中国経済を肌感で感じるならここを見ろ!
よく私のnoteで紹介させていただいている中国経済エキスパートの柯隆さんと、ジャーナリストの峰村さんの対談動画ですが、インタビューが杉村太蔵さんという少し異色の対談で、なかなか興味深く視聴できました。
記事を読んでいただくのも良いですが、ぜひ動画も御覧ください。
テーマは4つです。
前編と後編の動画に分かれているので、今回も何度かわたって紹介していきたいと思います。
アメリカと中国の関係は今後どうなっていくのか
トランプ関税の中国経済への影響
台湾有事はいつ起こるのか
日本の安全保障戦略の行方は?
深刻化する中国経済の現状:専門家も「非常に悪い」と指摘
動画冒頭から、中国経済の現状に対する厳しい見方が示されています。キノン・グローバル戦略研究所主任研究員の峰村さんは、現在の中国経済は「非常に悪い」と断言。習近平政権の経済政策に対する疑問の声も上がっており、「経済音痴」という厳しい言葉さえ飛び出しています。
注目すべきは、中国経済がデフレ経済に入りつつあるという点です。14億人もの人口を抱える国家がデフレに陥ることは、世界史上類を見ない事態であり、世界経済への影響も懸念されます。中国政府が発表するGDP成長率目標の5%前後も、専門家の間では信頼性が低いと見られており、実際には1%から2%程度の低成長ではないかという指摘もあります。
中国経済を肌感で感じるにはここを見る
峰村さんが大変興味深い事を話されていました。
経済状況を測る指標として、マカオのカジノの活況度や雇用・個人消費の状況をみる。という事を話されていました。
お金の使い道があまりないときにはマカオには中国富裕層が訪れ、カジノで楽しむことが多かったようなのですが、余裕資金がなければ、当然カジノには行かない。
マカオの活況状況を見ることで、中国経済を肌感でつかめるのだそうです。
デフレの根源:習近平政権の政策とコロナ禍
では、なぜ中国経済はこのような状況に陥ってしまったのでしょうか?専門家は、習近平政権の経済政策への理解不足や、市場経済へのブレーキ、そして社会主義への回帰といった政策の方向性を指摘しています。
さらに大きな要因として挙げられるのが、コロナ禍における徹底的なロックダウン政策です。3年間にわたる都市封鎖は、サプライチェーンを寸断し、多くの中小企業を倒産に追い込みました。日本と比較して、中国には中小企業を支える信用保証制度や給付金が十分でなかったため、その影響は甚大でした。
また、柯隆さんは、習近平氏が掲げる高いGDP目標を達成するために、地方政府が需要を無視した過剰な生産を行っている可能性を指摘しています。このようなトップダウン型の経済運営が、需給バランスを崩し、デフレを加速させているという見方は、非常に示唆に富んでいます。
トランプ再来と米中関係:ディールか、更なる対立か?
アメリカ大統領選挙でトランプ氏が再選した場合、米中関係はどのように変化するのでしょうか?動画では、トランプ氏の対中政策について、強硬な姿勢の裏にディール(取引)への強い意欲があると分析されています。
トランプ氏は、アメリカの貿易赤字削減を最重要課題の一つと考えており、中国との貿易赤字解消に強いこだわりを持っています。そのため、関税をちらつかせながらも、最終的には中国との間で有利なディールを成立させることを目指していると考えられます。
しかし、トランプ政権下では、対中強硬派が重用される可能性もあり、予断を許さない状況です。一方で、イーロン・マスク氏のように中国の要人と個人的なパイプを持つ人物も存在しており、今後の米中関係は複雑な様相を呈する可能性があります。
アメリカが360度に関税をかけたとしても中国が強い理由
柯隆さんによると、当時中国が想定していたのは、アメリカが中国だけでなく、カナダ、メキシコ、EU、日本など多くの国に対して同時に制裁関税を発動する「四方発砲」の状態でした。この状況において、中国が困らないと考えた主な理由は以下の2点です。
世界の工場としての地位: 中国は「世界の工場」として、自国でほとんどのものを製造できるフルセット型の経済構造を持っています。そのため、他の国々が互いに依存している状況下では、自給自足能力の高い中国はダメージを受けにくいと考えられました。
事前の備え: トランプ政権が事前に60%の関税賦課を予告していたため、中国はある程度の心の準備ができていました。実際に課せられた関税は20%であったため、中国側には余裕があったとされています。
柯隆さんは、この状況を「乱戦状態」と表現し、このような状況下では「フルセット型」の中国が強みを発揮すると述べています。
しかしながら、現在の状況や米中関係の変化については、動画内でさらに議論が展開されています。例えば、サプライチェーンの分散やアメリカの同盟国との連携といった新たな要素が、中国経済に異なる影響を与える可能性も指摘されています.
