現実と仮想現実モノと異世界モノ(質問箱回答)
中々単なる消費者にはハードルの高い質問を頂いたので真面目に考えてみたんですけども。
確かに仮想現実モノは(自分が大して知見が深くない可能性は高いのですが)現実に帰る、というオチになりがち…かも?と思いました。
それは勿論そもそも設定的に現実ありきで、仮想現実に没入しているという構図になっていることが多いのも理由だと思いますけど、「現実よりも都合の良い世界だから」というのが原因じゃないのかなぁ?と。
読者・プレイヤー側の感覚としては、質問者様の考えている「現実が滅びた上で作られた電脳世界」という設定は、それだけでかなり電脳世界を肯定しやすい土台になっていると感じたんですよね。
そもそも現実が滅びているなら、電脳世界は「現実からの逃避先」ではなく、もうそこにしかない生活圏です。
そこに人がいて、人格があって、関係性があって、主人公やヒロインがそこでしか生きられないなら、それを守る理由としては十分に機能すると思います。
で、異世界モノが比較的そういう方向に行きにくいのは、「そもそも現実に帰る手段が無い」だとか、「別に全てが現実より都合が良いわけでもない」だとか、その手の「仮想現実よりは都合が良くなくて、もう1つの現実として現実世界と同レベルで存在できる」というのが理由なんじゃないかと…
仮想世界が「辛い現実からの逃避先」としての強度が高いなら…仮想世界が都合のいい夢で、現実が辛い場所なら、物語としては「夢から醒めて現実を受け入れる」ことが成長として描きやすいですからね。
まさにカリギュラ。

一応カリギュラについて軽く説明しておくと、辛い現実からの逃避先として作られた、理想の学生として生きられる仮想世界に閉じ込められてしまい、そして現実の記憶を思い出してしまった人達がそこからなんとか脱出するためにその仮想世界をぶっ壊そー!って話なんですけども。
敵はその理想の仮想世界を維持したい側で、こちらもまた辛い現実からの逃避先としてその仮想世界に居る側なんですけども。
どっちも苦悩の内容が中々にガチで、そりゃこの世界に居たがるのも仕方ないよなぁって感じなんですが、それでも帰らなければいけない理由があるのでぶっ壊して帰るお話です。
それ以外はまあ大体ペルソナみたいな感じを想像してくれればいいんですけども。というか過去のペルソナ作品(1~2)のライターさんがシナリオを担当しているゲームなんですけども。
今考えると、P5Rの三学期にもかなり方向性は近い…のか?
流石に、予算の差が凄いですが…
しかし別にこの物語もそこまで仮想世界そのものが悪いとは扱われてないんですよね。
強制的に囚われている部分に問題があるだけで、むしろ現実に帰ろうとしている主人公達含めて逃避先の仮想世界の存在自体は割と肯定されていたような印象があります。
つまり、「現実のほうが仮想世界よりも大事だから」帰る物語になるのではなくて「仮想世界が現実の上位互換すぎるから」こそ帰る物語になるだけだと思うんです。
それでも現実に帰る理由は何か、という部分でキャラクターの信念や成長を描けますし。
メタ的には「現実が上位、仮想が下位」に見えるんですが、物語内の快適さとしては「仮想世界の方が完全上位」になっているからこそ、そこに留まることが「甘え」や「停滞」に見えやすくなり、最後に現実へ降りていく構図が生まれやすいのではないでしょうか。
逆に言えば、別に仮想世界に居ることが甘えでも停滞でも無いならば現実に帰る話にする意味もないですよね。
その両パターンを同時にやっていたのがSSSS.GRIDMANとかでしょう。

仮想世界そのものが悪いというより、「その人にとって都合のいい世界に閉じこもっていること」が問題視されている…メタ的に言うと、問題として扱いやすいのでしょう。
だから、そこを問題っぽく見せないようにするには都合の良さを削り取る、もとい都合の悪さを付与すればいいのでは?とも思います。
まあSAOみたいにあまりにも都合が悪すぎると今度は本気で帰らないといけない話になっちゃいますけど…いやSAOも別にそんな詳しくないですけど…
資源の限界とか、維持コストとか、死亡に相当する要素とか、政治的な対立だとか…そういう「めんどくさい要素」があれば仮想現実の世界観の強度も現実と同じような位置まで降りてくるので、結論を「現実に帰ること」にせずに済むような気がします。
というかぶっちゃけ異世界モノだとしても、都合の良いことばかりしかない異世界って自分はあんまり面白くないというか、露骨さが見えちゃってちょっと辟易するところがありますし。本当にそれだけってことはあんま無いとは思いますけど。
結局のところ、「もう1つの現実」としてどこまで存在感を高められるかという話な気もしますね。プラス方面にせよ、マイナス方面にせよ…ですが。
まあ、あんまりやり過ぎるとそもそも「仮想世界という設定があるだけの現実と何ら変わらない場所」になりそうな気もしますけど。
創作って難しい!
消費者でよかった。
