見出し画像

シナリオライターになりたかった少年は、AIでアニメを作った

私は小さい頃シナリオライターになりたい、という夢がありました。

少年だった私は、早速本屋に駆け込み「なれる! シナリオライター!」という本を読み、自分にはなれないことがわかりました。

いくらシナリオを作っても、それが実際に「作品」として完成されるまでには途方もないほどの工程と、費用がかかることを知ったからです。

そこで、出会ったのは、ネット小説です。

シナリオライターにはなれなくても、小説を書くことができれば、一つの作品が完成する、私にとって小説は頭の中にあるシナリオを「作品」として完成させるための貴重なツールだったのです。

こうして国語が苦手だった私が、一生懸命文章と向き合うという不思議な構図ができあがったのでした。

やがて大人になり、下手の横好きとはよく言ったもので、書き続けていれば、何らかの賞はいただけるようになりました。

その一つがとあるサイトのコンテストで、医師としての経験を題材としたエッセイを書いたところ、特別賞をいただくことができました。

しかし本当の収穫はそこではなかったのです。

その受賞をきっかけに、プロのマンガ編集者の方からお仕事の依頼をもらうことになったのです。

こうして、私は「漂流病棟」というマンガのシナリオを書くことになり、小さい頃に夢見ていた「シナリオを書く」ということが実現したのです。

こうなると次の目標は何か。
それは「アニメ化」です。

あらゆる有名マンガは、人気が出るとやがてアニメ化の声がかかります。ある意味、全てのマンガはここを目標としていると言っても過言ではありません。

私たちが創っていた「漂流病棟」ももちろんアニメ化、映画化も視野にストーリーを創っていました。

しかし、現実は厳しく、およそ1年半の期間を経て、惜しまれながらも「漂流病棟」は連載終了となりました。

これで負けてはいられない、と我々は次のプロジェクトをスタートさせました。

テーマは流行りの異世界アニメ。
およそ一年弱の期間構想を練り、いよいよストーリーの大枠が完成し、第一話のシナリオも完成しました。

しかしその後、編集者の方からの連絡が途絶え、久しぶりに来た連絡は非常に厳しいものでした。

編集者の方が退社され、このプロジェクトを継げる人はいなくなる、という通達でした。

こうして、つながっていた糸は完全に途絶えてしまったのです。

それ(AI)は、ずっと隣にいた

そんな時、ふと私の横に佇んでいたのがAIでした。

昔から生成AIに興味があり、ちょうど動画生成を勉強していたのでした。

そこで私は気づいたんです。

「もう、自分でアニメ化しちゃおう」

アニメ化というのは多くの人と、専門の機材、そして費用がかかります。

まずシナリオを作る人、作画担当の方、そして動かすために膨大な枚数の絵を作成、そして何より「声優さん」が必要となります。これらを賄うためには、それらに払うコストに見合うだけの人気のある作品しか手の届かない領域でした。

しかし、画像はChatGPT、そして映像はLTX2.3をrunpodで動かす。声をIrodori-TTSという無料のソフトで作成。

これにかかる費用は月5000円くらい。これなら個人が趣味の範囲で生成できます。

実際に一ヶ月と少しかかって、元々創っていた1話のシナリオの8割くらいはアニメ化に成功し、YouTubeにアップすることができました。

気づけば私は、子どもの頃から追い続けていた夢の場所に立っていました。

シナリオライターになりたかった少年が、自分の書いた物語をアニメとして動かしている。

しかも、それを実現したのは大きな制作会社でも潤沢な予算でもなく、AIだったのです。

AIでアニメ化して気づいた「できることとできないこと」

実際に生成AIでアニメを創ってみると、生成される画像が自分の想像を超えたクオリティになることがあります。またモーションも、「そこまでは考えてなかったけど、それ採用しよう!」という動きもありました。

また、登場キャラクターが予想外の行動にでることもあり、逆にそっちへシナリオを変えていく、という自分でも予想できない展開になることもAIならではと言えるでしょう。

できないこと

こんなすごい動画生成が数分でできるのに、なぜこれができないの? ということも多々あります。

例えば「向きはそのままで左に消える」というような指示。
私としてはその動画を逆再生して、「登場させるシーン」を作りたかったのですが、おそらくAIの中で、そのような動きが想定されていないらしく、どうやっても、向きを進行方向に変えてしまうのです。

また、4人が穴に入っていくだけのシーンなのに、なぜか何回やっても、画面外から大量の人が入り込んでいて、ダンジョンの奥深くなのに、気づいたら多数の人が往来し始めることもあります。

「空を自由に羽ばたけるのに、目の前の石すらつかめない」

これが私にとってのAIのイメージです。

AIはクリエイターに取って代わるものではなく、夢の翼

動画生成AIが登場したての頃は「いい感じに飛んで」みたいなラフな指示で、驚くほどのクオリティの高い動画が生成されました。

しかし、どこまでいってもストーリーを指示し、組み立てるのはやはり人間のイマジネーション。そこに苦労がありますが、逆に付加価値があります。

AIは私を夢のステージに運んでくれる翼ではありません。
私の中の、夢の世界へ邁進しようとする力を後押ししてくれる翼なのです。

私はこれからもこの翼を広げ、物語を創り続けます。

そして、同じように「作りたいものがあるのに形にできなかった人たち」が、AIという翼を使って新しい作品を生み出していくのを楽しみにしています。

いいなと思ったら応援しよう!