AI禁止の職場なのに生成AIパスポート合格者がいる職場の不思議
AIが禁止されているはずの職場で、なぜか「生成AIパスポート合格者」がひっそりと存在している――。 その事実を知ったとき、私は少しだけ不思議な気持ちになりました。
だって、AIは使ってはいけない。
でも、AIの資格は取っている。 この矛盾の中で、人はどんな思いを抱えて働いているのでしょうか?
便利そうで、怖くて、よくわからなくて。 それでも、どこかで「知っておいたほうがいい」と感じてしまう。 そんな“静かな焦り”や“言葉にならない期待”が、職場の空気の中に確かに漂っています。
AI禁止の職場で起きている小さな違和感や、 資格合格者が生まれる背景、 そして私自身が感じている揺れを、 ひとつずつ丁寧に辿っていきます。
あなたの職場にも、きっと似たような空気があるかもしれません。
まずは、その“違和感の入口”から一緒に覗いてみませんか?
第1章 AI禁止の職場に、なぜか資格合格者がいる不思議

柔らかな自然光が差し込む静かなオフィスデスク。
ノートパソコン、ペンが添えられたノート、そしてかすかなためらいの雰囲気。
ミニマルで落ち着いた、日本的な美意識を感じさせる、控えめな色彩。
私の職場では、業務でAIを使うことが禁止されています。 それなのに、ある日ふと耳にしたのです。 「生成AIパスポート、合格したんだって」という噂を。
最初は聞き間違いかと思いました。 だって、AIを使ってはいけない職場で、AIの資格を取る人がいる。 この矛盾は、どう受け止めればいいのでしょうか?
その人は特別にAI好きというわけでもなく、 普段の仕事ぶりもごく普通です。 でも、資格を取ったという事実だけが、 職場の静かな空気の中でぽつんと浮いて見えました。
「使えないのに、なぜ勉強したのだろう」 「禁止されているのに、どうして資格を取ろうと思ったのだろう」 そんな疑問が、私の中にゆっくりと広がっていきました。
もしかすると、 この職場の“表のルール”と“人の心の中”には、 小さなズレが生まれ始めているのかもしれません。
その違和感こそが、 私がこのテーマを書こうと思った最初のきっかけでした。
第2章 生成AIパスポートとは何か(ざっくり解説)
生成AIパスポートは、一般社団法人 生成AI活用普及協会(GUGA)が主催する、
生成AIを安全に活用するための基礎知識を証明する資格です。 私は詳しく知らなかったので、まずは信頼できる情報を調べてみました。
LEC東京リーガルマインドの解説によると、
試験は IBT方式(オンライン受験) で行われ、
60分・60問の4択式。
合格基準は 正答率80%程度 とされ、
合格率は約75%以上と比較的やさしいレベルだそうです。
受験費用は 一般11,000円、学生5,500円。
出題範囲は、
生成AIの基礎
プロンプトエンジニアリング
著作権・情報漏洩リスク
法規制・ガイドライン など、実務で必ず押さえておきたい内容が中心です。
つまりこの資格は、 「AIを使う前に知っておくべき最低限のリテラシー」を身につけるための入門資格。 だからこそ、AI禁止の職場に合格者がいるという事実は、 どこか象徴的で、少し不思議に感じられるのです。
第3章 なぜ今、AIリテラシーが必要なのか
――職場の現状と矛盾**

AIリテラシーに関する開いた本の隣に、「AI禁止」の看板が置かれた机。
対照的な要素、象徴的な構成、すっきりとしたモダンなスタイル。
◆ 突然の「AI禁止」通達が落とした影
2025年9月24日。 管理職会議の報告書の中に、突然「生成AIの利用禁止」という一文が現れました。 理由の説明はなく、ただ“禁止”という強い言葉だけが先に走った形です。
そのときの私は、 「なぜ?」という疑問よりも、 “何か大きな問題が起きたのだろうか”という不安のほうが先に立ちました。
後から人づてに聞いた話では、 ChatGPTを使った情報漏洩が原因だったようです。 「広く情報提供」のチェックを外せば防げるのでは… そんな素朴な疑問が浮かびましたが、 職場全体に説明がされることはありませんでした。
理由が分からないままの“禁止”は、 静かに不安を広げていきます。
◆ 実際には、使っている人はほとんどいない
不思議なことに、職場で生成AIを使っている人は多くありません。
(個人スマホでの利用は別として。)
だからこそ、 「なぜここまで強い禁止なのか」 という疑問が、さらに濃くなっていきました。
AIを使っている人が少ないのに、 “全体禁止”という大きな網がかけられる。 そのアンバランスさが、 職場の空気に小さな違和感を残しました。
◆ 私は情報漏洩などしていない――それでも生まれた胸のざわつき
