#90 富士山が世界自然遺産でない理由

富士山は2013年、日本で13番目の世界遺産に登録された。世界遺産は「自然遺産」「文化遺産」「複合遺産」に分類されるが、富士山は「文化遺産」である。

世界遺産の登録に関わるユネスコの委員が富士山を視察した際、し尿処理やごみ投棄などの環境問題がネックとなった。かつての富士山は5合目以上のトイレは山が開かれる夏にため込んだし尿をシーズン後に山肌に垂れ流す方式がほとんどで、ティッシュペーパー等が白く筋状に固まって悪臭を放ち「白い川」とも呼ばれていた。山肌にはゴミが散乱しており、周辺は道路や観光施設が整備され自然が十分に保全されていないことも自然遺産としての登録が難しいとされる要因となった。
なお、現在では微生物を利用した分解や再利用、燃焼式の処理がすすめられており、垂れ流しはおこなっていないようだ。また、日本では美しい山の象徴とされる富士山だが、富士山のような円錐型の山は世界には複数あるということも自然遺産としての登録の障壁となった。
日本の自然遺産は「白神山地」「知床」「小笠原諸島」「屋久島」の4か所だけであり、これらの地域は観光開発がされず自然が保たれていることが評価されている。

そこで、富士山の世界遺産登録を目指す地元の人々は「信仰の対象と芸術の源泉」をテーマにかかげ、文化遺産としての登録を目指した。富士山は浅間信仰はじめ多様な信仰の対象として崇められており、万葉集から浮世絵まで、古来から多種多様な芸術作品に登場する。こうした方針転換が功を奏し、富士山は文化遺産として世界遺産に登録されたのである。

【参考】


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