました。パラノマサイトなどとは対照的です。

「好き」なADV

さて、良い点1:悪い点9くらいで語ってしまった気がしますが…
自分は「ハンドレッドライン」「かなり好きなゲーム」です。GWを優に7日以上費やした気がしますが、特に後悔していません。不純物も多く混ざっているものの、ここまで「全力で1つの世界観内での物語を味わう」という経験を買い切りのゲームで得ることは非常に難しいからです。昔のゲームならもうちょいあったと思いますが(ひぐらし、うみねこ等)現代で味わうのは「シナリオ推しソシャゲを後追いでプレイする」みたいなことをやらないと難しいと思います。
FGOとか。あれも色々問題点はあると思いますが、シナリオを味わう点に関しては十分評価していいと思います。だからFGOも「好き」です。というかこっちはまあシナリオに関しては十分「優れている」と言っても良いのではないかな…少なくとも基本プレイ無料のソシャゲとしては。

前述した「消費したプレイ時間の価値に見合う物語か」という問いについて、自分は「他人には気軽に勧められないが、自分は時間を浪費したことを後悔していない」と言えます。FGOもそんな感じ。いやお金の方に関しては割と後悔してるけど。

綺麗に纏まっている短編が安定して評価を得て、色々と生まれることが増えた現代だからこそ、こういう「中々得られない体験」に価値を見出してしまうんですね。
それは「不出来」かもしれませんが、その「不出来」も結局は多数派から見た評価であり、できれば淘汰されて欲しくは無いんですよね。いろんなゲームがあった方が面白いですし。ユガの話もオニャンコポンの話もしていません。

つまるところ何が言いたかったのか?

長い読み物ゲーって敷居がかなり高いんですけど、もしも短めのシナリオゲームを楽しんで感じ入る感性を持っているなら、もし宜しければ一度長めのゲームにも挑戦して欲しいかな…って…
別に特別ハンドラを薦めているわけでも無いんですけど…ああいうゲームが売れるとちょっとボリューム勝負してくるゲームも増えたりするんじゃないかなってぇ…
別に現状に不満があるかと言われるとそんなでもないんですけど…

まあダンガンロンパのキャラクター性に魅力を感じていた人には割と十分にお勧めできると思います。別にハンドラじゃなくてもいいんですが、ちょっとがっつり歯ごたえのあるADVに手を出してみるのもアリじゃないでしょうか。それで楽しめたなら多分ハンドラも割と楽しいと思います。

つってもなんかこの記事読むような人って言われずともとっくにそういう作品には触れてる気しかしねえんだよな…

理由後付けしただけで単に適当に頭の中のハンドラその他への感想を書き散らしただけですねこれ…なんならネガキャンみたいになってないか…?

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