①漫画の連載企画が白紙になり、巨大ペン画家を始めたある片田舎のおかん
1年以上かけたエッセイ漫画の連載企画が白紙になった。
…というより私が白紙にしてしまった。いや、せざるを得なかった。もう、いろいろとギリギリだった。ヤバかった。
とにかく、これで1年以上他のほぼすべてを捨てて全振りしてきた活動の意味を失ってしまった。
膨大な時間が。積み上げてきたものが。数百ページのネームが…。
私の至らなさのせいだ。ここまで伴走してくださった編集さんにはもう本当に申し訳なさすぎてどうしようもないが、とにかく私自身にとってもこのショックはあまりに大きかった。
「半農漫画家」と自身を謳っているのに、漫画での収入は0。これではとても漫画家とは言えないだろう。
「ママ、お仕事だから静かにしててね」そう子どもたちに言い聞かせて、日々漫画制作を行ってきたが、もうなんの説得力もない。…だって仕事じゃなくなったもんね。いいよ。うるさくしてて。
仕事じゃないしね。
なんなら農作業もほとんどやっていない。
炎天下、コンバインを走らせる夫へ、扇風機にあたりながら遠目に「がんばれー」と口だけの応援をし、「今年のお米おいしいじゃーん」などと、その同じ口で彼の苦労の成果を貪り食っている。

半農でも漫画家でもない。
連載が白紙になり何者でもなくなってしまった私。
いや、そもそも何者でもなかったのか?私は。
え、無職だったの私?
これでも一応、一生懸命仕事しているつもりだったのに…。
誰かに私の作品が届いて、ちょっとでも楽しんでもらえたらって!
あー‼
今年の今頃はとっくに連載が始まっているはずだったのに‼‼‼
(※私の中では)
そして来年には1冊本を出版しているはずだったのに‼‼‼
(※私の中では)
気が付けば、私は自宅の納屋の壁に、思いつくまま気が向くままにマッキーを走らせていた。

どうやらアマテラスを意識していたようではある。これまで、エッセイ漫画で「ほんわか鳥人間」っぽいキャラを描いていたのが、急に最高神。どうかしている。

神に縋る思いだったのだろうか?
このときの精神状態が若干心配にはなってくるが、とにかく、それは、久しぶりの「何の制限もない創作活動」だった。
クライアントもルールもなにもない。
純粋に「こう描きたい」という線の集まり。
信じられないほど楽しかった。
神話にサイバーパンクに女性の曲線美。
ずっと忘れてたけど、そういえば、本当は私、こういうの好きだったんだ。
清水玲子にベルセルク、AKIRA、銃夢…
影響を受けた数々の作品たち。

…ってか、わりとよくない?
うん。いいじゃん!刺さる人には刺さりそう‼
よし!仕事にしてしまえ!
「巨大ペン画家」と名乗ってしまおう‼
こうして、漫画の連載企画が白紙になった片田舎のおかんは、巨大ペン画家として新たなスタートを切ったのだった。
※漫画家の夢もまだ諦めてないよ。
