「うちは残業がない」は、院長にとっては本当です|衛生士の11時間のうち、院長の目に映らない2時間半を表にしたら、辞める理由がそこにあった
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残業ゼロなのに、辞める医院|3つの医院を渡り歩いた衛生士が見た、拘束11時間の正体
朝8時30分に医院のドアを開けて、出るのが19時30分でした。残業は、ゼロです。
1つめの医院で、私はこの生活を5年しました。院長は本当に「うちは残業がない」と思っていたし、タイムカードの上でもその通りでした。
それでも5年のあいだに、私を含めて歯科衛生士が3人辞めました。
働いている時間は8時間半。医院にいる時間は11時間。
差の2時間半は、昼休みです。
こんな言葉が、頭のどこかにありませんか
「うちは残業がないのに、なんで辞めるんだ」
「給料は相場より下げていない。休みも週休2日にした」
「辞める理由を聞いても、家庭の事情としか言わない」
「長くいた子ほど、静かに辞めていく」
「次の人を採っても、また同じことが起きる気がする」
夜、求人サイトで自分の医院のページを開いて、応募0の画面を見ながらそう思った夜があるなら、ここから先は院長に向けて書きました。
こんなこと、していませんか
昼休みを、2時間以上取っていませんか。
その昼休みのあいだ、院長だけが院長室で仕事をしている。
有給の申請を「早めに言ってくれれば」で受けていませんか。
注意したあと、相手の顔をじっと見ている。
チーフを、いちばん長くいる人に頼んでいませんか。
1つでも覚えがあるなら、ここから先は院長の医院の話です。どれも院長が悪いから起きていることではないです。
院長の目に映らない場所で起きていることだから、です。
残業がないのに、なぜあんなに疲れていたのか
竹田優香といいます。歯科衛生士12年目で、3つの医院で働いてきました。
駅から遠い個人医院に5年、ユニット12台の大型医院に4年、いまは中規模の医院で採用と新人教育も任されています。
1つめの医院を辞めて2年後、その医院は閉院しました。院長の腕は本当に良くて、自分の歯を任せたいと思うくらいでした。
もう1つ、医院を変えるたびに持ち越してきた疑問があります。残業がない医院で、なぜ私はあんなに疲れていたのか。
答えが出たのは、2つめの医院に移ってからでした。同じ8時間働いて、帰りの自転車で鼻歌が出るくらい体が軽い。
違いは1つだけでした。昼休みが1時間だったこと。
1つめの医院の昼休みは、13時から15時30分まで。休憩室でおにぎりを2個食べると、残りが2時間ありました。
外に出ようにも住宅地で、歩いて行ける店がない。横になろうにも椅子しかない。
やることがないのでスマホを見る。スマホを見ていると、転職サイトが目に入る。
それが毎日でした。
院長はその2時間半、何をしていたか。技工物のチェック、レセプト、業者の電話、カルテの整理。
院長にとって昼休みは、仕事の続きでした。だから長くても困らない。
困らないから、気づかない。「うちは残業がない」は院長にとって本当で、私にとっても本当で、それなのに疲れの量だけが違っていました。
疲れるのは、働いた時間ではなく、拘束された時間です。歯科衛生士の退職理由は人間関係・給与・福利厚生の順だとよく言われますし、私もそれを否定しません。
ただ、私が3つの医院で見てきた範囲では、給与で辞めた人より、昼休みの長さと有給の言い出しにくさで辞めた人のほうが多かった。母集団は私が働いた3医院だけです。
統計ではありません。
これで全員が辞めなくなる、とは言いません。昼休みが1時間の医院でも、辞める人は辞めました。
ただ、拘束時間を一度も数えたことがない医院で、長くいる人が疲れている理由を院長が言い当てられた場面を、私は見たことがないです。
やったことは4つ。順番のほうが問題でした
犯人が昼休みの長さなら、時計で測れます。院長の人柄も、腕も関係ない。
3つめの医院で私が採用を任されてからやったのは、拘束時間を表にする・昼休みを直す・有給の受け方を変える・チーフの選び方を変える、の4つでした。
4つのうち、どれを最初にやるかで結果が変わりました。最初に昼休みを縮めた時は、午後の準備が間に合わないとスタッフから言われて戻したんです。
どれを先にやるべきだったか。その順番から、有料の1ページ目が始まります。
迷って捨てたのは、給与の章です。最後まで入れるか迷いました。
捨てた理由は2つで、給与は求人票に書いてあって入る前に分かること、それと給与の話は社労士さんの領域で私が書けるのは現場の運用までだからです。
給与も昼休みも両方きつい医院を1つ知っていて、そこの話が書けなかったのは、いまも少し残っています。
ここから先に書いたものを、章ごとに置いておきます。
第1章は、拘束時間の計り方。衛生士版と院長版の1日表を並べて、なぜ同じ医院で見えているものが違うのかを出します。
記入用の表と、私の3医院の実物3枚。
第2章は、昼休みの直し方。時間・場所・外に出られるか、の3つで見ます。
3医院の実例と、変えた翌月に起きたこと。
第3章は、有給の運用。半年前ルールが何を壊すか。
申請を受ける側の台本を場面別に4本と、当日に体調で休む連絡が来た時の受け方を1本、全文で。法律の話は書きません。
運用だけです。
第4章は、顔に出る新人と注意の順番。注意した直後に顔を見ない、を含めた動作10個。
私が顔に出ていた側だった話も。
第5章は、チーフの選び方。年功で選んで崩れた実例と、選ぶ基準5つ、選ばなかった人への伝え方の台本。
第6章は、長くいる人が出す静かなサイン12個。前のnoteに書いた7つとは、重ねていません。
8年目の先輩が「あの子、向いてないですよ」と言った話の続きも。
第7章は、院長が明日やる1個。衛生士に聞く2択の質問5つと、返ってきた答えの読み方。
各章の終わりにチェックリストと、院長先生からの相談例を、医院が分からない形で入れました。終わりに、私が読み切れていない場所を白状しています。
昼休み2時間半のまま、来年も同じ顔ぶれで回る医院もあると思います。ただ、長くいる人が静かに疲れている気がする、と一度でも思ったことのある院長には、第1章の表を先に見てほしいです。
院長が責められるnoteではないか、と思った方へ。私は1つめの医院で、注意されるたびに眉が動いていた側です。
院長の注意はそのたびに強くなって、私はもっと顔に出るようになりました。院長のせいにできないことを、私はよく知っています。
ここから先にあるのは、表3枚と、台本と、動作集です。時計と紙があれば足りることだけを書きました。
読むかどうかは院長が決めてください。昼休みが2時間を超えている医院なら、第1章の表だけでも書いてみてもらえたらと思います。
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