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AIにメールを"投げる"のと"つなぐ"は、何が違うのか(Gmail→AI→Slack)

朝いちばんにGmailを開くと、未読がずらっと並んでいる。
上から順に開いて、これは今日中に返す、これは後で読む、これは見なくていい、と頭の中で仕分けていく。
一通ずつ。
5分で終わる日もあれば、気づいたら30分経っている日もある。

これ、毎朝やっていました。
しかも、やっている間は他のことが手につかない。
仕分けそのものは頭を使う作業じゃないのに、朝のいちばん動ける時間を削っていく。

あるとき、ふと引っかかりました。この仕分け、自分がやる必要あるんだっけ、と。
今日はその引っかかりを、メール処理を例にほどいていきます。
1つの作業をどう割って、どことどこをつなぐか、という考え方だけを語ります。

「AIに投げれば」で止まる理由

ChatGPTにメールの件名一覧を貼れば、仕分けてくれます。
「対応が要るもの、後で見るもの、見なくていいもの、に分けて」と頼めば、それらしく返ってくる。実際、精度はけっこう高い。

でも、これを毎朝やると気づきます。自分がGmailを開いて、本文をコピーして、ChatGPTに貼って、返ってきた結果をまた自分で見ている。AIは賢く働いているのに、手を動かしているのは相変わらず自分です。

これ、自分は長いこと「AIで効率化してるつもり」でやっていました。
でも正体は、AIを間に挟んだ手作業でした。仕組みにはなっていない。
なぜかというと、いちばん最初の「メールが届いた」を拾う役目を、ずっと自分の手で握っていたからです。
ここが自分の手にある限り、間にどれだけ賢いAIを置いても、動き出すきっかけは毎回、自分がGmailを開いた瞬間になります。

前にクライアント先で「毎日の手作業をなんとかしたい」と相談されたときも、同じ壁にぶつかりました。
ChatGPT単体をどれだけ使い込んでも、この人の手作業は減らない。
足りなかったのは、プロンプトの精度じゃなくて、ツールとツールをつなぐ発想のほうでした。

メールの仕分けも、4つに割れる

じゃあ、何をつなぐのか。それを決めるために、まずメール処理を割ります。

以前、業務は4つの工程で見る、という話を書きました。きっかけ・判断・作業・記録。メールの仕分けも、そのまま同じように割れます。

  • きっかけ:新しいメールが届く

  • 判断:内容を見て、どの種類かを仕分ける

  • 作業:仕分けた結果を、必要な人(自分を含む)に届ける

  • 記録:どんなメールが来たかを残す

こう並べると、さっき「自分がやる必要ある?」と引っかかっていた部分が、はっきりします。

自分が本当にやりたいのは「判断」だけです。

届いたことに気づく(きっかけ)のも、それを見る場所に出す(作業)のも、記録を残すのも、自分の手でやる意味はない。
むしろ、そこに時間を取られるから、肝心の判断が後回しになる。

割ってみて分かるのは、手放していい工程と、握っておきたい工程が、混ざったまま「メールの仕分け」というひとかたまりで呼ばれていた、ということです。
工程が並ぶと、ようやく「何をつなぐか」を決められます。

1つのツールで全部、をやめる

4つの工程を並べたら、それぞれに一番向いているツールを当てていきます。ここでのポイントは、1つのツールで全部やろうとしないことです。

  • 新しいメールが届いたことに気づく(きっかけ)→ Gmailがいちばん得意

  • 内容を読んで種類を見分ける(判断)→ ここはAIの出番

  • 見る場所に届ける(作業)→ 自分の場合はSlackかChatwork

  • どんなメールが来たか残す(記録)→ スプレッドシートでもNotionでも

Gmailは受信を見張るのが仕事。
AIは文章の意味を取るのが仕事。Slackは人に届けるのが仕事。
それぞれ、自分の得意なところだけをやればいい。
全部できる万能のツールを1つ探すより、得意なやつを持ち寄るほうが、結局うまくいきます。

そして、この間をつなぐのがn8nです。
n8nは、それ自体が何かをするというより、「Gmailに新しいメールが来たら、その内容をAIに渡して、返ってきた仕分け結果に応じてSlackに流す」という配線を引く場所です。
左から順に、届く(Gmail)・仕分ける(AI)・流す(Slack)・記録(スプシ)、のブロックを置いて線でつなぐ。
骨組みはそれだけです。

