見出し画像

献立作成好きな私の、ローリングストックにたどり着くまで

私は献立を考えるのが好きです。

週末になると冷蔵庫の中をのぞき込み、今週は何を作ろうか考える時間が楽しみのひとつ。管理栄養士として20年以上食に携わってきた今も、その時間は変わらず好きなままです。

けれど、毎日の暮らしは予定通りにはいきません。
買い物へ行くつもりだったのに雨が降った日。
仕事で疲れて台所に立つ気力が残っていない日。
子どもの予定に振り回されて一日が終わった日。

そんな日に限って、冷蔵庫には何もない。
「今日は何を作ろう、、、」
そんな私がローリングストックを意識するようになったのは、特別に防災意識があったからではありません。
暮らしの中で、何度も「当たり前」が揺らぐ経験をしてきたからです。

スーパーの棚が空っぽになった日

東日本大震災の直後、スーパーやコンビニの棚から商品が消えてしまい、欲しくても買えない。当たり前に並んでいた牛乳やパン、お米が見当たらない光景は、今でも忘れられません。

そしてコロナ禍。
緊急事態宣言が出た頃には、再びスーパーの棚が空になりました。
あのとき感じた不安は、「災害は突然やってくる」ということよりも、「食べ物がいつも通り手に入るとは限らない」ということでした。

さらにそのずっと前、私が子供の頃に住んでいた鹿児島では、台風による停電が決して珍しいことではありませんでした。
突然、冷蔵庫が止まる。
電気もテレビもつかない。
近所に雷が落ちて、電化製品がまとめて壊れてしまったこともありました。
そんな日は、缶詰や乾麺が頼りでした。

特別な非常食ではなく、普段から家にあったものが家族の食事を支えてくれたのです。

そして今年の春。
今度は暮らしているマンションでエレベーター工事が始まりました。
約1か月間、エレベーターが使えない生活。
10階前後で暮らすわが家にとっては想像以上の出来事でした。
重たい荷物を何度も運ぶうちに、「マンションで暮らす私に必要な備えは何だろう」と改めて考えるようになりました。

ローリングストックは、もしものためだけじゃない

そんな経験を重ねる中でたどり着いたのが、ローリングストックという考え。
ローリングストックというと、防災のための特別な備えに感じるかもしれません。でも実際は、もっと身近なものにあるのです。

冷蔵庫が空っぽの日。
買い物へ行けない日。
疲れて簡単に済ませたい日。
そんな小さなピンチのときこそ役立つのです。

実は、多くの家庭ですでにローリングストックは始まっています。
缶詰、乾麺、乾燥野菜、冷凍食品、レトルト食品や嗜好品など。
「なんとなく置いてある常備食」がそのままローリングストックになるんです。

大切なのは、少しだけ防災を意識すること。
使ったら買い足す。
食べながら備える。それだけです。
そう考えると、防災は少し身近なものになる気がしませんか。

今日は、わが家でよく作る「おいしく備える」ための3つのレシピをご紹介します。

乾燥野菜と豆乳のスパイスリゾット

乾燥野菜はお味噌汁の具材としても重宝します

【材料(2人分)】
・ごはん 300g
・乾燥野菜ミックス 15g
・無調整豆乳 200ml
・水 200ml
・コンソメ 小さじ2
・カレー粉 小さじ1/2
・粉チーズ 大さじ2
・オリーブオイル 小さじ1
・黒コショウ 適量

【作り方】
①鍋に水・乾燥野菜・コンソメを入れ、5分ほど煮る。
②ごはんを加えてひと煮立ちさせる。
③豆乳を加え、弱火で軽く煮る。
④カレー粉と粉チーズを加えて混ぜる。
⑤器に盛り、黒コショウをふって出来上がり。

乾燥野菜は、非常時のためというより、野菜を買い忘れた日のために置いている食材。ほんの少しのカレーの香りが食欲を誘い、冷蔵庫が空っぽの日でも満足感のある一皿になります。

ツナと塩昆布のクミンピラフ

炊飯器や湯煎対応のポリ袋でも作れるレシピです

【材料(1.5合分)】
・米 1.5合
・ツナ缶 1缶
・クミンシード 小さじ1/2
・バター 10ℊ
・塩昆布 10g
・水 300ml
・酒 大さじ1
・しょうゆ 小さじ1
・半熟卵 2個
・黒コショウ 適量
・パセリ 適量

【作り方】
①フライパンにツナ缶・クミンシード・バターを熱し、米を炒める。
②①に水・酒・しょうゆを加え沸騰したら蓋をして13分弱火で加熱し、10分蒸らす。
③炊き上がったら塩昆布を加えて混ぜ合わせる。
④器によそい半熟卵・黒コショウ・パセリを添える。

子どもが大好きなツナ缶はストックしているお家も多いのでは。組み合わせる塩昆布はそれだけで十分おいしいけれど、クミンシードを少しだけ加えるのが最近のお気に入りです。炊き上がった瞬間にふわりと立ちのぼる香りで、いつもの炊き込みごはんが少し特別になります。

冷凍野菜とひよこ豆のトマト煮込み

普段から冷凍庫を8~9割ほど詰めておけば、停電時では食材同士が保冷剤がわりに

【材料(2人分)】
・冷凍揚げなす 80g
・冷凍ブロッコリー 80g
・ひよこ豆(水煮) 100g
・トマト缶 200g
・(乾燥)にんにくスライス 4枚ほど
・オリーブオイル 大さじ1
・コンソメ 小さじ1
・塩 小さじ1/4
・黒こしょう 少々
・水切ヨーグルト 適量

【作り方】
①鍋にオリーブオイルとにんにくを入れ、香りを出す。
②揚げなす・ブロッコリーを加えて軽く炒める。
③ひよこ豆、トマト缶、コンソメを加え、10分ほど煮込む。
④塩、黒こしょうで味を整える。
⑤器によそい、ヨーグルトを添える。

冷凍野菜と豆のストックがあれば、買い物に行けない日でも作れる一皿。ヨーグルトを添えることで、トマト煮込みがぐっと軽やかな味わいになります。

今日のごはんが、未来の安心になる

防災は、特別な日だけのものではありません。
東日本大震災も、コロナ禍も、停電も、エレベーター停止も。
振り返れば、暮らしの中には「いつも通り」が少しだけ揺らぐ瞬間が何度もありました。
だからこそ私は、普段の食卓を大切にしたいと思っています。

特別な非常食を準備するのではなく、今日おいしく食べられるものを少し多めに持つ。
そして食べながら補充する。
献立好きの私がたどり着いた答えは、「おいしく備える」ということでした。

現在、防災のための食料備蓄は1週間分程度が望ましいとされています。とはいえ、最初から完璧に備えようとすると少しハードルが高く感じてしまうものです。

まずは、いつも使っている常備食材を少しだけ多めに持つことから。

今日のごはんが、未来の安心につながる。
そんな食卓を、これからも続けていきたいと思います。

いいなと思ったら応援しよう!