見出し画像

ライブの帰り道

ライブハウスを出ると
オレンジ色の夕日が二人の影を長く伸ばしていた。
涼し気な風がステージでの疲れを優しく癒す。

WIndy:「今日も全然お客さん集まらなかったな」

アスファルトの熱がまだ残る歩道を並んで歩く。
背中のギターケースが、彼の歩調に合わせて小さく揺れていた。

Shiokaze:「しょうがないんじゃない? まだ始めたばかりだし」

遠くで電車の音がかすかに響く。
通りの向こうではネオンが灯り始め、看板の色がゆっくり夜に染まっていく。

WIndy:「サークルのメンバーばかりだったな。ま、来てくれるだけありがたいけど」

Shiokaze:「Y君なんか、知り合いも連れてきてくれてたね」

小さな笑い声が、風に乗って流れていった。

WIndy:「地道な努力が大事か~。でも本当にお客さんが集まる日なんて来るんだろうか?」

Shiokaze:「あー、WIndyらしくないネガティブな発言。ほら、しっかりしなきゃ」

WIndy:(……その言い方、姉ちゃんを思い出すんだよ。まぁそれがShiokazeだけどね)

信号が青に変わる。
二人の影がまた一歩、夜の街へと延びていく。

WIndy:「よし、Shiokaze、焼肉でも行くか」

Shiokaze:「だめ、お金ないんだし。明日も早いでしょ?」

WIndy:「ちぇ、じゃあ牛丼でも食って帰るか」

Shiokaze:「私はサラダだけでいいかな」

ふたりの声が、
沈みゆく夕陽の中に溶けていった。
夜風が音のように静かに吹き抜けていく。

いいなと思ったら応援しよう!