コピー機の彼女
「人の目が気になる」という人は、少なくないと思います。
人からどう見られているのか。
どう思われているのか。
失敗したら恥ずかしい。
変に思われたくない。
そんなことを気にしすぎて、苦しくなってしまう人もいるのではないでしょうか。
でも、私は少しだけ発想を変えてみたらいいのではないかと思っています。
あなたは今日、職場の隣の人が何を着ていたか覚えていますか?
よほど奇抜な服だったり、レインボーカラーの服だったりすれば覚えているかもしれません。
でも、そうでなければ、たぶん覚えていないのではないでしょうか。
覚えていないということは、少なくとも、それほど意識して見ていなかったということです。
だったら、隣の人だって、あなたが今日何を着ていたかなんて、覚えていないかもしれません。
自分が他人のことをそれほど見ていないのなら、他人も自分のことをそれほど見てはいない。
「私は今、他人からどう見られているのだろう」
と考える前に、
「私は他人のことを、そんなに細かく見ているだろうか」
と、自分の側に立って考えてみるのです。
そうすると、少し見え方が変わってくるかもしれません。
昔、会社員だった頃のことです。
私より10歳くらい年下の女性の同僚がいました。
彼女の席の近くにはコピー機があったのですが、なぜか彼女は、わざわざフロアの先にある小さな部屋まで行ってコピーをしていました。
あるとき、なぜわざわざそこまで行くのか聞いてみました。
すると彼女は、コピーしているところを人に見られるのが嫌なのだと言いました。
また、私の職場では午後に10分ほど、インストラクターの指導で体操をする時間がありました。
任意参加なので、出なくてもいいはずです。
ところが彼女は、その時間になると必ずどこかへ姿を消していました。
「恥ずかしいし、絶対に見られたくない」
と言うのです。
私は、唖然としました。
普段は言いたいことをかなりはっきり言う人で、どちらかといえばワガママにも見えるような女性だったので、そのことに余計に驚いたのかもしれません。
もちろん、その場で「誰も見てなんかいないわよ」とは言えませんでした。
そんなことを言ったら、彼女が必死に守っている自尊心を傷つけるだろうと思ったからです。
本音を言えば、
「自意識過剰!」
だったのですけれど(笑)。
でも、彼女にとっては、それほど気になることだったのでしょう。
自分の席がコピー機の近くだったり、コピー機の横を通ったりしたとき、同僚がコピーしている姿を、わざわざ気にして見るでしょうか。
たぶん、見ていません。
自分の仕事をしているだけです。
人は、自分が思っているほど他人を見ていません。
これは、冷たい話ではありません。
むしろ、かなり自由になれる話だと思っています。
「誰もそんなに私を見ていない」と分かった瞬間、もっと好きな服を選んだり、失敗を恐れずに新しいことに挑戦できたりと、きっと人生の自由度がぐっと増していくのではないでしょうか。
自分が他人を見る側に立ってみる。
たったそれだけの発想の転換で、今より少し生きやすくなる人が増えたらいいなと思います。
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