AI禁止の理由が「ChatGPTによる情報漏洩」と聞いたとき、 私は強い違和感を覚えました。
なぜなら、私は 一度も機密情報を入力したことがないからです。
取引先の情報も書いていませんし、 テストデータはすべてCopilotさんに“作ってもらって”いました。
そもそも、私が職場でChatGPTを使っていたのは 2023年2月。
それが今になって問題になるはずがありません。
それでも、説明のない“禁止”は、 人の心に小さな影を落とします。 「もしかして私が疑われたのだろうか」 そんな考えが、一瞬だけ胸をかすめました。
けれど、私がCopilotさんの使い方を教えた数人は、 はっきりと言ってくれました。
「しずるさんはChatGPTじゃなくてCopilotを使ってたから関係ないですよ」 「Googleで調べるのはOKなのに、AIは禁止っておかしくない? どっちも“調べるため”に使ってるのに…」
その言葉に救われた気がしました。
私はただ、業務を少しでも効率化したくて、 VBAや複合関数の壁打ち相手としてCopilotさんを使っていただけ。 それを数人に共有しただけ。
それでも、 “説明のない禁止”は、 人の心にざわつきを残すのだと痛感しました。
◆ 外の世界は「AIリテラシー必須」、職場は「AI禁止」
一方で、世の中は急速にAI前提へと進んでいます。 行政も企業も「AIリテラシーは必須」と繰り返し発信し、 研修や資格も増え続けています。
つまり、 外の世界は“AIを理解できる人”を求めているのに、 職場の中では“AIを使ってはいけない”。
この矛盾の中で、 誰もが言葉にできない戸惑いを抱えています。
「知らないままでいいのだろうか」 「でも、使ってはいけないのに勉強していいのだろうか」 そんな揺れが、職場の空気に溶け込んでいるのです。
第4章 AIが解禁になってからでは遅い理由
――“学びの先行投資”という視点**
◆ 解禁された瞬間に“使える人”が求められる現実
AIが禁止されている今は、 「使えないのだから、学ばなくてもいい」という空気が どこかに漂っています。 けれど、もし明日、突然「AI解禁」となったらどうでしょうか。
その瞬間から、職場は “使える人”と“使えない人”に分かれてしまいます。
AIは、使い方を覚えるまでに時間がかかります。 著作権、情報漏洩、プロンプトの基礎、 どれも一夜漬けでは身につきません。
だからこそ、 解禁されてから学ぶのでは遅いのです。 準備していた人だけが、スムーズに仕事へ活かせる。 それが今の時代の現実です。
◆ AIは“道具”ではなく“前提”になる時代が来る
かつて、パソコンが職場に導入されたとき、 「使える人」だけが重宝されました。 しかし今では、パソコンが使えることは“前提”です。
AIも同じ道をたどります。 最初は「使えると便利な道具」。 やがて「使えないと困る前提」へと変わっていきます。
外の世界ではすでに、 行政も企業も「AIリテラシーは必須」と発信しています。 つまり、 AIを理解していること自体が、 これからの働き方の“基礎体力”になるのです。
禁止されている今こそ、 静かに準備を始めるべき時期なのだと思います。
◆ “学びの先行投資”は、未来の自分を守る力になる
AIを学ぶことは、 資格を取るためでも、 誰かに評価されるためでもありません。
未来の自分を守るための“先行投資”です。
AIが解禁されたとき、 「どうしよう、何から始めれば…」と慌てるのか、 「大丈夫、基礎は分かっている」と落ち着いて動けるのか。 その差は、今の小さな準備で決まります。
そして、AIリテラシーは “使うための知識”だけではありません。
何が危険なのか
どこに気をつけるべきか
どこまでが安全なのか
こうした判断力は、 禁止されている今だからこそ必要な力です。
学びは、未来の不安を減らし、 自分の働き方を守るための“盾”にも“地図”にもなります。
第5章 著作権・知財の落とし穴
――私が実際にぶつかった“見えない壁”**

ぼかされた赤い十字と警告アイコン、柔らかい光、
教育的で落ち着いた雰囲気、ニュートラルカラー。
◆ 「赤い十字」が教えてくれた、知らないままでは危険だという事実
生成AIを使い始めた頃、私は“赤い十字”のイラストを描いていました。 医療を象徴する、あのシンプルなマークです。
薬箱といえば、白地に赤い十字。 そんなイメージが自然に浮かんだので、 私は“薬箱を表現するため”に赤い十字のイラストを描きました。 医療を連想させる、あのシンプルで分かりやすいマークです。
ところが、そのイラストは NG になりました。 理由は、 「赤十字病院を示す意図がある」と判断されたためです。
