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JR東日本と鹿島臨海鉄道には終点を"通過"してしまう路線がある(特定日を除く)

鉄道において列車が止まる場所のことを「停車場」と言います。停車場を細かく分けると、以下の3種類が存在します。

  • : 人(旅客)の乗り降り、あるいはモノ(貨物)の積み下ろしができる場所
    →閉そく区間の内部にある駅は「停留所」として区別することがある

  • 信号場 : 列車の行き違い(交換)や、進路の分岐・合流を行う場所
    →駅が信号場の役割を果たすこともある

  • 操車場 : 列車の増結・解放や入れ替えを行う場所(「ヤード」ともいう)
    →操車場に信号場の機能を持たせることもある
    →小規模であれば、駅に操車場機能を持たせるケースもある

基本的に、鉄道路線の「起点」と「終点」は駅または操車場に設定されます。信号場で別の路線が合流・分岐する場合は、合流後の最初の停留所(分岐前の信号場)までを重複(二重線籍)区間とみなすことが多いです。

で、今回のnoteで話題にするのは東日本旅客鉄道(JR東日本)の鹿島線と、鹿島臨海鉄道の大洗鹿島線です。実は両線の終点は同じ駅なのですが、どちらもこの駅を基本的に“通過”します。一体、どういうことなのでしょうか?


鹿島線のあらまし

鹿島線って結構短いんですよ…

鹿島線は、千葉県香取市の香取駅と、茨城県鹿嶋市の鹿島サッカースタジアム駅を結ぶ、全長17.4kmの路線です。JRグループの路線区分では「地方交通線」で、全線が運賃制度上の「東京近郊区間」に、そしてJR東日本の交通系ICカード「Suica」の首都圏エリアに含まれます。

また、この路線は全区間が日本貨物鉄道(JR貨物)の第2種鉄道事業区間にもなっており、貨物列車が毎日運転されています。

鹿島臨海工業地域の開発のために作られた"新線"

国鉄末期に作られた鹿島線は2020年で開業50周年でした

この鹿島線なのですが、実は比較的新しい路線です。1960年代に茨城県が「鹿島臨海工業地域」の開発を打ち出したことを受け、その開発を通して旅客輸送と貨物輸送の両方で一定の需要が見込めるということで、鉄道敷設法(廃止済み)の別表に「茨城県鹿島ヨリ千葉県佐原ニ至ル鉄道」として盛り込まれました。その大まかな沿革は以下の通りです。

  • 1964年: 運輸大臣が建設を指定
    →工事は日本鉄道建設公団(鉄建公団 : 現在の鉄道建設・運輸施設整備支援機構)が担当

  • 1967年: 香取~北鹿島(現在の鹿島サッカースタジアム)間の建設を開始
    将来の電化を前提とした非電化路線として工事が進んだ

  • 1970年8月: 香取~鹿島神宮間が開業

  • 1970年11月: 鹿島神宮~北鹿島間が開業(事実上の全線開業)
    →ただし、この区間で旅客営業は行わない(貨物専用線として営業)

  • 1974年: 全線を直流1500Vで電化

  • 1978年: 鹿島神宮~北鹿島間で旅客営業を開始
    →鹿島臨海鉄道の鹿島臨港線に旅客列車を直通運転させるための措置
    北鹿島駅には旅客ホームを設置せず(直通のための運転停車)

  • 1983年: 鹿島神宮~北鹿島間の旅客営業を廃止
    →鹿島臨港線の旅客営業廃止に伴う措置
    →再び貨物専用線に

  • 1985年: 鹿島神宮~北鹿島間で旅客営業を再開
    大洗鹿島線との直通運転を実施するための措置
    北鹿島駅には旅客ホームを設置せず(直通列車は同駅を通過)

  • 1987年: 旧国鉄が民営化
    →鹿島線はJR東日本が第1種鉄道事業者、JR貨物が第2種鉄道事業者に
    →大洗鹿島線の列車の直通形態は変わらず

  • 1994年: 北鹿島駅を「鹿島サッカースタジアム駅」に改称
    →これと同時に、臨時の旅客駅として営業開始
    旅客駅として20m級車両×5両分のホームを新設
    旅客営業は「鹿島サッカースタジアム」で試合やイベントがある日のみ
    営業時は大洗鹿島線からの直通定期列車を臨時停車させて対応(後に、混雑見込みに応じて自社の車両を使った臨時列車も運転するように)

  • 2009年: 全線がJRグループの運賃制度における「東京近郊区間」に編入

  • 2020年: 全線で交通系ICカード「Suica」が利用可能に

1往復を除き佐原~鹿島神宮間の運行(終点まで行かない!!)

