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【未邦訳絵本】よくばり いちごおじさん|キム・ユギョン

 息子はジャムが好きじゃない。パンに塗るならあんこだ(渋すぎる)。そんな息子がいちごジャムを食べたいとリクエストしたきっかけが、『よくばり いちごおじさん(욕심쟁이 딸기 아저씨)』だ。

 いちごが大好きなおじさんは、毎日いちごを買い集める。ためて、ためて、とうとう家じゅうがいちごで埋め尽くされるほどになる。毎日いちごばかり食べているおじさんはある日、近所の人たちが集まってスイカを分け合っている姿を目にする。そこへ、スイカをお裾分けしに子どもがやってくる。「いちごが好き」と言う子どもに、おじさんはそれでもいちごを分けてあげられない。

 子どもを帰したあと、おじさんはしょんぼりと考え込む。分けてあげればよかったのか……。


いちごを分けてあげたほうがよかったのか葛藤するおじさん

 韓国では小学校の国語教科書にも収録され、長く子どもたちに読まれてきた作品だ。

 大人のわたしがこの本を手に取った理由は、まず絵だった。力強い黒い線と余白のなかで、いちごの赤が鮮やかに目に飛び込んでくる。韓国の書店で初めて見たときは、海外の絵本かと思ったほどだった。文字を読まなくても、ページをめくって絵を見るだけで楽しい。

 作者のキム・ユギョンは、2020年にボローニャ国際児童図書展のイラストレーターズ・エキシビションに選出されている。絵の力がこれほど強いだけに、読んでいると、文章でもう少し説明を減らしてもよかったのでは、と思うところさえあった。おじさんの表情や姿勢、周囲の人々との距離が、すでに絵のなかで語られているからだ。

書籍情報

原題 욕심쟁이 딸기 아저씨(仮題:よくばり いちごおじさん)
作者名 キム・ユギョン(김유경)
総ページ数 52ページ
ISBN 9791159950179
発行年 2012年8月31日
出版社 ノランデジ
ジャンル 絵本

近所の子どもが、スイカを持ってやってきました。
「おじさん、スイカどうぞ」
おじさんは思わずスイカを受け取りました。
「あれ? おじさんのおうちから、あまーいいちごのにおいがする。ぼくもいちご、大好きなのに……」
とつぜんそう言われて、おじさんは困ってしまいました。
どうしたらいいのかわからず、もじもじしているおじさんを見て、
子どもはしょんぼりしました。
ふたりはしばらく、だまったまま立っていました。
子どもの目には、涙がいっぱいたまりました。
すると、だだだっと走っていってしまいました。
おじさんはぼうっと、子どものうしろ姿を見つめていました。

동네 꼬마가 수박을 들고 찾아왔습니다.
“'아저씨 수박 드세요'”
아저씨는 얼떨결에 수박을 받아 들었습니다.
“어? 아저씨 집에서 달콤한 딸기 냄새가 나요. 저도 딸기 좋아하는데.....'”
아이의 갑작스러운 말에 아저씨는 당황했습니다.
어떻게 해야 할지 몰라 머뭇거리는 아저씨를 보고
아이는 시무룩해졌습니다.
둘은 한참을 어색하게 서 있었습니다.
아이의 눈에 눈물이 그렁그렁했습니다.
그러더니 후다닥 뛰어가 버렸습니다.
아저씨는 멍하니 아이의 뒷모습을 바라보았습니다.

 この絵本は、分け合うことの喜びを伝える作品として紹介されている。親が子どもに読み聞かせるときも、そんな気持ちを知ってほしいと思うのかもしれない。

 けれど、実際に子どもと読んでみると、必ずしも大人が受け取る「教訓」と同じものを見ているわけではないのがおもしろい。

 本書の最後には、「おじさんの顔はどうして赤くなったのでしょうか」と問いかけがある。答えは書かれていない。息子の答えは、「いちごをいっぱい食べたから!」だった。

 そして息子がもう一つ気に入ったのが、巻末に載っているいちごジャムの作り方だった。それまでいちごジャムを好んで食べなかったのに、この本を読んでから「食べたい」と言うようになった。

 大人はいろいろ考える。でも子どもにとっては、いちごをいっぱい食べたから顔が赤くなって、余ったいちごがあるならジャムを作ってみたい。そんなふうに物語から実際の生活へつながっていくのも、絵本を一緒に読む楽しさなのかもしれない。


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