DAY 03 |この島には、僕以外の誰かがいる。
朝。
最初に、
石を確認した。
三つ。
昨日置き直したまま。
「ほら」
森に向かって言う。
「何もない」
誰に説明しているんだろう。
少し恥ずかしい。
今日は、
昨日丘から見えた北側へ行く。
昨日より、
森を歩くのが少し楽になった。
滑りやすい場所。
枝が多い場所。
水場へ戻る方向。
少しずつ、
頭の中に地図ができている。
途中、
妙な枝を見つけた。
折れている。
それだけなら普通。
でも、
一本じゃない。
同じくらいの高さで、
何本か続いている。
しゃがむ。
地面を見る。

「…………」
誰かが、
通った?
確証はない。
でも、
昨日までとは違う。
僕は、
折れた枝を追った。
しばらく進むと、
小さな空間に出た。
最初は、
何もないと思った。
でも、
地面の一部だけ黒い。
触る。
指に、
黒い粉。
「炭……?」
周りには、
細い枝。
何本か、
同じ場所へ集められている。
自然にできた?
いや。
たぶん違う。
ここで、
誰かが火を使った。
いつ?
分からない。
誰が?
もっと分からない。
心臓が、
少し速くなった。
この島には、
誰かがいた。
もしかしたら、
今もいる。
周囲を探した。
そして、
木の根元に、
細い紐を見つけた。
植物の繊維。
何本か編んである。
拾う。
「……これ、自然にはできないよね」
誰かが作った。

僕以外の、
誰か。
嬉しい。
そう思った。
でも、
すぐに別の考えが浮かぶ。
その誰かが、
味方とは限らない。
「…………」
浮かれるのは、
会ってからにしよう。
夕方。
いつもの場所へ戻った。
火を起こす。
昨日より早い。
少しずつ、
上手くなっている。
朝に集めておいた木の実を、
火の近くへ置いていた。
四つ。
……だったはず。
「…………三つ?」
数える。
やっぱり三つ。
一つない。
周囲を見る。
風で転がった?
探す。
ない。
動物?
それなら、
他のものも荒らされそうだ。
地面を見る。
そして、
見つけた。
砂の上。
僕より、
少し小さい足跡。
人に近い。
一つ。
二つ。
三つ。
森へ続いている。
「…………」
誰かが、
ここまで来た。
僕がいない間に。
木の実を一つ取って、
森へ戻った。
怖い?
少し。
でも、
それ以上に、
知りたい。
僕は、
暗くなり始めた森を見る。
「明日」
小さく言った。
「明日、探す」
その瞬間。
遠くの葉が、
ほんの少し揺れた。
風は、
吹いていなかった。
今度こそ、
間違いない。
この島には、僕以外の誰かがいる。