深夜と早朝の0.5往復ずつを除き、全てE131系のワンマン列車です

鹿島線ではかつて、成田線と総武線を経由して東京駅まで行く特急「あやめ」が運行されていましたが、2015年のダイヤ改正をもって廃止されました。その代わり、同年に2004年のダイヤ改正でいったん全廃された成田線・総武線への直通快速列車(千葉~東京間は「電車」)が復活しています。

現在は、夜間に運転される総武線・成田線からの直通快速列車(鹿島線の下り終電)と、その折り返しとなる成田線・総武線への直通快速列車(鹿島線の上り初電で、「横須賀線」の大船行き)以外はE131系によるワンマン普通列車のみの運行です。

列車は起点の香取駅でも折り返し可能なのですが、設備の都合から通常は成田線の佐原駅を発着駅としています(総武線・成田線直通快速列車を除く)。

大洗鹿島線のあらまし

大洗鹿島線は名前の通り「大洗を経由して鹿島に向かう路線」です

大洗鹿島線は、茨城県水戸市の水戸駅と、鹿島サッカースタジアム駅を結ぶ全長53.0kmの路線です。

運営している鹿島臨海鉄道は、旧国鉄(→JR貨物)と地元自治体が共同出資して作った「臨海鉄道」の1つです。臨海鉄道の“本業”は、臨海部における貨物線と貨物駅の運営。つまり、旅客輸送(大洗鹿島線)は“副業”ということになります。

臨海鉄道で旅客営業をしている会社としては、岡山県倉敷市の水島臨海鉄道も有名ですが、こちらは水島本線(倉敷市駅~倉敷貨物ターミナル駅間)を客貨兼用で営業しています(※1)。一方で、大洗鹿島線はいろいろあって現在は旅客専用線です。余談ですが、福島県にある福島臨海鉄道も、同県いわき市の小名浜港近辺にサッカースタジアムを作る計画を受けて本線の旅客営業開始(厳密には再開)を検討中だそうです(※2)。


(※1) 水島本線の旅客営業区間は、倉敷貨物ターミナル駅の1つ手前の三菱自工前駅までとなる(三菱自工前~倉敷貨物ターミナル間は貨物専用線)。

(※2) 福島臨海鉄道の本線では、小名浜港でのイベントに合わせてJR東日本が“臨時の”第2種鉄道事業者として旅客営業を行った実績もある。しかし、今回は第1種鉄道事業者である福島臨海鉄道が“自ら”旅客営業を行う可能性を検討しているそうだ。


本当は鹿島線の一部になるはずだったが…

起点の水戸駅はJR東日本の管理駅で、駅名標もJR東日本のデザインです

実は、大洗鹿島線は第二次世界大戦前から敷設計画のあった路線で、鉄道敷設法の別表で「茨城県水戸ヨリ鉾田ヲ経テ鹿島ニ至ル鉄道」と定義されていました。

この別表では、現在の大洗鹿島線が本則、鹿島線(香取~北鹿島間)が追加区間として表記されていました。要するに、戦前からの計画と茨城県のプロジェクトが融合することで、香取~水戸間を“まとめて”鹿島線として開業させる計画となったのです。

諸事情あって追加区間側が先行開業することになった鹿島線ですが、鉄建公団は1971年に水戸~北鹿島間の工事を開始しました。この区間は開業済みの区間と同様に「電化を前提とした非電化路線」として工事を進めていったのですが、1980年に事態が一変します。

