『パラショッパーズ』第3話感想会~3話からでも入れる保険があるんです!~
1 『パラショッパーズ』3話解説・感想と多少(当社比)の雑談
以前『パラショッパーズ』という週刊少年サンデーで新連載が始まった漫画に関する投稿を行った。以下にその記事のリンクを貼っておくのでよければそちらの記事も参照して欲しい。出来れば「スキ」もしていただけると尚嬉しい。
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福地翼先生、週刊少年サンデーに帰還の報~『パラショッパーズ』は令和の『うえきの法則』になり得るか~|4浪U太郎
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2話は比較的おとなしめの回(溜めの回)だと思ったので特に投稿しようとは思わなかったのだが、3話は素直に「読んだ感想をnoteに残しておきたいなぁ!」という衝動に駆られる程面白かったので、こうして投稿している次第である。
簡単にここまでの『パラショッパーズ』のあらすじを紹介しておく(と言ってもまだ2話しかないのだが)。
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(あらすじ)
異能力を購入できる不思議なアプリゲーム「パラショップ」。そんなアプリゲームで偶然「藁を1本だけ動かせる能力」を手に入れた主人公・天良木光定(あまらぎみつさだ)。パラショップ内のポイント目当てに様々なゲーム参加者に狙われる天良木君。「制限時間内(3日以内)にアプリポイント5000ポイント未満のプレイヤーは死亡する」というペナルティを課されることを知った天良木君は残り少ない時間で一気にポイントを稼ぐために強力なプレイヤーである「八咫烏(やたがらす)のゼン」と戦うことを決意する。その正体は「ドでか原宿系お婆ちゃん」だった。ゼンは「鼻息を炎に変える能力」(通称「鼻息ファイヤー」)を操る猛者であり、単純な能力で言えば「藁」と「炎」で相性最悪な対戦相手であった。天良木君は藁を巧みに操りゼンの杖を奪うことに成功する。ゼンは高齢者故に杖を奪われれば機動力が格段に落ちると天良木君は考えたが、ゼンはフィジカルも自前でハイスペックを誇る老人だった。天良木君はどうこの危機を乗り越えるか…。
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そして、第3話は天良木君とゼンの戦いの決着が付く回である。戦闘中であっても、あるいは敵であったとしても、天良木君は長所だと思ったことは素直に口に出して伝える「良い子」である。だが、天良木君のことをよく知らない対戦相手からすれば、天良木君の発言は自分に対する「煽り」だとか「皮肉」だと捉えるのではないかとも読んでて思ったのである。戦闘中に突然相手から「その能力鼻毛処理楽そうでいいですね」なんて言われたらどう思うだろうか。『ジャンケットバンク』だったら100億%煽り文句として相手を褒め殺している文脈である。令和の日本においては「ふてほど」だとか「チクチク言葉はやめましょう」といった言論弾圧ないし表現規制が肯定されていく中、少年向けバトル漫画で合法的に相手を煽る手段として「褒め殺し」表現が多用されるのではないかと『パラショッパーズ』を読んでて感じた(当の天良木君には相手を煽る意図は全くなく純度100億%で褒めているのだが)。京言葉で言うところの「お宅の息子さん最近ピアノがお上手になりはりましたなぁ」(訳:「うるさいんじゃボケ」)という遠回しな皮肉でお茶を濁すことが増えることになるのか、より文脈を読み取る広い意味での「読解力」が要求されることになるのではないかとも思った。そう思うと令和の少年漫画もなかなか大変だなぁと感じる今日この頃である。話が脇道にそれるが、週刊少年ジャンプにおいても、特にギャグ漫画においても最近は暴力的な表現による笑いをとる場面は激減したなぁと感じている今日この頃である。現在の週刊少年ジャンプにおけるギャグ漫画の代表作の一つである『僕とロボ子』(宮崎周平作、ジャンプコミックス)でも暴力的な笑いに走ることはあまりない。15年から20年くらい前の少年ジャンプであれば『世紀末リーダー伝たけし』『ボボボーボ・ボーボボ』『ピューと吹くジャガー』『太蔵もて王サーガ』といったように「ギャグにバイオレンスは付き物」といった感覚が当たり前といった不文律が通用しなくなったのは、ある種の寂しさを覚えると同時に「他人を傷つけなくても笑いを取ることの出来る良い時代になったな」と相反する感想が生まれて複雑な気分になるものである(懐古厨の感想)。