中国人の対米感情とアメリカ人の対中感情
柯隆さんは、中国人個人のアメリカに対する感情と、アメリカ人の中国人に対する感情には大きな違いがあると指摘しています。
柯隆さんの話によると、「特に中国人はアメリカ嫌いじゃない」のだそうです。日本ではアメリカの事を「米国」と書きますが中国ではアメリカの事を「美国」と書くのだそうです。
さらに、中国共産党幹部の子弟たちがアメリカに留学したり、個人の金融資産をアメリカに送金したりしている事実を挙げ、「だから個人がアメリカ嫌いじゃない」と述べています。
それに対し、「アメリカは中国人よく思ってないのが87%」というデータがあるそうです。このように、中国人個人のレベルではアメリカに対して比較的友好的な感情を持っている一方、アメリカ人の多くは中国人に対して否定的な見方をしているという現状が示唆されています。
バイデン政権とトランプ政権の対中政策の違い
バイデン政権の対中政策の特徴として最も重要な点は、同盟国との連携を重視したことです。峰村さんによると、バイデン政権は「同盟国を一緒 に やってこう 一緒に 団結 して 中国 を こう バン と」抑え込む戦略を取りました。
クアッド(日米豪印)だけでなく、オーカス(米英豪)など、様々な同盟関係を構築し、中国に対して多方面からの圧力をかけようとしたことが指摘されています。この点について、狩さんもバイデン政権は「同盟重視 対中 強硬 派 が 結構 い た」と述べており、本気で中国を抑え込もうとした姿勢がうかがえます。
一方、トランプ政権の対中政策は、ディール(取引)を重視する傾向が強かったとされています。
峰村さんは、トランプ大統領自身が「ディール 王」であることを口癖にしており、中国との間で貿易赤字を減らすためのディールを最優先に考えていたと指摘しています。
そのため、強硬な姿勢を見せる一方で、水面下では中国との交渉を進めようとしていたと分析されています。
また、トランプ政権は、必ずしも同盟国との連携を重視せず、単独で関税を発動するなど、独自の強硬策を取ることが多かったとされています。
柯隆さんは、トランプ政権時代の米中関係を、中国が「狼の群れ」と戦っていたバイデン政権時代に対し、「狼の群れ同士がね 中の仲間同士も戦ってる」状況だと表現し、アメリカの同盟国との関係が必ずしも一枚岩ではなかったため、中国にとっては相対的に余裕があったと分析しています。
習近平はバイデンに裏切られた
中国側の見方としては、集近平国家主席はバイデン大統領に対して「裏切られた」という思いを抱いていると峰村さんは指摘しています。
習近平主席とバイデン大統領は、副大統領時代から親交があったとされており、習近平主席はバイデン政権が誕生した当初、関係改善に期待していた可能性があります。しかし、実際には同盟国との連携を強化し、中国への圧力を強める政策が展開されたため、期待外れだったと感じたと考えられます。
対照的に、トランプ政権に対しては、制裁関税など厳しい措置が取られたものの、ディールによる解決の可能性も常に意識されていたと考えられます。また、トランプ政権の予測不可能な行動は、中国にとって対応が難しい側面もあったと考えられます。
関税政策においても違いが見られます。トランプ政権は、中国からの輸入品に対して一方的に高関税を課すことを頻繁に行いましたが、バイデン政権は、同盟国と連携しながら、より戦略的に対中貿易政策を進めようとしたと考えられます。
総じて、バイデン政権は同盟国との結束を重視し、多角的に中国への圧力をかける戦略を取ったのに対し、トランプ政権はディールを重視し、単独で強硬な措置を取りながらも、取引による解決を目指すという違いがあったと言えます。
トランプ関税の再来とサプライチェーンへの影響
