読む処方箋 No.001|考えすぎて、少し疲れた夜に読む薬
慶州の小さな本屋で出会った「読む薬」。
本の題名や表紙ではなく、「今の自分に必要なもの」から一冊を選ぶ仕組みでした。
その棚からもらったアイデアをもとに、私もこれまでの記事の中から、誰かの今に合うものを処方してみることにしました。
最初にお届けするのは、考えすぎて、少し疲れた夜のための薬です。
処方箋 No.001
考えすぎて、少し疲れた夜に読む薬
これは、仕事や人間関係の答えを出すための薬ではありません。
頭の中を空っぽにするものでもありません。
現実から少しだけ離れ、別の風景の中で呼吸を整えるための薬です。
この薬が必要な方
一日中、何かを考え続けていた方
眠る前になっても、仕事が頭から離れない方
答えよりも、静かな時間を必要としている方
海や森、光のある風景へ少し逃げ込みたい方
短い物語を読みながら休みたい方
主な効能
現実の問題を解決する効果はありません。
ただし、頭の中に小さな余白をつくり、凝り固まった時間を少しだけ緩めることがあります。
処方する記事
「建築家の空想休憩」から、特に静かな三篇を選びました。
1.潮音(しおね)の美術館——見えない海を聴く建築
遠くの海へ行けない夜に、自分の中に残っている海の記憶へ戻るために。
水や風、足音に耳を澄ませながら、見えない海を静かに思い出す美術館の物語です。
2.35年前から時間が止まったプール
出来事ではなく、光や音、温度として残る記憶に触れるために。
誰もいない古いプールに残された、夏の気配をたどる物語です。
3.蛍待亭——蛍を待つためだけの旅館
何かが起こることを急がず、ただ静かに待つ時間を取り戻すために。
年にわずかな期間だけ現れる蛍の光を待ちながら、「何もしない時間」に身を置く旅館の物語です。
服用方法
夜、ひとりになれる時間に、一篇ずつお読みください。
三篇を続けて読む必要はありません。
その夜の気分に合うものを一つ選び、読み終えたら画面を閉じて、しばらくその風景の中にいることをおすすめします。
注意事項
即効性や、問題の解決を求める方には向いていません。
読後、昔の記憶や、まだ見たことのない場所が浮かぶことがあります。
また、海の見える家に住みたくなったり、森の奥にあるはずのない店を探したくなったりする場合があります。
そのような症状が現れても、心配はいりません。
今夜は答えを出さず、少しだけ遠くの風景へ。
どうぞ、ゆっくりお読みください。
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