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♨️京都サウナ日記 #10 🕊️冷たさとやさしさに抱かれる。むらさき湯

冴えない午後。

何もかもが「ぬるい」午後。

そんな日こそ、サウナに逃げる。

水風呂に沈みに行く。

京都・北区。むらさき湯。

昭和初期創業の町銭湯。
静かに息づくサウナ室と、
地下100メートルから汲み上げた
天然水の水風呂がある。

遠赤外線式サウナの熱がじわじわと身体を焼く。
汗が滲み、思考が溶けていく。
だが、ここはまだ“前座”。
本番はその先にある。

水風呂。

ライオンの口から注がれる地下水が、
ドバドバと湯船を満たしている。
銭湯としては異例の冷たさ。

だが、この冷たさがいい。
人工のチラーではない、
地中の静けさを纏った冷たさ。

肩まで沈めば、皮膚がきゅっと縮み、
心がほどける。

冷たいのに、刺さらない。

柔らかい水質が、冷たさを“痛み”ではなく
“静けさ”に変えてくれる。

まるで、誰にも責められずに
ただ黙って受け入れてくれるような感覚。

水深は深く、
足を浮かせれば、
まるで地下水に抱かれているようだ。

地上の喧騒が遠のき、
自分の輪郭がくっきりと戻ってくる。

洗体イスに腰かけ、風を受ける。
目を閉じると、
さっきまでの苛立ちも、
焦りも、
すべてが水風呂に置いてきたような気がする。

ととのいとは、
整えることではなく、
ほどくこと。

むらさき湯の水風呂は、
ただ冷たいだけじゃない。
それは、
地中に眠る時間の深さを感じさせてくれる場所。

冴えないアラフィフの午後が、
少しだけ澄んだものに変わる。

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