建築家の空想休憩 第十一話|銀河鉄道の待合室——星へ向かう列車を待つための建築
銀河鉄道に乗るための駅があるとしたら、
それはきっと、大きな駅ではないと思う。
山の上に、ぽつんとある小さな待合室。
木のベンチがひとつ。
古いストーブがひとつ。
窓の外には、線路が夜の奥へ細く伸びている。
誰も大きな声では話さない。
そこにいる人たちは、これからどこかへ行くというより、
何かを思い出すために座っているように見える。
天井は低くていい。
灯りも、少し暗いくらいでいい。
明るすぎる場所では、星は見えない。
窓ガラスには、待合室の灯りが淡く映っている。
その向こうに、本物の星空がある。
室内と宇宙が、ガラス一枚で重なっている。
やがて、遠くから音がする。
列車の音なのか、風の音なのかは分からない。
でも、その瞬間だけ、線路が少し銀色に光る。
この待合室は、列車を待つ場所ではなく、
旅立つ前の心を、静かに整える場所なのかもしれない。
誰かを思い出し、
言えなかった言葉を胸の中で繰り返し、
それでも少しだけ前を向く。
銀河鉄道の待合室。

そこは、星へ向かうための建築であり、
もう戻れない時間に、最後に腰を下ろす場所でもある。
この待合室に流れているのは、列車を待つ時間であり、
もう戻れない記憶を見つめる時間でもある。
建築と時間の関係については、こちらでも考えています。
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