1980年、国は「日本国有鉄道経営再建促進特別措置法」(通称「国鉄再建法」)を施行しました。この法律により、当時鉄建公団が建設を進めていた新線のうち、国鉄に運営させる前提だった区間の建設予算が凍結されました。要するに建設中止ということです。

建設が中止となった路線は、再開されることなく放棄されてしまった所もあれば、以前取り上げた東海旅客鉄道(JR東海)の城北線のように、何らかの形で工事が再開され開業に至った所もあります。

で、鹿島線の延伸区間はどうなったのかというと、旅客輸送において一定の需要が見込めることから、国の判断で例外的に建設が続行されることになりました(※3)。

これで一安心…と思いきや、延伸区間の完成を目前にして、国鉄が「赤字が避けられない」という理由で延伸区間の運営を拒否しました。そこで茨城県は、自らも出資する鹿島臨海鉄道に「延伸区間を引き受けてくれないか?」と打診。最終的に、鹿島線の延伸区間は鹿島臨海鉄道の「大洗鹿島線」として開業することになりました。その沿革を簡単にまとめると以下の通りです。

  • 1985年: 鹿島臨海鉄道が大洗鹿島線を開業
    →先述の通り、鹿島線の北鹿島~水戸間を“引き受けた”もの
    →起点は水戸駅、終点は北鹿島駅とした
    北鹿島駅では旅客営業を行わず、同駅を経由する列車は全て鹿島線の鹿島神宮駅を発着駅とした
    →電化前提の設計だが、気動車を導入して非電化路線として開業(※4)
    →快速列車も運転

  • 1989年: 全線で貨物輸送を開始
    →鹿島臨港線用に導入していた「KRD形ディーゼル機関車」を利用

  • 1990年: 新駅として「長者ヶ浜潮騒はまなす公園前駅」を開業
    →当時は日本一長い駅名として有名だった

  • 1994年: 北鹿島駅を「鹿島サッカースタジアム駅」に改称
    →鹿島線と同様に、臨時扱いの旅客営業を開始
    →駅はJR東日本管轄だが、係員は原則として自社から派遣

  • 1996年: 貨物輸送を廃止

  • 1998年: 快速列車の定期運行を廃止
    →1999年から2009年までは臨時列車として運行することがあった


(※3) 同様の理由で、愛媛県で建設が進んでいた内子線の新ルート(新谷~内子間)も建設が続行された。こちらは「予讃本線(現在の予讃線)の新線と組み合わせることでショートカットルートになる」というメリットから、国鉄が運営を引き受けた。

(※4) 電化する場合は水戸~北鹿島間のどこかに電源切り替え点(交直セクション)を設けざるを得なかったことと(水戸駅が交流電化済み)、鹿島臨海鉄道が鹿島臨港線で内燃車(気動車)に慣れていたことが大きな理由と思われる。

なお先述の通り、鹿島臨海線も一時旅客営業していたことがあるが、1983年をもって廃止されている。ただし、その後も鹿島臨港線はイベントなどで臨時の旅客営業をすることがある(都度、国土交通省から認可を得て実施している)。


新鉾田以南を運行する列車は“無条件で”鹿島神宮駅発着

“JRの”鹿島神宮駅で折り返しを準備する、鹿島臨海鉄道からの直通列車

大洗鹿島線の定期列車は「水戸~大洗」「水戸~新鉾田」「水戸~鹿島サッカースタジアム~鹿島神宮間」のいずれかで運行されます(後二者については、運用上の都合で大洗駅で車両を交換することがあります)。

新鉾田以南を発着駅とする場合、大洗鹿島線の終点である鹿島サッカースタジアム駅を超えて、鹿島線の鹿島神宮駅で折り返しを行います。

鹿島線からの「鹿島サッカースタジアム駅」発着は基本的にない

???「大洗鹿島線? ここはまだ鹿島線だろ!!!!!」

鹿島線は、香取駅を起点として鹿島サッカースタジアム駅までを結ぶ路線です。しかし、鹿島線の定期旅客列車は“全て”鹿島神宮駅発着です。つまり、JR東日本による(ここポイント)鹿島神宮~鹿島サッカースタジアム間の定期旅客列車は皆無ということになります。一応、JR東日本が電車による臨時旅客列車を運行した実績はありますが、かなりのレアケースです。

