スマホから指示するだけでAIがMacを操作してくれる — Claude「Computer Use」が変えるパソコン仕事の未来
「AIにパソコンの操作を丸ごと任せられたら……」
そんな妄想、したことありませんか?
ぼくは毎日していました。メールの返信、スプレッドシートの入力、ブラウザでの調べもの。やること自体は単純なのに、量が多くて時間だけが消えていく。「この作業、AIに全部やらせたい」と思っていました。
それが、2026年3月24日。Anthropicが発表した新機能「Computer Use(コンピューターユース)」で、本当にできるようになりました。
Computer Useって何?
ひとことで言うと、AIがあなたのMacを直接操作してくれる機能です。
マウスを動かす、クリックする、文字を入力する、アプリを開く、ブラウザで検索する——。あなたが普段パソコンの前でやっていることを、Claudeが代わりにやってくれます。
しかも、新しくリリースされた「Dispatch(ディスパッチ)」という機能を使えば、iPhoneからClaudeに指示を出すだけで、自宅のMacが勝手に動き出します。
外出先からスマホで「昨日の売上データをスプレッドシートにまとめておいて」と送れば、帰宅したときにはもうできている。そんな世界です。
具体的に何ができるのか
「AIがパソコンを操作する」と言われてもピンと来ないかもしれません。具体例を挙げます。
1. ブラウザ操作
Webサイトを開いて情報を調べる
フォームに入力して送信する
複数のサイトを巡回して情報を比較する
2. スプレッドシート作業
データを入力・整理する
表を作成してフォーマットを整える
複数のファイルからデータを集約する
3. メール・メッセージ
メールアプリを開いて下書きを作る
定型的な返信文を作成する
ファイルを添付して送信準備をする
4. ファイル管理
フォルダを整理する
ファイル名を一括変更する
必要なファイルを見つけて開く
ポイントは、専用のAPIやプログラムがなくても動くということ。人間がマウスとキーボードで操作するのと同じ方法でAIが作業するので、基本的にどんなアプリでも対応できます。
「でも、勝手にパソコンを触られるのは怖くない?」
これ、ぼくが最初に思ったことです。そして、多くの人が同じことを感じるはず。
Anthropicはこの不安に対して、「パーミッション・ファースト(許可優先)」のアプローチを取っています。
安全設計のポイント
新しいアプリにアクセスする前に必ず確認を求める
Claudeが初めて使うアプリを開こうとすると「このアプリを使っていいですか?」と聞いてくる
許可しなければ、そのアプリには触れない
操作の途中経過が見える
Claudeが今何をしているか、リアルタイムで確認できる
おかしな操作をしていたら、すぐに止められる
研究プレビュー段階
現在はまだ「研究プレビュー」という位置づけ
Anthropicも「完璧ではない」と明言しており、慎重に改善を進めている
つまり、「AIが勝手に暴走する」のではなく、「AIが確認を取りながら作業を代行する」というイメージです。新しいバイトさんに仕事を教えているような感覚に近い。
Dispatch — スマホから指示を出す
Computer Useと同時に発表されたDispatch(ディスパッチ)が、個人的には一番ワクワクする機能です。
使い方はシンプル
iPhoneのClaudeアプリを開く
「このファイルを整理しておいて」とタスクを送る
Claudeが自宅のMacで作業を開始
完了したらスマホに通知が届く
パソコンの前にいなくても、パソコンの作業が進む。
これまでAIにできる「お仕事」は、チャットの中での文章生成が中心でした。Computer Use + Dispatchによって、AIの仕事の範囲がチャットの外側——実際のパソコン操作にまで広がったことになります。
誰が使える?いくらかかる?
