【名作フリーゲーム】星影の館殺人事件
1935年の洋館を舞台に織り成す、レトロな雰囲気の怪異ホラーミステリーアドベンチャー
とのことですが、想像を超えてくるレベルでレトロです。
サムネイルの画像でも十分レトロな雰囲気は見て取れますが…

実際の中身はこんな感じですからね。
ドット絵風加工の綺麗な感じのやつではなく、がっつり時代を感じさせるドット絵です。
音楽もレトロです。音の種類が少なそう!
ファミコン時代の推理ゲームとかを想起させる感じですね。
自分は流石に全然そんな世代では無いので、別に懐かしいとかは無いのですが。

プレイ時間は6時間ちょっとでした。
公式だと5~10時間くらいとのこと。
ネタバレ無し感想
面白かったです。想像をしっかり超えてきました。
怪異ホラーミステリーアドベンチャーの名に恥じぬ内容でした。
怪異でホラーでミステリーでアドベンチャーゲームです。つまり伝奇。
ありとあらゆる部分から凄まじいレトロさを感じさせますが、しかし今風な演出力も交えており、丁度いい感じです。
個人的には、作中の疑問を自動でファイリングして、疑問点と解答をまとめてくれるファイルシステムがシンプルながらに優れていると感じました。

「推理ゲーム」としての難易度はいつでもセーブできるので別に全然高くないんですが、「ミステリー」としての難易度は、中々ギミックに凝っているので割と想像するのが難しく、疑問点とその解答を覚えきるのが結構難しいので、これはかなりプレイヤーの助けになったと思います。
何せ、QUESTIONの数が普通に30個以上ありますからね。
「難易度は高くないが謎自体は凝っている」というのは、ミステリーゲームにおいては割と理想形だと思います。
ということでまず、ミステリーとして肝心な「シナリオ」の部分はバッチリ良い出来でした。最初は「この感じでそんな面白くなるのかな?」とか思っていたんですが、終盤は夢中になって先を読もうとしていましたね。
謎のばらまき方とその回収が丁度良くて気持ち良いです。
そしてシナリオだけではなく、実はキャラクターも中々良いです。

この辺りは説明しづらいので、プレイして貰って確かめて欲しいところ。
そして前述したように、演出が良いです。
上手だし、力も入っていると思います。
Steamでも遊べる無料ゲームなのですが、本当に無料で良いのかな?って出来でしたね。
今後、「コスパの良いミステリーゲーム」を聞かれたら割と優先してこれを挙げたくなるくらいです。何せ0円。
それでいて、ミステリーとしての質は全然有料のミステリーゲームにも劣らない出来なので。
この辺りは、シナリオが面白さの8割くらいを占めているテキストアドベンチャーの強みですね。
是非自分でプレイして欲しいです。
1つ難点を挙げるとすると、レトロな雰囲気のために使われていると思われるドットの仮名文字フォントが流石に読みづらい場面が多かったことですね。
一応誤読を防ぐために、上の画像のように<<>>で括ったりはしてくれているのですが、それはそれで読みにくかったり、結局わからなかったり。
自分は<<し>>がなんなのか、後半までよくわかっていませんでした。
「市」でした。
ちなみに、テキスト枠以外の部分だと普通に漢字で書いてあるのでわかりやすいです。ファイルのQUESTIONや資料などは全部漢字で読めます。

あと注意点を挙げておくと、文字通り怪異ホラーミステリーなので、怪異も、ホラーもあります。むしろそこが良いんですけども。
ホラー部分はこのレトロな雰囲気だからこそって感じが出てて特に良かったですね。ドキドキできます。
あと割とグロいです。ドット絵なのでガチのグロ画像ではないですけど、むしろドット絵だからギリギリR-18Gにはなっていないんだろうなみたいなラインを攻めてくるので。
後は…Ctrlでスキップ機能があって、演出が長めなので割と多用するんですが、微妙にスキップに融通が効かなくて不便なのでそこも注意ですね。
一度押したらスキップモード、もう一度押したらもとに戻ると覚えておきましょう。
重ねて、良いゲームでした。
ネタバレ有り感想
…仮面ライダーカブト?

というダメなオタク過ぎる感想はさておき、コワバミドリの設定がとても良かったですね。本当にワームを想起させる使われ方でしたが。
ゴリッゴリの怪異、ファンタジー存在でありつつ、犯人とは違うものの、事件のトリックにはメチャクチャ関わってきており、そして事件とは関係ない部分にもメチャクチャ関わっているこのお話の立役者です。

ファンタジー存在の性質がしっかりと提示された上で事件のトリックに組み込まれてくるタイプのお話、好きなんですよね。
それを存分に味わえるのがStaffer Caseとかですが、この話の場合はそういう事件集ではなくあくまでも一本筋の通ったシナリオなので、トリックと関係ないところにもそれを散らして来たのも良かったです。
というか、こいつですよこいつ!おさむさん!

排他的で嫌なやつでまさに古い時代の男…って感じのキャラに見せかけて、実際その通りなのは変わらないものの、その上で凄くかっこいい人でした。
愛妻家なのもずるいですよね。
下げて上げて下げて上げて上げて上げられた感じです。
こんなん絶対一番人気出るだろ!

そして、どう考えても因習村の頭のおかしいガキ枠だったおさむさんの息子、まなぶくんも凄く良いキャラでしたね。
いや、頭のおかしいガキなことは変わらないし物凄く鬱陶しいのも事実なんですが、それはそれとして正体に気付いた時の「うわぁ…」って感じと、その上でパパママ大好きで(彼なりに)立派な息子、山守家の長男としてあろうという精神性は好ましいと思いました。
また、鬱陶しいガキではあるものの、普通に事件解決の助けにはめっちゃなっているんですよね。
本当に、言動がおかしいだけで優秀な人物であるのがよくわかりました。
モッチーみたい。
1人だけセリフのノリがジョジョ世界の中でも更に頭おかしい側のキャラみたいな感じなのは最後までずっと気になりましたが…

この親子は本当に良いキャラでした。
単純にキャラクターとしてというよりも、シナリオ上で提示される謎としても丁度いい扱いだったんですよね。
そもそもまなぶくんに関しては「さびやまいじゃないなら何なの?」は結構わかりやすく話を引っ張ってくれる疑問点でしたし、おさむさんの場合深夜徘徊の謎もありつつ、謎だと思いすらしなかった身体を繋ぐ紐だったり、帰宅時の空砲だったりにも理由があったというのがとてもおもしろかったです。
コワバミドリの擬態がとにかくミステリーとしてもホラーとしても、丁度いい規模のファンタジーでした。

ゾッとするし、悲しいんですよね。
それに打ち勝とうとするおさむさん達から、既に人外と化しているにも関わらず人間の尊さを見ることが出来るのもよかったです。マジでワームだなこれ?
「シナリオが良い」にも色々ありますが、この作品の場合は単純にミステリーとしてのギミックの凝りの良さと、感情を動かしてくる展開の良さの双方を備えていたと思います。ジョジョで言うところの人間讃歌。
これ本当に無料ゲームでいいんか?
地味に、CG数も結構多いし…

同作者さんの他のゲームもやってみたいな、と思える出来でしたね。
というか奇天烈相談ダイヤルと同じところだったんですね。
名前と概要を知りつつも未だ手を出していないゲームだったんですが、是非やってみたいぞとモチベが上がりました。
こういうのでいいんだよこういうので…