鹿島神宮駅の1番線は通常、大洗鹿島線の列車用に割り当てられています…が、この先も鹿島サッカースタジアム駅まではJR東日本の鹿島線です。

もしも鹿島臨海鉄道が鹿島神宮~鹿島サッカースタジアム間で第2種鉄道事業を営んでいれば、この区間“も”大洗鹿島線の一部とみなした運賃計算ができます。しかし、この区間の第2種鉄道事業者はJR貨物“のみ”。要するに、鹿島臨海鉄道の路線ではないのです。なので、鹿島神宮駅の1番線の方面案内は、とても厳密にいうとウソの案内といえます。

鹿島神宮駅は大洗鹿島線の駅ではない――この事実は、後述する運賃において“超”重要なポイントとなります。

大洗鹿島線からの「鹿島サッカースタジアム駅」発着も基本的にはないけど"通過"はする

赤矢印で示した標識が、大洗鹿島線(鹿島臨海鉄道)と鹿島線(JR東日本)の設備上の分界点

鹿島サッカースタジアム駅はJR東日本・JR貨物・鹿島臨海鉄道の3社による共同利用ですが、駅構内の施設はJR東日本が保有しています

荒野台駅(茨城県鹿嶋市)を出発した大洗鹿島線の鹿島神宮行き列車は、鹿島サッカースタジアム駅の手前でJR東日本の敷地(≒鹿島線)に入ります。前面展望していると、枕木の雰囲気が大きく変わるのですごく分かりやすいですw

(鹿島線視点で)鹿島サッカースタジアム駅の上り本線に進入する鹿島神宮行きの列車

鹿島サッカースタジアム駅には1番線から6番線まであり、以下のような使い分けとなっています(鹿島線側の視点で説明)。

  • 1番線と2番線: 鹿島線からの発着専用(ホームなし)
    →鹿島神宮駅から引き上げてきた旅客列車の折り返しに使う
    →夜間は鹿島線の旅客列車の留置線としても利用する

  • 3番線 : 下り本線
    →旅客列車用のホームがある(島式で4番線と共有)
    旅客列車では「1番線」と呼称する(実際の番線とホーム番線が異なる)
    鹿島線から大洗鹿島線に向かう(水戸方面行きの)列車が通行する
    →鹿島臨港線の列車も発着可能
    →各線の貨物列車用機関車の付け替えに使うこともある
    →夜間に機関車・貨物列車・大洗鹿島線の気動車を留置することもある

  • 4番線 : 上り本線
    →旅客列車用のホームがある(島式で3番線と共有)
    旅客列車では「2番線」と呼称する(実際の番線とホーム番線が異なる)
    大洗鹿島線から鹿島線に直通する(鹿島神宮行きの)列車が通行する
    →鹿島線や鹿島臨港線の列車も発着可能
    →各線の貨物列車用機関車の付け替えに使うこともある
    →夜間に機関車・貨物列車・大洗鹿島線の気動車を留置することもある

  • 5番線 : 鹿島線および鹿島臨港線の着発専用(ホームなし)
    →基本的に鹿島線と鹿島臨港線を行き来する貨物列車が使う
    →夜間に機関車・貨物列車・大洗鹿島線の気動車を留置することもある

  • 6番線 : 留置線
    →各路線の本線からは直接入線できない(入換が必要)
    →基本的に貨車の留置に使う

鹿島サッカースタジアム駅を華麗にスルー

大洗鹿島線の鹿島神宮行き列車は、4番線(旅客ホームとしては2番線)をゆっくり通過していきます。逆に大洗鹿島線の水戸行き列車は、3番線(旅客ホームとしては1番線)をゆっくり通過していきます。

列車によっては、鹿島サッカースタジアム駅で列車の行き違い(交換)や同駅止まりの列車の到着を待つこともあるのですが、大洗鹿島線の旅客列車はホームがあってもドアを開きません。交換相手(または待っている列車)が到着したら、そのまま出発してしまいます。