自分が最初、n8nを4ヶ月放置していた頃は、n8nの中だけで全部やろうとしていた気がします。
真っ白な画面を前に、この一本で何でもやらせようとして固まっていた。
(AIに言われた通りコードブロック並べてました)
でもn8nは主役じゃなくて、得意なツール同士をつなぐ配線役でした。
役割をそう捉え直してから、急に組めるようになりました。

判断は、間違えても拾える形にする

つなぐ絵は描けました。
でも、このまま全部を任せきると、たいてい事故ります。
事故るのは決まって「判断」のところです。

前にも書いたんですが、判断を丸ごとAIに投げると、例外的なものまで機械的に振り分けてしまう。
メールでいうと、いつもは後回しでいい差出人からの、でも今日だけは急ぎ、みたいなやつです。
AIはルール通りに「後で見る」へ入れる。人なら空気で気づくところを、取りこぼす。

だから自分は、AIに渡す判断を「間違えても、後で人が拾える」範囲にとどめています。
具体的には、AIには仕分けの目印をつけてもらうだけにして、メールを消したり、勝手に返信したりはさせない。
Slackに流すのは「対応が要りそうなものだけ」で、それ以外はGmailにそのまま残す。
こうしておけば、AIが仕分けを外しても、元のメールは受信トレイに残っているので、後から自分で拾い直せます。

ここ、ハマりやすいところなんですけど、「全部きれいに自動で振り分けたい」という気持ちが強いほど、消したり移動したりまで任せたくなる。
でも最初のうちは、間違いを前提に組んだほうが、安心して回せます。

だから自分は、最初の一本を自分の受信トレイで試しました。
他人に影響が出ないし、外しても困らない。
失敗しても困らない場所から始める、というのは前に書いた通りで、自動化を初めて自分の手元で動かすなら、メールの仕分けはちょうどいい題材だと思います。

なぜGmailの中で終わらせず、Slackに出すのか

ひとつ引っかかるかもしれません。仕分けるだけなら、Gmailの中でラベルを付けても済むのに、なんでわざわざSlackに出すのか、と。

自分の感覚だと、受信トレイは溜まる場所で、Slackは流れる場所です。メールは、読んでも読まなくても、そこに積み上がっていく。だから開くたびに「全部」が目に入って、また上から仕分けが始まる。ラベルを足しても、結局その受信トレイを自分が眺めに行く構造は変わりません。

そこで、判断が終わって「これは対応が要る」となったものだけを、流れる場所に出すことにしました。
Slackに現れるのは、AIが「対応が要りそう」と見分けた分だけ。
数十通の受信トレイを毎朝まるごと眺める代わりに、絞られた数件の通知を見る。見る場所と、見る量が、両方変わります。
ここがチャットワークの場合はタスクに入れたりして視覚的にわかるようにします。

正直に言うと、最初は全部のメールをSlackに流していました。
そうしたら、Slackが第二の受信トレイになっただけで、見る量は何も減らなかった。
意味がなかったんです。
流す量を絞る、つまり「判断で減らす」ところまでやって、はじめて効きました。ツールをつないだ後に効くかどうかは、たいてい配線の見た目じゃなくて、判断をどう設計したかで決まります。

まず、自分の受信トレイで

メールをAIで仕分けてSlackに流す、というと、何か高度な仕組みに聞こえるかもしれません。
でも中でやっているのは、メール処理を4つに割って、工程ごとに得意なツールへ渡して、間をn8nでつなぐ、それだけです。
割る・担当を決める・つなぐ。順番は業務の分解とまったく同じで、今回はそこに「1つのツールで抱え込まない」という一手が加わっただけでした。

そして、これは最初の一本にちょうどいいと思っています。
自分の受信トレイなら、誰にも影響が出ないし、AIが外しても元のメールは残っている。
うまくいけば毎朝の仕分けが軽くなるし、うまくいかなくても失うものがない。

ツールを開く前に、まず自分のメール処理を4つに割ってみて、どの工程を手放したいかだけ決める。
つなぐ先を考えるのは、その後で間に合います。手放したい工程がはっきりした時点で、つなぐ相手はだいたい向こうから決まってきます。


最後まで読んでくれて、ありがとうございます。
週1くらいのペースで、実装メモとつまずきの記録を書いて行こうと思ってます。
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