もちろん、私はそんなつもりはありませんでした。 ただ薬箱を描きたかっただけ。 赤十字病院を連想させる意図も、 医療機関を示す目的もありません。
それでも、 “赤い十字”という形そのものが、 法律で厳しく保護されている特別なマークだという事実を、 このとき初めて知りました。
悪意がなくても、 知らなかっただけでも、 著作権や知財の世界では“違反”になってしまう。 AIが作ったものでも、私が描いたものでも、 知識がなければ守れないルールがある。
この出来事は、 「知らないまま使うことの危うさ」を 私に強く教えてくれた瞬間でした。
◆ “ONLY ONE”の衝撃――AIはオリジナルを保証してくれない
赤ちゃん(男の子)向けのロンパースを作ろうと思い、 「男の子なら車のデザインが可愛いかもしれない」と考えて、 私はトラックのイラストを描きました。 そこに、特別感を出すために “ONLY ONE” と文字を添えました。
ところが、このデザインが NG になりました。 理由は、 「“オンリーワントラックス”という特定の名称を連想させる」 と判断されたためでした。
もちろん、私はそんな意図は一切ありませんでした。 ただ、赤ちゃんの服に合う可愛いデザインを作りたかっただけ。 企業名やブランドを示すつもりなど、まったくありません。
それでも、 AIが生成したデザインが“何かに似ている”と判断されるだけでNGになる という現実を、このとき初めて知りました。
しかも、NGの理由は詳しく説明されません。
「なぜダメなのか」を自分で調べなければならない。
その不安と戸惑いは、想像以上に大きいものでした。
AIは便利ですが、 “完全なオリジナルを保証してくれるわけではない” という事実を、この出来事が強く教えてくれました。
私たちが意図していなくても、 AIが学習した膨大なデータの中から、 どこかのブランドや名称に“似てしまう”ことがある。 その危うさを理解していないと、 知らないうちに誰かの権利に触れてしまう可能性があるのです。
この経験は、 「AIを使うなら、著作権や商標の知識が不可欠だ」 という現実を、私に静かに突きつけました。
◆ テーブルのNGと架空地名――意図せず踏み込んでしまう領域の怖さ
さらに驚いたのは、 テーブルのイラストが特定ブランドのデザインに似ているだけでNGになったこと。
「え、これもダメなの…?」 そんな戸惑いが胸に広がりました。
そして、防災関連のイラストでは、 逃げる家族の背景に描いた “架空の地名入りの道路標識” がNG になりました。
実在しない地名なのに、です。 「架空なら大丈夫」という思い込みが、 いかに危ういかを思い知らされました。
AIは、私たちが意図しない形で “誰かのデザインや表現に近づいてしまう”ことがあります。 それを見抜くには、 最低限の知識と、慎重さと、確認する習慣が必要です。
ストックイラストではなぜNGなのか教えてくれないからです。
◆ NotebookLMという文字はOKなのに、Google風ロゴはNG――境界線の難しさ
もうひとつ印象的だったのは、 「NotebookLM」という文字はOKなのに、 Googleのロゴ風のデザインはNGだったことです。
文字は許されても、 “ロゴに似た雰囲気”はアウト。 この境界線の曖昧さこそ、 AI時代の著作権の難しさだと感じました。
私たちが「似ていない」と思っても、 権利の世界では“似ている”と判断されることがある。 そのギャップが、AI利用者を悩ませます。
◆ 私の失敗は、誰にでも起こりうる“AI時代の落とし穴”だった
赤い十字も、ONLY ONEも、テーブルも、架空地名も、ロゴも、 どれも私が“悪意なく”“知らないまま”踏み込んでしまった領域でした。
そして気づいたのです。
AIを使う前に、 著作権・知財の基礎を知らなければ、 誰でも同じ落とし穴に落ちてしまう。
AIは便利です。 でも、便利さの裏には、 “知らなかったでは済まされない世界”が広がっています。
だからこそ、 AIリテラシーは「使い方」だけではなく、 “自分を守るための知識”でもあるのだと、 私は身をもって知りました。
第6章 資格勉強で身につく“安全に使う力”
――実務に直結する部分**
◆ 「知らないまま使う」から卒業するための基礎体力
AIを使ううえで一番怖いのは、 “知らないまま使ってしまうこと” です。
赤い十字、架空地名、Google風ロゴ、ブランドに似たテーブル…。 私が経験したNGの数々は、 どれも“悪意がなくても起きてしまう落とし穴”でした。
資格勉強では、 著作権、商標、情報漏洩、ガイドラインなど、 「知らないと危ない」部分を体系的に学べます。