8000形はJR線内をATS-Pで運転

8000形気動車を使う鹿島神宮行きは、ホームを通り過ぎて線路が合流するタイミングでATS-Pによる保安に切り替わります

JR東日本では、首都圏の旅客営業路線のほぼ全ての保安装置をATS-P(都会のATS)としています。鹿島線も例外ではなく、全線がATS-Pで保安されています。

一方で、鹿島臨海鉄道では全線で旧来のATS-SN(田舎のATS)で保安しています。保安装置の切り替えポイントは、鹿島線基準で下り列車(水戸方面)では大洗鹿島線の出発信号機上り列車では4番線・5番線の合流地点(信号機はない)となっています。

鹿島臨海鉄道の気動車のうち、新しい8000形にはATS-Pが付いているので、水戸駅構内(※5)と鹿島線内はより高度な保安体制で運転できます。一方で、6000形にはATS-Pが付いていないので、従来のATS-SNでの運転となります。

6000形のために、JR東日本は水戸駅構内と鹿島線の鹿島神宮~鹿島サッカースタジアム間にATS-SNの地上設備を存置しています(鹿島線の香取~鹿島神宮間では撤去済み)。


(※5)JR東日本は、ATS-Pを整備していない他社の区画にはみ出す形でATS-Pによる保安を始めることがある。水戸駅構内のケースの場合、ATS-P搭載車は鹿島臨海鉄道の高架線が始まって少し入った所から(まで)ATS-Pによる保安を行う。


6000形もJR用無線機は常備

古い6000形気動車でも、水戸駅構内と鹿島線で使うJR仕様の防護無線機とデジタル無線機は搭載

JR東日本が管轄する水戸駅と、鹿島サッカースタジアム駅から直通する鹿島線はJR東日本が運行を管理しています。

そのため、6000形を含む鹿島臨海鉄道の気動車にはJR線用の防護無線機とデジタル列車無線機が搭載されています。わずかな区間のために、しっかりとJR線用の装備をしているんですね。

通過するので鹿島臨海鉄道の運転士がJR線内も運転

鹿島サッカースタジアム駅をスルーして鹿島線に入ってしまった鹿島臨海鉄道の運転士

…と、話がずれそうになりましたが、鹿島神宮駅を発着する大洗鹿島線の列車は、鹿島線内も鹿島臨海鉄道の運転士が運転します。普段は鹿島サッカースタジアム駅を“通過”するので、運転士の交代のしようがないですからね。

ただし、鹿島神宮~鹿島サッカースタジアム間は、あくまでもJR東日本とJR貨物の鉄道路線なので、手続き的にいうと「JR東日本が鹿島臨海鉄道に鹿島神宮~鹿島サッカースタジアム間の運転を委託する」という扱いとなります。通過しちゃうのに(

なお、鹿島線の鹿島神宮~鹿島サッカースタジアム間はJR東日本の乗務員が全く来ないかというと、そんなことはありません。というのも、先で少し触れた通り、鹿島サッカースタジアム駅で留置される鹿島線の旅客車両があるからです。最近はあまり運転されませんが、鹿島サッカースタジアム駅発着の電車による臨時列車も、JR東日本の乗務員が担当します。

普段は通過するのに運賃の境界となる「鹿島サッカースタジアム駅」

鹿島神宮駅の自動券売機で大洗鹿島線の乗車券を買うと、大洗鹿島線の始発着点が鹿島サッカースタジアムなのだと痛感できます

ということで、ここまで読んでくると分かるとは思うのですが、鹿島線(JR東日本)と大洗鹿島線(鹿島臨海鉄道)の境界駅は、旅客駅としては常設されていない鹿島サッカースタジアム駅です。このことは、鹿島サッカースタジアム駅となる前、旅客ホームが存在しなかった北鹿島駅の頃から変わりありません