トランプ政権が再び対中関税を引き上げた場合、中国経済への影響は避けられません。特に懸念されるのが、サプライチェーンの分散です。既に、高い関税や米中間の緊張の高まりを受けて、日本企業を含む外国企業が、生産拠点を中国からベトナムやインドなどへ移転する動きが加速しています。
日本企業は意思決定が遅い傾向にあるものの、台湾企業などは迅速に中国からの移転を進めており、この流れは今後も続く可能性があります。外国企業の撤退は、中国にとって税収の減少や雇用の喪失だけでなく、技術移転の機会を失うという大きな痛手となります。中国が日本との経済協力を模索する背景には、日本の持つ高度な技術力への強い期待があると言えるでしょう。
中国は本当に「友達がいない」のか?専門家が語る中国外交の現実
峰村さんは、中国には「本当の同盟のその価値観を共有する国ってのは本当少ない」と指摘しています。これは、中国が掲げる非同盟主義という外交方針と深く関連しています。長年、同盟関係を結ばないことを原則としてきた中国にとって、価値観を共有し、互いに支え合う真のパートナーシップを築くことは容易ではないのかもしれません。
東京財団主席研究員の柯隆さんも、この意見に同意しています。
柯隆さんは、「利益を共有するケースと価値観を共有するケースある」と述べ、アフリカの国々のように経済的な利益を共有する国は多いものの、「いわゆる本当の同盟のその価値観を共有する国ってのは本当少ない」と指摘しています。
つまり、経済的な結びつきは強い一方で、政治的な価値観や安全保障における共通の目標を持つ国は限られているという現実があるようです。
中国が唯一同盟関係にあるとされる北朝鮮についても、その関係性は複雑です。動画内では、「結構なんちゃって条約」であり、「どっちが助けるんじゃなくてどっちかというと中国が北朝鮮をこうなんていうか、あの保護するみたいな守るみたいな条約」であると解説されています。
この点からも、中国の同盟関係は、一般的な相互支援を前提としたものとは異なる側面があることが伺えます。
さらに、柯隆さんは、中国にとって「団結されるとですね、めちゃくちゃ腹立つ」という点も指摘しています。これは、非同盟を原則としてきた中国が、他国が結束して対抗する状況を警戒していることを示唆しています。
ロシアのプーチン大統領との関係についても、「頼れると思う?思わないよ」と疑問を呈し、北朝鮮についても「頼ってくるだけだからね」と述べられており、中国が真に信頼できる同盟国を見つけられていない現状が示唆されています。
もちろん、国家間の関係は常に変化するものであり、「友達」という言葉の定義も様々です。しかし、この動画での専門家たちの分析は、中国が経済的な影響力を増大させる一方で、価値観を共有する真の戦略的パートナーシップを築く上では、多くの課題を抱えているという現実を浮き彫りにしています。中国外交の今後を考える上で、「中国は友達がいない」という視点は、非常に重要なポイントと言えるでしょう。
日本企業が取るべき道とは?
デフレ化する中国経済、そしてトランプ政権の対中政策の動向は、中国に進出している日本企業にとって大きな試練となります。サプライチェーンの見直し、リスク分散、そして中国市場の変化に合わせた戦略の再構築が不可欠となるでしょう。とのことです。
考察
実はバイデン政権のときのほうが中国政府にとっては脅威だったというのは驚きであり、意外です。また、トランプの見えざる意図もあるとの事です。
なかなか興味深い。
記事では株式投資をよくされている杉村さんの質問内容は投資家目線の鋭い質問があり、専門家の良い意見を引き出す対談でした。
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