閑話休題。天良木君は相手の長所を見抜く観察眼を戦闘に応用することでゼンの能力発動の弱点を発見する。そして、ゼンに「心からの降参」宣言を引き出すことに成功する。パラショップでの勝利条件は相手を気絶させるだけではなく降参させることも含まれていたのである。実は天良木君はこれまで挑んできた相手にも出来れば降参して貰いたいと思っていたのだが、やむなく気絶させて勝利することしか出来なかったので、ようやく天良木君の優しさが報われることになった。こうして、天良木君は5000ポイント以上獲得することに成功し、死を免れることに成功する。天良木君だけでなく、天良木君をサポートしてくれたグラサン君やゼンも5000ポイント以上保有していたので彼らは本当にペナルティとして「死亡」するのか懐疑的であった。しかし、別の戦場では5000ポイントに満たなかったプレイヤーが本当に死亡することが(読者目線では)判明し、次の課題が発表される。また、天良木君がゼンに勝利したことで、購入した能力はその後の能力者の戦績次第で価値が上下することが判明する。当初50ポイントでしかなかった「藁を一本だけ動かせる能力」はゼンに勝利後3120ポイントまで価値が上昇している。その気になれば能力を買い換えることが出来ることに加え、能力の売値を上下させることが出来るというのは異能力バトルファンタジー漫画として画期的なアイデアではないかと思ったものである。
2 今後の『パラショッパーズ』の考察もとい妄想、追加の感想文等々
第3話で判明したこととそれによって生まれた新たな謎が出てきたと思うので、この先の展開を色々考察もとい妄想を繰り広げていきたいと思う。
(1)能力の価値が上下することについて
戦績に応じて自分の持っている能力の価値が上下することが第3話で判明した。順当に勝ち続ければ、あるいは格上の相手に勝利出来れば自分の能力の「売値」を上げることが出来るのである(逆に負け続ければ自分の能力の「売値」は当初強力な能力でも下がることがある)。ここで第1話の能力一覧を見てみると、例えば「蟻地獄を作る能力」(3300ポイント)よりも「ペラペラにする能力」(110300ポイント)の方が3倍以上価値が高いという値段設定になっていたりする。もっと言えば「心配になる能力」なんていうどう使いこなせばいいのかという能力が190300ポイントと高額なポイントとして扱われている(もっとも、『うえきの法則』を読んでいると、こうした「相手の精神操作系の能力」は強力な能力と位置づけられていたりすることがわかるから、油断はできない)。
これは、最初からこのポイント設定だったのではなく、過去の「パラショップ」参加者が上下させた価値が反映されているポイント数なのではないかと思ったのである。とはいえ、過去にパラショップによる戦闘が開始されたという事実はあまり考えがたいという気もしている。というのも、スマホが普及したのがここ15年から20年くらいの間の話であり、(少年)バトル漫画なんかでよくある「前回大会参加者」的なポジションのキャラは登場しづらいのではないかとも考えたからである。
そこで私が思いついたのは、「スマホではない別のアイテムないし場所を用いた能力の取引所が存在したのではないか」という考察である。具体的には、色々な能力を取引できる架空の「証券取引所」的なものが存在して、その証券取引所の顧客が色々な能力を売買してバトルするというものである。設定だけで考えたら、青年誌であればこれはこれで面白そうな物語が作れそうかなという気もするのだが、あくまで「少年誌」というメタな舞台設定を考えると、「証券取引所」というのは少々少年達には馴染みが薄くイメージしづらいから舞台設定としては不向きかなとも思った(それでも頑張れば「パラショップ」の前日端的な扱いで何とか登場させられるかもしれないとも思った)。
(2)パラショップ参加者について
また、この「パラショップ」というのは、一体いつからサービスが開始された(勝手にスマホにインストールされるようになった)のだろうか、また参加者に条件はあるのだろうか、とも考えた。第1話だけを読むとパラショップ参加者は若い学生・青年だけが見受けられるが、2話ではゼンという高齢のお婆ちゃんも参加しているので、スマホを持っていれば老若男女関係なく参加できるようである。福地翼先生のデビュー作『うえきの法則』では、「神候補の戦い」に参加できるのは「現役中学生」と限定されていたが(これは戦いの主催者である「神様」の過去のある出来事に由来している)、パラショップではそうした限定はないのだろうか。スマホなど現代では小学生が持っていても不思議ではないから、下手をすると日本国民の大半、もっと言えば世界中の人間がライバルにもなりかねないことになるわけだが、スマホ持ち以外にも何か「パラショップ」に選ばれる条件はあるのだろうか(この点は天良木君も1話の時点で「キリねーじゃん」と言っていたが)。