2026年3月24日時点の情報です。
| 項目 | 内容 |
|------|------|
| 対応OS | macOS(Mac専用。Windows/Linuxは今後対応予定) |
| 必要プラン | Claude Pro(月額20ドル)またはMax(月額100ドル) |
| 対応デバイス | Mac本体 + iPhone(Dispatch利用時) |
| ステータス | 研究プレビュー(正式リリース前のテスト段階) |
無料プランでは使えませんが、月額20ドル(約3,000円)のProプランで利用可能です。
非エンジニアこそ注目すべき理由
「AIがパソコンを操作する」と聞くと、エンジニア向けの高度な機能だと思うかもしれません。
でも実は、非エンジニアこそ恩恵が大きい機能です。
理由1: APIやプログラミングが不要
これまで「AIで仕事を自動化したい」と思ったら、APIの設定やスクリプトの作成が必要でした。しくみメモでも、Threads投稿の自動化にはPythonスクリプトやAPI連携が必要だったことを過去の記事で紹介しています。
Computer Useは違います。人間と同じ画面操作で動くので、プログラミングの知識がゼロでも自動化が実現できる。
理由2: 日常の「地味な作業」こそ自動化できる
エンジニアが自動化するのは、サーバーの管理やコードのデプロイといった技術的な作業。でも非エンジニアが時間を取られているのは、もっと日常的な作業です。
経費精算のためにレシートの数字をスプレッドシートに入力する
複数のWebサイトから情報を集めて比較表を作る
メールの下書きを作って送信する
こういう「人間がやる必要がないのに、人間がやっている作業」を、Computer Useが代わりにやってくれます。
理由3: 「指示の出し方」だけ覚えればいい
これまでのAI活用は「プロンプトの書き方」を学ぶ必要がありました。Computer Useは、もっと直感的です。「この作業をやっておいて」と普通の言葉で伝えるだけ。
以前の記事で紹介したCLAUDE.mdのように「AIへの指示の出し方」を工夫することで、精度はさらに上がります。でも、最初の一歩は普通の日本語で「やりたいこと」を伝えるだけです。
まだ「研究プレビュー」だからこそ、今知っておく
正直に言うと、Computer Useはまだ完璧ではありません。操作が遅かったり、間違ったボタンをクリックしたりすることもあるようです。
でも、ぼくが注目しているのは「方向性」です。
AIの進化は、これまでこういう流れでした:
テキスト生成 → 画像認識 → 音声対話 → パソコン操作 ← 今ここつまり、AIが「言葉で答えるだけ」の存在から、「実際に手を動かす」存在に変わりつつある。
この変化を今のうちに理解しておくことが大事です。完璧になってから慌てて追いかけるより、「まだ不完全な今」のうちに触れておく方が、圧倒的に有利。
今日からできること
Computer Useを今すぐ使わなくても、「AIに作業を任せる」準備は今日から始められます。
ステップ1: 自分の「地味な繰り返し作業」をリストアップする
まず1週間、自分がパソコンでやっている作業を記録してみてください。その中で「毎回同じことをしている」作業が、Computer Useの候補になります。
ステップ2: Claudeで「指示の練習」をする
Computer Useを使う前に、普通のClaude(チャット)で「やりたいことを言葉で伝える練習」をしておく。「メールの返信文を作って」「この表を整理して」——こういう指示の出し方に慣れておくと、Computer Useが正式リリースされたときにスムーズに移行できます。
ステップ3: 前回の記事を読んでCLAUDE.mdを書いてみる
AIへの指示が上手くなる最短ルートは、CLAUDE.mdを書くこと。前回の記事「CLAUDE.mdを書いたらAIの出力が劇的に変わった」で詳しく解説しています。
まとめ — 「AIがパソコンを使う」時代が始まった
Computer Useは、AIと人間の関係を根本的に変える機能です。
これまで:人間がAIに「聞く」→ AIが「答える」
これから:人間がAIに「頼む」→ AIが「やる」
まだ研究プレビューの段階ですが、この方向性は確実です。今のうちに「AIに仕事を任せる」という発想に慣れておくこと。それが、半年後に大きな差になります。
しくみメモでは、Computer Useが正式リリースされたら実際に使ってみたレポートも公開予定です。お楽しみに。
参考: Anthropic公式 — Claude Computer Use on macOS
しくみメモのThreadsアカウント(@shikumimemo)では、このようなClaude活用の実践レポートを毎日投稿しています。フォローしてチェックしてみてください。