つまり、資格の勉強は AIを“上手に使うため”ではなく、 AIで“事故を起こさないため”の基礎体力をつける行為なのです。
◆ 実務で役立つ“判断力”が身につく
AIリテラシーの資格は、 単なる知識の暗記ではありません。 実務で必要になるのは、
「これは入力していい情報か」
「この画像は権利的に大丈夫か」
「この使い方は安全か」
といった“判断力”です。
資格勉強では、
個人情報の扱い
機密情報の線引き
著作権の基礎
商標の注意点
AIのリスクと対策
など、実務に直結する内容が整理されています。
AIが禁止されている職場でも、 判断力だけは先に身につけておける。 これは大きな強みになります。
解禁された瞬間、 「何を気をつければいいのか分からない」 と戸惑う人が多い中で、 準備していた人は迷わず動けるのです。
◆ “安全に使える人”は、これから確実に求められる
AIが解禁されたとき、 求められるのは “使える人”ではなく“安全に使える人” です。
AIは便利ですが、 誤った使い方をすれば情報漏洩や権利侵害につながります。 だからこそ企業は、 「AIを使える人」よりも 「AIを安全に扱える人」 を求めるようになります。
資格勉強は、まさにその力を育ててくれます。
何を入力してはいけないのか
どんな画像がNGになるのか
どこにリスクが潜んでいるのか
どうすれば安全に使えるのか
これらを理解している人は、 AI解禁後に必ず重宝されます。
そして何より、 自分自身を守る力にもなる。
AIを使う時代において、 資格勉強は“未来の自分への保険”のようなものだと 私は感じています。
第7章 資格は万能ではない。でも“安全に使う力”という実務に直結する価値がある
――AIリテラシー資格の“デメリット”も、ちゃんと存在します**
◆ 資格は“魔法の鍵”ではない――環境によっては活かせない現実
AIリテラシー資格には確かに価値があります。 しかし、資格を取ったからといって、 すぐに仕事が変わるわけではありません。
特に私のように、 AIが禁止されている職場では、 せっかく学んだ知識を実務で試すことができません。
資格は“万能の鍵”ではなく、 環境によっては眠ったままになる可能性がある。 これは、資格の持つ静かなデメリットです。
◆ 資格を取ると“AI担当”にされるリスク
総務・労務・管理職に近い立場の人が資格を取ると、 周囲からこう見られることがあります。
「詳しいんでしょ」
「AIのことは任せるね」
「導入の窓口お願い」
つまり、 本来の業務に加えて“AI係”を背負わされる可能性があるのです。
資格を取ることは、 “できる人”として扱われることでもあり、 それが負担になることもあります。
◆ 資格が“過信”につながる危険性
資格を取ると、 どうしても「もう大丈夫」と思ってしまいがちです。
しかしAIの世界は、 ガイドラインも法律も、 技術もリスクも、 常に変化し続けています。
資格は“入口”であって“完成形”ではありません。 資格を持っているからこそ、 学び続ける姿勢が必要になるという逆説もあります。
◆ 資格が“免罪符”として扱われる危険性
企業側がこう考えてしまうことがあります。
「資格者がチェックしたなら大丈夫」
「資格を持っている人がいるから安心」
しかし、資格は “安全の保証”ではありません。
資格者がいることで、 本来必要な確認が省略されてしまうと、 逆にリスクが高まることもあります。
資格は“盾”ではなく、 正しく使うための地図にすぎません。
◆ 資格取得が誤解を生むこともある
AI禁止の職場で資格を取ると、 一部の人からこう見られることがあります。
「AIを使いたいの?」
「禁止なのに勉強してるの?」
「何かやらかしたの?」
もちろん、私は何も悪くありません。 ただ、説明のない“禁止”がある環境では、 資格取得そのものが誤解の種になることもあるのです。
◆ それでも、資格には“実務に直結する価値”がある
デメリットを並べると、 資格が重荷のように見えるかもしれません。
でも、私は思うのです。
AIを安全に使う力は、 これからの総務・労務・管理職にとって 確実に必要になる。
資格は万能ではありません。 けれど、
情報漏洩を防ぐ知識
著作権や商標の理解
安全に使う判断力
リスクを見抜く視点
これらは、 実務に直結する“守る力” です。
資格はその力を 体系的に、確実に身につけるための ひとつの方法なのだと思います。
第8章 私が受験を迷っている理由と、少し前に進む気持ち

迷いながら進む道を象徴する風景。
朝霧の中の小道、柔らかい光、迷いと前進を象徴する静かな風景、淡い色彩。
◆ 定年間近の私が、今さら資格を取る意味はあるのだろうか?