それはそれとして、この漫画には今のところ「メインヒロイン」的なものが現在存在していないわけだが、今後登場する可能性はあるのだろうか。ゼンが令和のニュー・ヒロインの座に納まる可能性もなきにしもあらずだが(それはそれで面白そうであるが)、普通の女の子も出てきて欲しいと思うわけである。第1話を読むと冒頭のモブキャラとしての一般女子学生だけでなく、パラショップ参加者の中にも女子はいるようなので、おそらくこの先の話で天良木君と戦うことになった後仲間になるのか、あるいは最初から協力プレイを求めるようになるのか、妄想は尽きることはない。『ポンコツちゃん検証中』などで福地翼先生は可愛い女の子を描くことにも定評があることは分かっているから、『パラショッパーズ』でも可愛い女の子が早く登場してくれると嬉しいと個人的には思うわけである。
(3)パラショップのポイントの扱いについて
パラショップというゲーム(パラショップから課せられる課題)を乗り越える上で「ポイント」は見過ごせない要素である。今のところギリギリのところで「死」を免れている天良木君であるが、このポイント自体にも何か仕掛けがある気がしなくてならない。というより、これは今後の展開で明らかになることかもしれないが、ポイントの扱いについてまだまだ謎なところが多い。例えば、一人のプレイヤーを複数のプレイヤーで囲んで勝利した場合、ポイントはどのように配分されるのだろうか。『GANTZ』のように貢献度に応じてポイントが分散されることになるのだろうか、それともトドメを刺した者がポイントを総取りすることになるのだろうか。また、生き残りを優先するのであれば、プレイヤー同士でポイントを譲渡し合うという戦略も有効なはずであるが(『呪術廻戦』の「死滅回游」編ではポイントの譲渡が上手いこと利用されていた記憶がある)、パラショップはポイントの譲渡を認めているのであろうか。もっと言えば、パラショップのポイントを増やすためのiTunesカードみたいなものはないのだろうか。つまり、金に物を言わせて命を買うといった戦略は認められるのだろうかということである。もし認められれば金持ち成金君が敵として登場するというのもそれはそれで面白いことになりそうな気もするが、そのような仕組みは今後登場するのだろうか。これらは想像の域を出ないが、パラショップという「ゲーム」を考える上では能力だけでなくポイントにも意識を向けることが重要ではないかと思った次第である。最悪の場合、仲間内でポイントを巡って争うことになる絶望的な展開も想像できるため、何とも不穏なところである。というのも、個人的に『HUNTER×HUNTER』の「グリードアイランド編」でゴレイヌさんが「えげつねぇな…」と言っていたことが思い起こされたためである。
また、個人的に気になっているのは、第3話時点ではポイントをギリギリでやりくりしているプレイヤーが多くその可能性を見いだせていないだけなのかもしれないが、ポイントに余裕さえあれば、複数の能力を同時に保持することも可能ではないかと思ったのだが、この点はどうなのだろうか。第1話ではわざわざ自分が元々持っていた能力を売って別の能力に買い換えるといった描写があったので「一人につき一つの能力まで」というのが暗黙の了解になっている気もするのだが、この点はどうなのだろうか。複数の能力を持つことを現時点では禁止している描写は見られないし、もしかすると今後の展開によっては複数の能力を保持する敵が現れたり、天良木君自身が複数の能力を持つことになるのかもしれない、と予想しておく。
<2月14日追記>
『パラショッパーズ』第4話を読むと、どうやら「能力は一人一つまでしか保有できない仕様」ということが明らかにされた。なので、主人公の天良木君はこの先も「藁を1本だけ動かす能力」だけで乗り切ることになると予想される。だが、私はまだ「能力は一人一つまで」という仕様には裏があるのではないかと思っている。メタ的な話をすると、『うえきの法則』でも能力は一人につき一つまでがルールだったのだが、一人だけズルをして二つ能力を保有している敵が登場した実績があったからである。それがないにしても、例えば「パラショップ」アプリにハッキングを仕掛けて自分の能力を複数保有できるようにするチート行為を出来るハッカーキャラが現れたりしたら面白そうだなぁとも思ったので、基本的には「能力は一人一つまで」縛りを尊重しつつ、そのルールの裏を突く展開も期待しすぎない程度に楽しみにしておくことにする。
(4)パラショップの運営者(主宰者)ないし開発者について
現状『パラショッパーズ』作中の最大の謎とも言えるのが、「パラショップ」というアプリの存在そのもの、もしくは「パラショップ」というゲームの運営者(主宰者)ないし開発者が何者か、ということである。常識的に考えて、スマホの画面をタッチするだけで異能力が付与されるというのは現代の人類の科学の力を優に超えている。なので、パラショップの開発者は人類の英知を越えた神様とか宇宙人とか、あるいは死神的なナニカではないかと個人的には思うわけである。なぜ「死神」が候補に挙がっているかというとパラショップのペナルティが今のところ「死亡」一択であり、ここまで重いペナルティを課すのは死神的な存在にとって都合が良いからではないかと妄想したからである。
