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#410「黙秘します」は本当に使える? “黙秘権”のリアル

刑事ドラマでは、「私は黙秘します」というシーンがよく登場します。

そのため、多くの人は、「黙秘権を使えば何も話さなくてよい」「黙秘しても不利にはならない」というイメージを持っているかもしれません。

実際、日本国憲法では黙秘権が保障されています。
憲法38条には、「何人も、自己に不利益な供述を強要されない」と定められており、警察や検察に対して無理に話す必要はありません。

しかし、現実の刑事司法では、黙秘権は「使えば安心」というほど単純なものでもないのです。

実際には、黙秘することで得られるメリットもあれば、逆にデメリットも存在します。

黙秘権はなぜ認められているのか

そもそも黙秘権は、「無実の人を守るため」に存在しています。
もし黙秘権がなければ、警察や検察は、
・長時間の取り調べ
・威圧的な尋問
・精神的な圧力
よって、無理やり自白を引き出そうとするかもしれません。

実際、世界では過去に、拷問や脅迫によって「自白」が作られてきた歴史があります。

日本でも戦前には、「自白偏重」の捜査が問題視されていました。
だからこそ現在では、「自分に不利なことは話さなくてもよい」という権利が保障されているのです。

つまり、黙秘権は、「犯罪者を守る制度」というより、「国家権力の暴走を防ぐ制度」とも言えます。

黙秘するメリットとは?

では実際に、黙秘にはどのようなメリットがあるのでしょうか。

最大のメリットは、「不用意な発言を避けられる」という点です。

取り調べでは、ちょっとした発言が不利な証拠として扱われることがあります。
たとえば、

・説明が曖昧だった
・供述が途中で変わった
・記憶違いがあった

といった場合でも、「話が不自然だ」と判断されることがあります。

また、人は強いプレッシャーの中に置かれると、混乱して事実と違うことを話してしまう場合もあります。

実際、過去の冤罪事件では、「無実なのに自白してしまった」というケースも少なくありませんでした。

そのため、弁護士が「不用意に話さず黙秘した方がよい」と助言することもあるのです。

黙秘すると不利になることもある

しかし、現実には、黙秘にはデメリットもあります。法律上は、「黙秘したことだけ」を理由に有罪にすることはできません。

ただ実際の捜査や裁判では、「なぜ説明しないのか」と受け取られることがあります。特に日本では、長年「反省」や「供述態度」が重視されてきました。

そのため、黙秘をすることで、

・否認している
・説明を拒否している
・捜査に協力していない

と受け取られることがあります。

さらに場合によっては、「反省していない」という印象につながり、裁判官の心証に影響するのではないかと指摘されることもあります。

もちろん、本来は黙秘権の行使だけで不利益な扱いを受けるべきではありません。しかし現実には、黙秘を続けることで、保釈が認められにくくなるケースもあります。

海外メディアなどが、日本の制度を「人質司法」と批判する理由の一つもここにあります。

現在の日本の自白重視の制度においては、

認めれば早く終わりやすい
否認すると長引きやすい

という構造があるため、「黙秘を貫くこと」が心理的に非常に難しい場合があるのです。

「黙秘=怪しい」は本当なのか

一般の人の中には、「黙秘するということは怪しいのでは?」と感じる人も少なくありません。
たしかに、何も話さなければ、不自然に見えることはあります。

しかし一方で、「話さない権利」は憲法で保障された正式な権利です。

また、実際の取り調べでは、精神的に追い込まれた結果、事実と違う供述をしてしまう危険もあります。

特に長時間の取り調べでは、

「早く終わらせたい」
「家に帰りたい」
「もう認めた方が楽だ」

という心理状態になることもあります。

だからこそ、「黙秘する自由」が重要視されているのです。

黙秘権は“現実”とのギャップが大きい

学校では、「黙秘権は憲法で保障されている」と学びます。
もちろん、それ自体は間違いではありません。

しかし現実の刑事司法では、

・黙秘すると長期化しやすい
・保釈に影響する場合がある
・「反省していない」と見られることがある

など、理想と現実のギャップも存在しています。

つまり、黙秘権とは、「使えば完全に安心な権利」というより、「使うことはできるが、現実には大きなプレッシャーも伴う権利」なのです。

だからこそ、「私は黙秘します」という一言には、ドラマで見る以上に重い意味があるのかもしれません。

【目次】

【参考】


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