当然、運賃の境界駅も鹿島サッカースタジアム駅となります。鹿島神宮駅の自動券売機で大洗鹿島線の乗車券を買うと、それがよく分かります。券面を見ると、鹿島サッカースタジアム駅“から”鹿島臨海鉄道(大洗鹿島)線という体裁となっているのです。要するに、鹿島神宮駅で買えるのは異なる事業者にまたがる「連絡乗車券」ということです。逆に、大洗鹿島線の各駅で買える鹿島神宮行きの乗車券も「連絡乗車券」となります。

なお、JR東日本と鹿島臨海鉄道では、大洗鹿島線の荒野台駅と鹿島線の鹿島神宮駅相互間の連絡普通乗車券に割引を適用しており、この2駅間では合算額から50円引きで乗車可能です。

性質上「通過連絡」も可能です

JR東日本と鹿島臨海鉄道の普通乗車券における連絡運輸範囲

大洗鹿島線は、水戸駅と鹿島サッカースタジアム駅でJR東日本線と接続しています。そのこともあり、両駅を接続駅とする連絡乗車券を購入可能です。

鹿島神宮発のように“空気”な感じで売られるケースもありますが、鹿島神宮駅に限らず、以下の線区を発着する場合は大洗鹿島線各駅発着の連絡乗車券を買えます。

  • 水戸駅接続
    ・「東京都区内」各駅(駅名標に「区」マークのある駅)
    ・常磐線(松戸~高萩間)
    ・水郡線(常陸青柳~日立大宮間の各駅・南酒出~常陸太田間の各駅)
    ・水戸線(全駅)

  • 鹿島サッカースタジアム駅接続
    ・鹿島線(全駅)
    ・成田線(全駅)
    ・総武線(市川~佐倉間の各駅および銚子駅)

また、両端がJR東日本線と接続しているという特性から、JR線のある駅から大洗鹿島線を経由して、JR線の別の駅に向かう「通過連絡乗車券」も買えます。通過連絡の場合、JR線の区間は距離を合算してから運賃計算をするため、単純に乗車券を買い足すよりも手頃になる可能性があります。通過連絡乗車券の発売範囲は以下の通りです。

  • 水戸駅側の対象線区
    ・常磐線(藤代~日立間の各駅)
    ・水郡線(常陸青柳~日立大宮間の各駅・南酒出~常陸太田間の各駅)
    ・水戸線(結城~友部間の各駅)

  • 鹿島サッカースタジアム駅側の対象線区
    ・鹿島線(全駅)
    ・成田線(成田~佐原間の各駅)

「鹿島サッカースタジアム駅」で乗り降りできるのはいつ?

鹿島サッカースタジアム駅の旅客営業日、次は3月7日です

鹿島サッカースタジアム駅が旅客駅として営業するのは、鹿嶋市の「鹿島サッカースタジアム」(ネーミングライツで現在は「メルカリスタジアム」)でサッカーの試合、または大量動員が見込まれるイベントが開催される時です。この駅で乗降したい場合は、その日を狙うしかありませんw

先に少し触れた通り、鹿島サッカースタジアム駅での旅客扱いは、基本的に大洗鹿島線の列車を同駅に臨時停車させる形で行います。鹿島線側(鹿島神宮方面)から同駅まで乗車する場合は交通系ICカードも利用可能です。

鹿島サッカースタジアム駅への臨時停車情報は、鹿島臨海鉄道のWebサイトで確認できます。次回は3月7日に臨時営業(停車)があります。

まとめ: 臨時だけど色々な意味で無視できない終点駅がある

臨時駅なのに自駅案内に“ハッキリ”書かれているのには理由がある

ということで、鹿島線と大洗鹿島線は普段は乗降できない終点を抱える路線です。鹿島線は香取駅、大洗鹿島線は水戸駅を起点としているため、どちらの路線も鹿島サッカースタジアム駅が“終点”になるので、ちょっと表記がややこしいになってますw

この駅は、北鹿島駅だった自体から旅客扱いがないのに運賃上の境界駅でした。臨時扱いとはいえ、旅客扱いするようになったので境界駅としての“体”はより整ったと思います。

恐らく、純粋な貨物専用線を除けば「(普段は)終点で乗り降りできない路線」はめったにないと思いますので、皆さんも時間があったらぜひ乗ってみてください!


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