また、「パラショップ」というゲームの目的は何か。これが『カイジ』や『ジャンケットバンク』といったギャンブル漫画であれば、暗黒金持ちが楽しめる娯楽を提供するためといった目的が容易に想像できるのだが、3話時点では今のところそういったギャンブル漫画的な側面は登場していないのでこれは違うと思われる。そもそも人類の技術を超越したアプリなので、普通の暗黒金持ちを満足させるためのギャンブル主宰者ではないと予想はつくと思うのだが。あるいは、性格の悪い神的な存在(『アンデッドアンラック』に登場するようなヤツ)が人類の可能性を上から目線で楽しむために用意されたゲームなのかもしれない。あるいは、同じ神的存在が用意した物であったとしても、将来地球や世界に巻き起こるであろう危機(人類滅亡の危機とか)を乗り込めるために人類に成長を(強制的に)促すツールとして「パラショップ」というアプリを配布しているのかもしれない。いずれにせよ、パラショップの主宰者や開発者の存在も、『パラショッパーズ』という物語を楽しむ上で重要な要素となることは間違いないだろう。
(5)パラショップのペナルティ=「死」について
『パラショッパーズ』では3話時点までで課されるクエストのペナルティは「死」であることに変わりは無いのだが、何とかこの死を回避する方法はないものかと思った。他のデスゲーム漫画とかだと、ゲームのプレイヤーが死亡するといったら、頭が破裂して死亡するとか、身体が爆裂四散して死亡するとか、身体がまるごと消えて無くなる…といったものが想像されるが、第3話で明らかになった死亡シーンを見ると、『デスノート』で描かれているような心臓麻痺にかかって死亡したようなシーンであった。これは、一度心臓が停止したとしても、その後の救命救急行為の如何によってはまだ息を吹き返す可能性があるのではないかとも思えるのである。一方で、天良木君が積極的に「死」のペナルティを検証するとは考えがたいが、彼の目の前で「死」の光景が立ちはだかることは否定できない。目の前でだれかに死なれて、それを救えなかったことが天良木君の「後悔」に繋がる展開もあり得るかもしれない。そして、「死んだ者を生き返らせる能力」なんて代物を手に入れるためにパラショップを続けることになる…というのはあくまで完全に私の妄想である。
3 おわりに~考察しがいのある漫画って面白いよねという話~
『パラショッパーズ』第3話があまりに面白かったので、思わずこの先の展開や作中の謎について「ああではないか」「こうではないか」といった考察もとい妄想を吐き散らかしてしまった。別に自分の考察や妄想通りになって欲しいわけではなく、何ならこちらの予想を飛び越えて欲しい、あるいは展開は予想通りでも読者の期待を裏切らないでいてくれればそれでいいと思っているのである(作者の福地翼先生にはなかなか酷な要求をしている気がしなくもないが)。それだけこの作品を楽しみにしているということでもある。
話は変わるが、今週号の少年ジャンプに掲載されていた『ONE PIECE』の第1138話は考察勢には垂涎物の内容であった。1138の最後にワンピース世界の謎が神話形式で語られており、私にはよく分らなかったが、考察サイトや動画を見るとあの情報からでも色々なことを読み取っている読者が大勢いることに驚嘆した。伊達に25年以上連載を続けている漫画ではないことが窺える。ワンピースはもはや現代の「神話」とさえ言えるかもしれない。
このように、作品中に読者に対して考えさせる材料があると続きが気になって読みたくなってくる欲が湧いてくるものである。『パラショッパーズ』も魅力的な謎をばらまき、素敵な「答え」を見せてくれることを期待して来週以降の展開を待ち望もうと思う。それこそ、天良木君が3話で言っていたように、「『わからない』っていうのは、『知る楽しみがある』ってことだよ」ということを胸に刻んでいこうと思う。
<追記>
福地翼先生は『うえきの法則』の頃から何もわからない「未来」を「可能性のあるもの」として肯定的に捉えていることが窺えた。自分が少年時代に読んでいた作品の中で大事にしていた価値観を、大人になってから新しく読むことになった新連載でも維持してくれていることを嬉しく思ったものである。
また、サンデーうぇぶりで『パラショッパーズ』第1話から3話まで読めるリンクを添付するので、よければそちらも参照して頂きたい。『パラショッパーズ』という沼に浸かって頂ければ幸いである。
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第1話 天良木光定は肯定する / パラショッパーズ - 福地翼 | サンデーうぇぶり
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