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自社AI:情報安全保障の新常識① ChatGPTのその先へ!AIを「自分の手元で動かす自由」とは?

皆さんが日々使っているAIサービス。そこに入力した「情報」は、誰の「持ち物」なのか考えたことはありますか?

アメリカ政府は、同国内に本拠地を持つ企業に対し国外に保存されているデータであっても令状なしでデータ開示要求が出来ることを知っていますか?

皆さんはChatGPTなどの「AIアシスタント」を、日常的に活用されていることと思います。調べ物、アイデア出し、企画書や提案書の作成まで、AIサービスが私たちの生活や仕事にどれほどの便利さをもたらしてくれたか、本当に驚くばかりです。もはや「ない世界は考えられない」ほどの存在となり、進化の速度を早めています。

これらのAIは、まるで魔法のように私たちの問いに答え、時に人間のような自然な文章を生み出してくれます。その背景には、インターネットを通じてアクセスできる、巨大なコンピューターネットワークが膨大な知識と計算力を提供しているからに他なりません。私たちは、自分のパソコンやスマートフォンから、遠く離れた場所にある「サーバー」と呼ばれるコンピューターとつながることで、最先端のAIの恩恵を気軽に享受できるわけです。

しかし、ここで一つ、立ち止まって考えてみませんか?

私たちが今利用しているこれらのAIは、すべてインターネットの向こう側、つまり「クラウド上」にあります。皆さんがAIに投げかけた質問や提供したデータは一度、提供会社のサーバーに送られ、そこで処理されてから、回答が返ってきているのです。入力したデータはクラウド上、つまり「見えない部分」に蓄積されています。このクラウドAIの「見えない部分」について、深く考える機会はあまりないかもしれません。

実は、AIの世界には、皆さんが今使っている「クラウドAI」とは異なる、「自分の手元で動くAI(ローカルLLM)」というもう一つの選択肢があるのをご存知でしょうか。これは、皆さんのパソコンや、会社の中にある専用のコンピューターで直接AIを動かす、というものです。

「なぜ、わざわざそんなことをするの?」そう思われた方もいるかもしれません。

この問いに答えるためには、少し大きな視点、つまり私たちの社会や、未来、そして国としてのあり方について目を向ける必要があります。

現在、多くの企業や組織がAIを導入しています。「全社員にChatGPT(クラウドAI)を義務化」「13種類のクラウドAIを全社で利用可能」というニュースをよく聞くようになりました。

しかし、機密性の高い情報を扱う企業や、特定の厳しいルール(規制)が適用される業界では、この「自分の手元で動かすAI」への関心が高まっているのです。

オンプレミス(ローカル)LLMを利用するのはセキュリティー担保のため。電子カルテに記載された個人情報などを病院外に出さないようにする

日経クロステック/日経NETWORK

日本の企業がAIを使う際には、「情報安全保障」という国や社会全体の安全に関わる視点が非常に重要になります。私たち日本人にとって、データの漏洩に対する社会的な視線は非常に厳しいものです。

そのため、海外の会社が提供するAIサービスに自社の重要なデータを預けることに、大きな懸念を抱く企業も少なくありません。

このような背景から、自分の会社の中だけでAIを動かす「ローカルAI(LLM)」は、単なる選択肢の一つにとどまらず、会社の未来、ひいては国全体の安定した活動を維持するための「必須の要件」になり得ると考えられています。それは、単に技術的な話を超えて、会社の評判や、国家の安全保障、そして私たちの個人のプライバシーを守ることに直結する、重要な経営判断でもあるのです。

フランスの小説家、アルベール・カミュの言葉に「自由とは、より良くなるための機会に過ぎない」というものがあります。AIの進化は私たちに新たな選択肢をもたらしました。

しかし与えられた自由をどう使うか、そしてAIという技術が与えてくれたこの選択肢をどう活かすかは、他ならぬ私たち自身にかかっています。

この連載では、これから全31回にわたり、なぜ今この「自分の手元で動かすAI」が重要なのかを、国家や社会、経済といった大きな視点から、そして実際にどうすればそれを実現できるのかを、具体的なツールや方法論を交えてご紹介していきます。

クラウドAIは我々に大きな力を与えてくれています。そこに疑いの余地はありません。しかし「情報安全保障」の観点で、まだあまり知られていない「ローカルAI(LLM)」の可能性を探り、日本の国家や社会経済の未来にどう関わってくるのかを一緒に考えていきましょう。

AIに支配される人達のイラスト(出典:いらすとや

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