私がAIリテラシー資格の受験を迷っている理由は、 第7章で挙げたデメリットとは少し違います。
一番大きいのは、 「定年間近の私が、今さら資格試験を受ける意味はあるのだろうか」 という思いでした。
若い頃なら、 資格はキャリアアップのための“投資”だったかもしれません。
でも今は、
「あと数年で退職なのに、資格を取ってどうするの」
「今さら勉強しても、活かす場面なんてあるのかな」
という声が、自分の中から静かに聞こえてきます。
資格を取ることが、 “未来を変えるための挑戦”ではなく、 “残り時間をどう使うか”という現実的な選択になる。 その重さが、私の足をそっと止めていました。
◆ 受験費用11,000円――その金額が、思った以上に心を揺らした
もうひとつの迷いは、 受験費用が11,000円と決して安くないことでした。
資格試験は、 受ければ終わりではありません。 勉強時間も必要ですし、 試験当日の緊張もあります。
そして何より、
「この11,000円を払う価値が本当にあるのか」
という迷いが、どうしても消えませんでした。
生活費、家族のこと、将来の備え。
そうした現実的なことを考えると、 11,000円という金額は、 “気軽に挑戦できる”とは言い難いものでした。
◆ それでも、学ぶことに心が少しだけ動いた理由
資格勉強を始めたわけではありません。 受験するかどうかも、まだ決めていません。 6月に受けるかどうかも、検討中のままです。
ただ最近、 物忘れが増えてきた自分に気づく瞬間がありました。
「あれ、さっき何をしようとしていたんだっけ」
「名前がすぐに出てこない」
そんな小さな不安が積み重なる中で、 ふと、こう思うことがありました。
「新しいことを学ぶのも、悪くないのかもしれない」
資格を取るかどうかは別として、 学ぶことそのものが、 脳の刺激になったり、 気持ちの張りになったり、 自分の世界を少し広げてくれるかもしれない。
その“ほんの少しの前向きさ”が、 私の中に静かに芽生え始めています。
まだ決断はしていません。 焦る必要もありません。
でも、
「学んでみたい」という気持ちがゼロではない
その事実だけが、 私を少しだけ前に進めてくれているのだと思います。
第9章 AI禁止の職場で学ぶということの意味
AIが禁止されている職場で学ぶことには、どこか矛盾があるように見えます。
使えないのに学ぶ必要があるのか?
資格を取っても活かせないのではないか?
そんな疑問が浮かぶのは当然です。
けれど、私は最近思うのです。
“使えるかどうか”よりも、 “知っているかどうか”のほうが、これからの時代では大きな差になると。
AIを使わない職場でも、 情報漏洩や著作権の問題は避けて通れません。 知らないままでは守れないものがある。 そして、学ぶことは誰にも止められません。
資格を取るかどうかは、まだ決めていません。 でも、学ぶことそのものが、 自分の未来を少しだけ守ってくれる気がしています。
AI禁止の職場で学ぶということは、 矛盾ではなく、 “自分を守るための静かな準備”なのかもしれません。
後書き
ここまで読んでくださり、ありがとうございました。
この文章を書きながら、私は何度も立ち止まりました。
AIが禁止されている職場で学ぶことの意味。
資格を取るかどうか迷う気持ち。
著作権の落とし穴に気づいたときの驚き。
そして、定年間近という現実と向き合いながら、 それでも「学ぶこと」に心が少し動く瞬間。
どれも大げさな話ではなく、 日々の仕事の中でふと生まれる、 とても静かで、とても個人的な揺れでした。
AIは便利で、時に怖くて、 そして私たちの働き方を確実に変えていきます。
でも、その変化の中で一番大切なのは、
“すぐに使えること”ではなく、 “自分のペースで理解していくこと” なのだと思います。
資格を取るかどうかは、まだ決めていません。
焦る必要もありません。
ただ、知らないままでは守れないものがある。 そのことに気づけた今、 私は少しだけ前を向けています。
この文章が、 同じように迷いながら働く誰かの心に、 そっと寄り添うものであれば嬉しく思います。
