Tシャツがどうにも似合わない私が、服売り場を4年眺めてわかったこと
今日、最強スーパーへ行ってきた。
「最強スーパー」とは、私が勝手にそう呼んでいる近所のスーパーである。
食料品だけではない。
衣料品売り場も、私にとってはなかなか侮れない。
特にここ4年くらい、私はこの売り場に並ぶクロスプラスの服をよく見ている。
別にクロスプラスの回し者ではない。
服飾を学んだこともない。
ただ、売り場で服を見て、触って、ときどき試着して、買ったものは実際に何年も着て。
そんなことを繰り返していたら、今日とうとう、
「ああ。私、こういうところを見ていたのか」
と、ひとつわかったことがあった。
今日はクロスプラスだけではなく、ほかのメーカーの棚もかなりくまなく見てきた。
柄が素敵な服は、たくさんある。
ぱっと見たラインがきれいな服もある。
「これ、感じいいなあ」
と思うものも、ちゃんとある。
そして私はその横で、
「でもこれは自転車には乗れないな」
などと考えている。
どうやら私は、服を服だけでは見ていない。
きれいかどうか。
好きかどうか。
似合うかどうか。
それだけではなく、
これを着て、私は普通に暮らせるのか。
そこまでセットで見ているらしい。
そして今日、もうひとつ気づいた。
服の「立体」である。
クロスプラスの服を見ていると、もちろん全部ではないけれど、肩のあたりと胴体部分で布を切り替え、その下にタックやギャザーを入れているものがわりとある。
肩まわりでは身体の位置をある程度拾う。
でも、そこから下は布が少しふんわり離れていく。
私は上半身が薄い。
なので、身体の形をそのまま拾う服を着ると、どうにも物足りなく見えることがある。
私にとっては、けっこうな死活問題である。
ところが、服のほうで少し立体を作ってくれると、なんとなく収まりがいい。
今日いろいろな服を見比べていて、
「もしかして、私はこれを求めていたのか?」
と思った。
そういえば、何年も着ている赤い花柄や青い花柄の服もそうだった。
ものすごく立体的な服というわけではない。
でも、よく見ると切り替えが入っている。
身体の輪郭をバイカラーがうまいこと目くらまししてくれる。
買った当時から、
「これなら身体のラインをあまり気にせず着られそう」
と思って選んだ記憶がある。
そして、その目論見はわりと当たった。
私は単に、
「柄物が好き」
というだけではなかったのかもしれない。
切り替えだったり。
タックだったり。
ギャザーだったり。
あるいは柄そのものだったり。
身体をそのまま見せるのではなく、服の側が何かひと仕事してくれるもの。
私はどうやら、そういう服が好きらしい。
そう考えると、長年の謎もひとつ解ける。
私はいつしか、Tシャツを夏のレギュラーにする気になれなくなった。
もちろんTシャツが悪いわけではない。
世の中にはTシャツ一枚で、ものすごく素敵な人がいる。
でも私は、どうもそこで輝かない。
だったら無理して、
「夏なんだからTシャツでいいじゃない」
に自分を合わせなくてもいいのかもしれない。
今年の夏はようやく、
ワンピース。
赤白水玉のブラウス。
ブラウスを羽織ってデニム。
このあたりがあれば、私はなんとか気分よく夏を過ごせそうだ、というところまでたどり着いた。
ちなみに夏のボトム選びは、いまだに難航している。
無地で。
自転車がこげて。
ある程度女性らしさがあって。
暑くなくて。
着心地が楽で。
ウエストも楽。
そんな都合のいいものを探している。
なかなかない。
そりゃそうだ。
要求が多い。
今日の売り場でも、
「これは素敵。でも自転車は無理」
「これは楽。でも私が着たい感じとはちょっと違う」
などと、脳内で勝手に審査して歩いた。
でも、それでいいのだと思う。
今日、安い服の中にも、
「この作り、いいな」
と思うものがあった。
逆に、感じのいい服だからといって、私の暮らしに合うとは限らなかった。
高いか安いかだけでもない。
有名なメーカーかどうかだけでもない。
柄。
色。
着心地。
身体の上で、服がどういう形を作ってくれるのか。
そして、その服を着たまま私は自転車に乗れるのか。
服飾を学んだことは一度もない。
それでも4年くらい同じ売り場をうろうろして、着たり脱いだり、買ったり失敗したりしていたら、とうとうこんなところを見るようになった。
最強スーパー4年制。
学びとしては、そろそろ卒業レベルなのではないかと思う。
なお、卒業する気はない。
今日も売り場の端には、秋らしい服がセールハンガーにぶら下がっていた。
どうやら研究は、まだ続くらしい。
ちなみに秋服はすでにいろいろ持っている。
しばらく買いません。
たぶん。
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