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目の疲れと頭痛|目の奥が痛いとき何を評価する?

前回の記事では、顎関節と頭痛の関係について解説しました。

側頭部に頭痛がある場合、顎関節や咀嚼筋を確認し、顎を動かしたときや側頭筋を触ったときに頭痛が再現されるかを見ることが、一つの評価材料になります。

今回は、目の疲労・視覚負荷と頭痛についてです。

「パソコンを使っていると目の奥から痛くなる」

「夕方になると目も頭も重くなる」

「眼精疲労から頭痛が出ていると思う」

といったお話を聞くことがあります。

目を使うときにどこへ負荷がかかるのか。そして、その症状に視覚機能・三叉神経系・頸部がどう関係しているのか。

今回は実際の評価方法まで含めて解説します。


① 目を使い続けると、どこに負担がかかるのか

パソコンやスマートフォンを見るとき、単純に「目を使っている」だけではありません。

近くの文字を見るためには、眼球内にある毛様体筋が働き、水晶体の厚さを変えてピントを調節します。

さらに近くを見るときには、両眼を内側へ向ける輻輳が起こり、外眼筋によって左右の眼球の位置を調整します。

つまり近見作業では、

毛様体筋によるピント調節

外眼筋による眼球位置の調整

視覚情報を処理し続ける神経系

が同時に働いています。

通常であれば、近くを見たり遠くを見たりすることで、視覚系に求められる働きも変化します。

しかしデスクワークでは、数十分〜数時間、ほぼ同じ距離の画面を見続けることがあります。

さらに文字を追ったり、複数の資料へ視線を移したりと、眼球運動も繰り返されます。

こうした視作業が続いたときに、

眼周囲の重さ
目の奥の不快感
前額部・側頭部の痛み

などを訴える方がいます。

視覚負荷による症状には、調節・輻輳だけでなく、目の乾燥、光刺激、頭痛疾患、頸部への負荷など複数の要素が関係します。

では、なぜ「目の奥の症状」と「頭痛」が一緒に現れるのでしょうか。

そこで確認したいのが三叉神経系です。


② 目の周囲と頭痛に関係する三叉神経

三叉神経は、顔面の感覚などに関係する神経です。

その中でも第1枝である眼神経は、前額部や上眼瞼、眼球・眼窩周囲などからの感覚情報に関係します。

「目の奥が痛い」
「眉毛の上が痛い」
「額から頭が痛くなる」

といった症状を、単純に眼輪筋など目の周囲の筋肉だけで説明するのは難しい場合があります。

例えば片頭痛でも、眼周囲や前頭部に痛みを感じたり、光によって症状が増悪したりすることがあります。

近見作業による視覚系への負荷

眼周囲・眼窩部に症状が出る

三叉神経系が関係する頭痛も含めて評価する

という視点が必要になります。

「目を使うと痛い」という情報だけで眼精疲労と判断せず、頭痛そのものの特徴まで確認することが重要です。


③ なぜ「首」も確認するのか

もう一つ確認したいのが頸部です。

パソコン作業では視覚的な負荷だけでなく、画面を見るために頭部・頸部を一定の位置に保つ時間も長くなります。

さらに頭痛を考えるうえでは、三叉神経頸髄複合体という神経学的なつながりも重要です。

上位頸椎領域からの侵害受容入力と三叉神経系からの入力には接点があるため、頸部由来の症状が頭部や眼窩周囲に感じられる可能性があります。

そのため、

「目の奥が痛いから、目だけを見る」

のではなく、

  • 頸部の可動域

  • 上位頸椎周囲

  • 後頭部周囲

  • 首を動かしたときの頭痛の変化

なども確認します。

ここは、第2回で解説した「首と頭痛」の評価ともつながる部分です。


④ 実際に視覚系をどう評価するのか

問診では、

  • 頭痛が出る場所

  • PC・スマホの使用時間

  • どの程度の時間で症状が出るのか

  • 目を休めると症状が変化するか

  • 光で頭痛が悪化するか

  • 首を動かすと変化するか

  • 視力・視野などに変化がないか

などを確認します。

そのうえで必要に応じて、視覚課題を行います。

例えば、

追視
→動く対象を目で追う

サッケード
→離れた2点へ視線を交互に移す

輻輳
→近づいてくる対象を両眼で見る

などです。

ここで確認したいのは、単純に「眼球が動くか」だけではありません。

眼球運動によって、普段感じている眼窩部痛・前頭部痛・頭痛が変化するのか

を確認します。

これらの評価で眼疾患を診断するわけではなく、視覚課題と患者様が普段感じている症状との関連性を見るための材料として使用します。

そして頸部についても、屈曲・伸展・回旋などを行い、同じように「いつもの頭痛」が変化するかを確認します。


⑤ 評価結果から介入する場所を考える

評価した結果によって、介入するポイントも変わります。

視覚負荷との関連が強い場合には、

PC・スマホの連続使用時間、休憩の取り方、画面との距離や作業環境

などを確認します。

眼周囲や側頭部の緊張を伴う場合には、眼輪筋や側頭筋などの周辺組織も評価します。

ただし、眼球そのものへ強い徒手刺激を加えることはしません。

一方で、頸部運動によって普段の頭痛が変化する場合には、

頸部ROM・上位頸椎・後頭部周囲

などを評価し、必要に応じて介入します。

そして介入後には、

いつもの頭痛
眼周囲の症状
頸部運動

などを再評価します。

「筋肉が柔らかくなった」で終わるのではなく、介入によって患者様が困っている症状がどう変化したのかまで確認します。


まとめ

今回は、目の疲労・視覚負荷と頭痛について解説しました。

目を使うときには、調節・輻輳・眼球運動など複数の視覚機能が働いています。

そして頭痛まで考える場合には、目だけではなく、

視覚系への負荷

眼周囲の症状

三叉神経系

頸部との関連

まで整理して評価することが重要です。

臨床では、

問診 → 視覚課題 → 頸部評価 → 症状の変化を確認 → 介入 → 再評価

という流れで関連性を確認していきます。

「目の奥が痛いから眼精疲労」と決めるのではなく、

何をしたときに、普段感じている頭痛が変化するのか。

そこから一つずつ原因となり得る要素を整理していくことが大切です。

次回は「睡眠不足と頭痛|頭蓋周囲圧痛・緊張型頭痛」

について解説していきます。

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